【放課後・保健室のあと】
放課後、校舎の裏手。
柔らかな陽が差す中、ほのかは楓とベンチに並んで座っていた。
「……楓。やっぱり、もう全部分かってた。
私の家、昔から変な人が出入りしてたし……おじいちゃんも何か隠してると思ってた。
でも、楓が……忍者だったなんて……」
楓は苦笑いする。
「……ごめん。言うべきか、ずっと迷ってた。
でも、あの夜ーーもう嘘はつけなかった」
ほのかは首を横に振る。
「怒ってない。
むしろ……私に教えてくれて、ありがと」
二人の間に、しばしの沈黙が流れる。
「……でも、辛いなら、やめてもいいんだよ」
その言葉に、楓の瞳が揺れる。
「……私、辞めたくない。
まだ、戦いたいんだ。むつると一緒にーー」
そのとき、楓のスマホに一通の暗号が届く。
【新任務・白虎隊、出動】
《白虎隊、任務:本日20時・港倉庫群潜入および監視》
任務連絡を受けた楓は、その足でむつるのもとへと向かう。
「ほのかはには……もう隠さなくていい。それだけで、少し心が楽になった」
むつるは、楓の目を見て、静かに頷いた。
「お前の戦う理由が、強くなったら
ーー
俺も、もっとお前の隣に立てるようにする。」
【夜・港地区】
白虎隊の任務開始。
対象は、敵組織《黒連》の1部残党とされる影の動き。
港には、怪しい輸送車が複数止まっていた。
楓は灯の届かぬコンテナの陰で、目を光らせる。
「……動いた」
数名の黒装束たちが、何かを運び込もうとしている。
むつるが小声で囁く。
「ここ、ほのかの家の裏手にある港だ。やっぱり……また狙ってるな。」
「絶対に……近づけない」
その言葉と共に、楓の手のひらに赤い火が灯った。
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