コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
めめあべ
(ちょっこといわめめ)
(一つまみくらいいわふか)
阿部→「」
目黒→『』
岩本→【】
深澤→《》
目黒side
彼に着せるパジャマを探して、ついでに風呂も沸かして。掃除しといてよかった、ボタン押すだけで済むからね。長いこと彼をほったらかしにしてしまったな、と少し心配しながらリビングに戻るとなんだか嫌な予感がした。阿部ちゃんが立っていたその目線の先にあるであろうものは、俺が一番見られたら困るものだったから。でもここで動揺した素振りを見せればもっと怪しくなる。だから平静を装って何事も無かったように彼に声をかける
『阿部ちゃーん、ごめん待たせちゃって』
「全然、お風呂も沸かしてくれてんでしょ。ありがとね」
『んーん大丈夫』
俺の予想に反して彼はあの薬について言及してこなかった。気付いていないのか、気付いているけれど黙っているのか。後者だとしたら意味がわからないからおそらく前者だろう。まあ気付いてないならいいやとソファへ腰掛けると彼も隣に座ってきた
「お隣失礼します」
『いくらでもどうぞ』
「…やっぱこっち座ってもいいですか」
そう言って彼がぽんぽんと叩いたのは俺の膝。今日は甘えたい日なのか俺へのご褒美なのかわかんないけどそんなのことわりなく来てくれたって構わない
『もちろんどうぞ』
パッと軽く両手を広げて待っていると直ぐに彼が抱きついてきた、可愛い。というか軽すぎじゃないか、178cmの体重じゃないよこれ。俺がいっぱい美味しいものを食べさせてあげようと変な決心をしたタイミングで彼が突然こんな話を始めた
「俺さ、めめのこと大好きなんだよね」
『急だね、ありがと。俺も大好きだよ』
「んは、嬉しい笑 …じゃなくて、違うのこれ本題じゃないからドキドキさせないで!笑」
『始めたのそっちじゃん笑』
「それはそうだけどさぁ…」
なんか遮ってしまったみたい。まあそりゃこんなバカップルみたいな会話が本題なわけはないよね
『ごめんね口挟んじゃって。んで本題は?』
「ちょっと聞きたいことがあって」
『うん、……え、それ…』
彼の手に握られているものを見て、もう言い逃れは出来ないしこの関係は終わってしまうのだと悟った。こんな終わりかたになってしまうだなんて夢にも思わなかったな
「これ、めめのだよね」
目の前に差し出されたのは俺の抑制剤。やっぱり見つかっていた
______________________________________
阿部side
責めたいわけじゃない、謝らせたいわけでもない。ただ本当のことを知りたいだけ。まあ答えない時点でそういうことなんだろうけど。黙って返答を待っていると何も言葉は返ってこなかった代わりに突然抱き締められた
『…ごめん、騙すみたいなことして』
「…んーん、」
騙すだなんてとんでもない。俺だって同じことをしているんだから。彼が言いたいことを言い終わったら俺も言わなければ。そう思いながら彼の頭を撫でていたらなんか不穏な感じがしてきた
『…ずっと嘘つき続けてた上にほんとはΩだったとか嫌だよね、』
「え?」
『…別れ』
「やだ待って!」
『っえ、』
一番聞きたくない言葉を言わせるところだった。彼もきっと本当にそうしたいだなんて思っていないだろう。不安気な顔をして此方を見詰める彼にもっと早く言うべきだったと今さら気がついた。ふと思い出してポケットを探るとすぐにそれは見つかったから彼の手を取ってポケットから出したそれを握らせる
『…え、これって』
手の中を見てこれはなんだと少し考えていたようだがそれが何か理解した瞬間驚いたようにパッと顔を上げた。顔を上げてくれたことによって目が合ったからそのまま目を離さずに隠し続けてきた秘密を打ち明ける
「そう、俺βじゃなくてαなの。…ごめんね、ずっと隠してて」
______________________________________
目黒side
なんで気付かなかったんだろう。誰よりも近くで、誰よりも長い時間一緒に居たのに
『ほんとに、?』
「ほんと。今度診断書見せてあげよっか?笑」
『いやそこまでしなくていいけど笑』
バレたときは終わったと思ったけれどまさかお互いに第二性を偽っていただなんて。しかもαとΩなら恋人よりも繋がりが強い関係になれるかもしれない。彼がそれを了承してくれるのであれば俺は…
「ん?そういえばさ、あの時なんで俺の性βがいいなーって言ったの?めめがΩなら俺がαで番なれた方が良くない?」
『あーそれね…話したら長くなっちゃうんだけど聞いてくれる?』
「ん、もちろん」
『…Ωってヒート来るじゃん?そのせいでさぁ…
______________________________________
YouTubeを撮ったあと軽く確認してオッケーが出たから解散して、そのまま普通に帰るつもりだった。ヒートも1週間後の予定だったし薬も常備してたから何事もないって、思ってた
『…っ?!ぇ…ぁ、今、?』
荷物を纏めようと楽屋に戻った瞬間唐突にきたヒート。今来るだなんて思ってもいなかったし鞄までかなり距離があったから段々と荒くなっていく息を必死に抑えながら自分の荷物を置いている場所まで歩いていく…はずだったのに。もうみんな帰ったから誰も来ないはずなのに、楽屋のドアが開いた
【…え、目黒?っ?!、お前っ?!】
何も知らずに入ってきたのは忘れ物をして帰ってきた岩本くんだった。ただ帽子忘れただけなのにこんなことに巻き込んじゃって、ほんと申し訳なかったな。発情しきったΩと、至って健康体のα。こんな状況で起こることなんて一つしかない。暫く二人とも動けなくて沈黙が続くも、いつの間にか同じように息を荒くした岩本くんがすぐ側にいて次の瞬間には肩を掴まれていた。あの時の手の感覚やギラついた肉食獣のような目は未だに忘れられない
『っやだ、…岩本く、待ってやめ…っ』
既に聞こえていなかったのか止まってくれる様子ではなかったし力じゃ彼には勝てなかった。もう無理かと思ったとき、俺の項を守るようにして誰かの手が差し込まれた
《っぶね、痛ぇし…照何してんの、浮気?ちゅーすんならこっちでしょーが》
誰かの声がした直後に岩本くんとの距離が少し離れた感じがして軽いリップ音が響くと肩を掴んでいた岩本くんの手から力が抜けた。何が起こったのかわからなくて怖くて、目だけ其方へ向けるとそこにいたのはふっかさんだった
【…ふっか】
《もーめめ怖がらせちゃダメだろ?ごめんな、照も悪意あったわけじゃねえから。あとこれ、探そうと思ってたんでしょ》
差し出してくれたのは抑制剤と水が入ったペットボトル。お礼も曖昧なくらいの放心状態で受け取って飲んだら数分後にはいくらか落ち着いて岩本くんにめっちゃ謝られた
______________________________________
…それ以来α怖くて、だからβであって欲しいなって言っちゃった、』
「…そんなことが、」
話し終わって彼の方を見たらきゅ、と下唇を噛んで何かに耐えているような彼の顔が見えた