王都の離宮、ルカ(健二)は至福の時間を過ごしていました。三人の「添い寝シフト」の隙を突き、ふかふかのソファで「神の板(スマホ)」を取り出したのです。(……ふぅ、ようやく一人になれた。やっぱり二次元の美少女は癒やされるなぁ……)
ルカは前世で保存していたスマホゲームの、露出度の高い「猫耳美少女キャラクター」の画像を眺めていました。大きな瞳、ぷにぷにした頬、語尾に「~にゃん」とつくあざとい可愛さ。ニート時代の彼を支えた心のオアシスです。
ルカは無意識に、デレデレとした締まりのないニート顔で、画面の美少女を「なでなで(スワイプ)」していました。
だが、その背後には**「殺気」**を完全に消した三人の影が。
「……ルカ様。その板の中にいる『耳の生えた珍妙な女』は、どこのどなたですか?(ナツメ)」
「ヒギィィッ!?」
ルカは椅子から転げ落ちそうになり、スマホを隠そうとしましたが、時すでに遅し。三人の美女が画面を冷徹に解析していました。
「……解析完了。二頭身のデフォルメされた造形、不自然なほど大きな眼球。ルカ様、このような『絵空事の女』に指を滑らせるなど、視細胞の無駄遣いですわ!(アヤ)」
アヤが眼鏡をキィィィィンと光らせ、スマホを奪い取らんばかりに身を乗り出します。
「そうですよ、ルカ様。その子は『にゃん』としか言えないようですが、私なら貴方様のために、もっと……もっと甘い声を出せますのに(ミナ)」
ミナは慈愛の微笑みを浮かべつつも、背後の「聖なる金槌」からバチバチと火花を散らしています。
「ルカ様! その子より可愛い女が、今、貴方様の目の前に三人もいるのですよ! さあ、その板を捨てて、私を見てください!(ナツメ)」
ナツメは「アシュフォード・スタイル(肩破り)」の服をさらに少し広げ、筋骨隆々かつ美しい肩をルカに押し付けました。
「(いや、みんな綺麗だけど、タイプが違うんだよ! 二次元は別腹なんだよ!)」
ルカはパニックになり、つい本音を叫んでしまいました。
「だ、だってみんな、怖すぎるんだもん! この子みたいに、ニコニコしてて『ご主人様~』って言ってくれる癒やしが欲しいんだよ!」
「「「…………ご主人様?」」」
三人の動きが止まりました。ルカは「(あ、言い過ぎた。引かれたか?)」と思いましたが、彼女たちの脳内はすでに**「究極のご主人様ごっこ」**へとシフトしていました。
「……なるほど。あの方は、対等な関係ではなく、明確な『主従の愛』を望んでおられるのね(アヤ)」
「……『にゃん』と言えば、あの方は癒やされる……。簡単なことでしたわ(ミナ)」
「……今日から私は、騎士ではなくルカ様の『忠実な猫』になります!(ナツメ)」
翌朝、ルカが目を覚ますと、そこは地獄(天国)でした。
アヤが「主様、解析(朝食)の時間にゃん」と無表情で猫耳の形に髪を結んで現れ、ミナが「ご主人様、今日もお耳を掃除してあげるにゃん」と膝枕を強要し、ナツメが「ご主人様! 散歩の時間にゃん! 早く私の背中に乗るにゃん!」と四足歩行に近い姿勢で待機していました。
「(やめてええええ! 三人のキャラが崩壊してる! 怖い! 前より何倍も怖いよおおお!)」
ルカが涙目でスマホの電源を切ると、それを見た兵士たちは「……見たか、ルカ公爵様は一言で、帝国最強の三人を『可愛らしい小猫』に変えてしまわれたぞ」「まさに世界を支配する、究極の調教術だ!」と、またしてもルカの伝説に「全人類をペット化する魔王」という恐ろしい項目が加わるのでした。
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