ピロン
スマホに今日も通知が届く
送っている人物は見なくても分かる
美姫さんだ
蒼くんと話したあの日から少しサークルに行きにくくなっちゃって、
授業は受けてるけどレッスンには参加していない
美姫さんもそれは知っているから、
「元気?」「今日はレッスン来れそう?」みたいな連絡がここ最近来ている
レッスンといっても発表するための練習ではなく、新入生の実力を確かめるためのものだとか
それがなくちゃ配役も難しいしね
でも僕はレッスンに参加していないから裏方をやる予定
そのほうが舞台にでないし、蒼さんも納得してくれるよね?
本当は舞台に出たかったっていうのは…秘密にしておく
ピロン
また美姫さんか…
メールのタイトル(?)には「緊急」と書かれていて、気になって開けてみる
「今日はレッスンきてね」
「大事なお話があるから」
…大事な話ってなんだろう
裏方の説明とか…?
なら行ったほうがいいか
久しぶりにサークルの練習室に行くのかあ…と思っていたらまたメール
「追加」
「集合場所は◯◯劇場ホール」
え?いつもと違うじゃん
僕が通っている大学のすぐ近くにある劇場ホール
そこは美姫さんの先生にあたる人が大金はたいて建てた、このサークル専用のホールだとか
それを聞くと本当にすごいサークルなんだな…って、
本当にここに入れたんだな…ってしみじみしちゃう
でも行くまでにちょっと時間がかかっちゃうから、それならサークルの練習室のほうが楽ってことで
普段は使ってないみたい
だから僕も行くのは初めてなんだけど…
「どこに行けば良いんですか?」
美姫さんからは劇場ホールだと伝えられただけで、どの部屋とかは聞いてなかったことに気づいた
さっきから連絡してるのに返信がいっこうに来ない
多分レッスンの準備とかしてるんだ
熱心なのはわかるけどそれはそれで困っちゃうんだな…
「黄」
後ろから名前を呼ばれた
「蒼さ…蒼くん」
「ん…久しぶり…」
あんなに変な空気になっていたのに、また僕に話しかけてくれたことが
ちょっと嬉しい自分と、どこかイラついている自分かいる
いったいなんでだろうね
「元気…?」
「まぁ…はい」
もともと話すのが苦手ななのと、もっと話したいのと、今は話したくないのが混ざって変な気持ち
「サークルはどう?」
「僕…最近レッスン行ってないです」
「え…あ……そうなんだ」
僕がいないの知らないなんて、それほど僕に興味がなかったってことだよね
きっと今のも話題を探した結果だ
つまり僕と話したくないのに無理やり話してるってことでしょ?
なら…もう僕と話さなくていいのに
ここに居たくないなぁ…
美姫さんに連絡だけして、
今日はもう帰ろう
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