めめあべ
(あべめめ?)
阿部side
彼にそんな過去があったなんて、αにトラウマがあるだなんて思ってもいなかった。だから最近ふっか以外のα…照とかラウとかとは若干距離あるんだな、確かに自分がΩだとしたら自分よりでかかったり力が強いαなんか恐怖以外の何者でもないだろう。番がいる舘さんとかちょっとβ寄りの佐久間はαの中でも別もんなんだろうけど。てか考えてみたらめめ一人でめっちゃ頑張ってるじゃん。守られてばっかじゃダメだな、俺も彼のこと守ってあげなきゃ。ん?でも俺生粋のαだけど俺は大丈夫なのかな
「…あのさ、じゃあ俺怖い、?」
『え、なんで?』
両親ともαだから目茶苦茶濃いαなんだよね俺。めめは多分見ただけでもちょっと怖くなっちゃうタイプだから真実が明らかになった今、俺のこと怖いんじゃないのか。怖いって言われても離れるくらいしかすぐ思い付く対処法ないんだけど。これで距離取られたりしたら1週間くらい寝込んじゃうよ俺
『怖くない』
「ほんとに?」
『全然怖くないよ、発情期来てないからなのかもだけど』
怖がられていないのであれば良かった。1年間大事に大事にしてきた恋人を第二性ごときで失ってたまるか
「じゃあこれからも俺と恋人として、一緒に居てくれる?」
『…やだ、って言ったらどうする?』
寝込む。普通に倒れますよ、ここまできて拒絶されることある?えぇ嘘でしょ今この人やだって言った?普通に考えて今の流れはうんって言うところだと思ったんだけど今どきのモテ男は一筋縄じゃいかない感じなのか、難しい
「んーー…やだって言われても、離したくない……」
『あ、そうじゃなくて、』
「え、別れ話じゃなくて?」
『違うよ笑』
どういうこと、名称が変わるってこと?プロポーズですかもしかして。いやでも日本って同性婚ダメだけどめめ知ってるのかな
「…じゃあ結婚?」
『それは飛ばしすぎ』
「あれぇ…じゃあ何?」
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目黒side
俺が一回別れ話みたいな雰囲気を出してしまったからだろうか、阿部ちゃんがおかしくなってしまった。結婚は流石にぶっ飛びすぎ、いつかはするかもしれないけどもう一個あるでしょ段階が
『えーっと、恋人だけじゃなくて、番の関係も…って、言ったら欲張りすぎ?』
あ、固まった。フリーズしてる阿部ちゃん久々に見たなぁ…てか答えないってことは嫌なのか?申し訳ないけど俺は無言はその事象に対しての肯定意見だと受け取る派だから嫌だと思ってても返事出るまで粘り続けるけど
「全然欲張りすぎじゃない、なんなら俺もそうなれたらなって思ってた、から、」
『え、ほんとに?』
「番になったら他のαから狙われる可能性も減るし。守られてばっかじゃダメだなって思ったから」
静かに告げられた彼の返答及び覚悟は俺を安心させる材料として十分すぎた。あの時は項を噛まれると思った瞬間めちゃくちゃ怖かったのになんか今は大丈夫。絶対痛いだろうし噛まれたらもう後戻りは出来ないけど、彼なら大丈夫だろうと妙に落ち着いていた
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阿部side
『…ごめん待って、やっぱ怖い』
いつやる?いつでもいいよ、んじゃちょっと今やってみる?ってノリになったから試しに首筋を甘噛みしていたらあの時のことがフラッシュバックしてきてしまったのか怖じ気づいてしまったようで。…そういえば、ふっかはαなのになんでめめのフェロモンに反応しなかったんだろ。そんな疑問が脳裏を過るも今は彼を優先すべき、また後で考えよ
「ん、じゃあ今日はこの辺でやめとこっか。焦るもんじゃないしね、めめが今日なら大丈夫って日にまたチャレンジしよ」
ゆり組はあっさりいったみたいだけどどこもかしこもそんな上手くいく筈はないと自分に言い聞かせて少しずつ感じ始めた支配欲のようなものを抑え込む。まあいつでも会えるわけだし今度でいいや、ととりあえず今日はここまでにして彼から離れる
『…あーのさぁ、もうちょっとくっついといても良かったんじゃない?』
この男いつの間にか俺を凌ぐほどにあざとく育っている。なんだかんだ言って離れるの嫌って言ってくるこの姿を愛おしいと言わずしてなんと言おう
「じゃあくっついとく?」
『…いや、もういいかな』
あれひょっとして拗ねちゃった?まあこっちは拗ねられても可愛いし珍しいとこ見れたラッキー、くらいにしか思ってないんだけどね
『あ、そういえばベッド1個しかないんだけど』
「え?あ、じゃあソファ借りて…」
『いやあの、一緒に寝ない?』
…さて俺は今夜耐えきれるだろうか、そして彼も耐えられるだろうか。離れたくないが故のこの爆弾発言なんだろうけど喰うか喰われるか何もないかわかんないからなぁ。何処か、何か期待したような目を見詰め返しながら少し口角を上げてはこくりと頷いた