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#ドラマ
柘榴とAI

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羽海汐遠
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『預言者のメモ⑥』
ようやく夏休みに入った。
うだるような暑さの中、学生たちは満面の笑みで帰っていく。
怪しいこと、ものには近づかないと注意喚起をしたが、あの浮かれた脳みそにはきっと届いていないだろう。
いつもなら俺だって浮足立っている。
雑務は残っているが、それでもしばし仕事から解放される。
羽を伸ばし、珠奈(みな)と蛍太(けいた)と海に行ったりバーベキューをしたり、夏を満喫する、はずだった。
だが、今年の夏は気が重かった。
蛍太から送られてきた謎の”たぬき”のスタンプ。
よくある仕組みとしては、”た”を”抜く”こと。
だが、被害者の名前の中に”た”があるのは、小宮祥太(こみや しょうた)と平良徹だ。しかし、この”た”を抜いたところで意味は無いように見える。
(”たぬき”…”たぬき”…いや、もっとシンプルに考えて、何かを抜く、取るってことか?)
”右手が無い”ということは、被害者から何かを取る。それが、次の被害者を示すものになるのかもしれない。
俺は被害者全員をひらがなに直す。
一人目:きりしまゆい
二人目:こみやしょうた
三人目:おおにししげる
四人目:ささきしほ
五人目:たいら…
徹の字にはいくつか読み方がある。
テツなのかトオルなのか。悩ましいところだ。
(”右手が無い”ってことは、右から言葉を取るってことか?)
「い」、「た」、「る」、「ほ」、「つ」もしくは「る」。
”たいらてつ”でも、”たいらとおる”でも意味不明な言葉になる。
そこから並び替えて人の名前になる、わけでもなさそうだ。
(順番が決められているということは、並び替えの可能性も低そうだし、右から一つ目とか二つ目とか…「い」、「う」、「し」、「さ」、「た」、もしくは……ん?)
俺はふとある文字が並んで見えた。
(右じゃなくて、左から文字を抜いていくと…)
一人目:”きりしまゆい”の一文字目「き」
二人目:”こみやしょうた”の二文字目「み」
三人目:”おおにししげる”の三文字目「に」
四人目:”ささきしほ”の四文字目「し」
五人目:”たいら徹”の五文字目「つ」もしくは「お」
(「きみにしつ」、では意味が通じないが…「きみにしお」なら意味が通る。「君に塩」?……でも、どういう意味だ?)
俺は「徹」の漢字に他の読み方が無いか調べるためスマホを取り出すと、あるニュースが目に飛び込んできた。
【現役刑事が車内で殺害される事件が発生!右手が無い遺体もこれで五体目!!】
俺の背筋に冷たいものが走り、ほぼ条件反射で記事をタップして読み進める。
【今朝早く、展望台に停められていた車内から遺体が発見されました。被害者は現役の刑事、平良徹(タイラ トヲル)さん50歳】
「トヲル…?」
その文字を見た瞬間、俺は頭から氷水をぶっかけられたような強い衝撃を受けた。
(あの平良徹が、この平良徹だったとしたら、あの文字列は…)
「き」「み」「に」「し」「を」
(「君に死を」……蛍太は、俺を…俺を殺すつもりなのか?なんで?どうして?)
理解ができない。
物心ついたときから一緒にいる蛍太がどうして俺を殺す?
俺が何をした?
意味がわからない。
この文字列も違うのでは?
そこに一件のメッセージが届いた。
珠奈からだ。
《蛍太くんが遊びに来たよ〜》
一瞬、呼吸が止まった。
全身の血が引き、胃が捻れるほど痛み、頭がおかしくなりそうだった。
(「君に死を」は、「誰」なのかを示していない。だから、俺じゃない可能性もある。珠奈や腹の中の子の可能性も…)
蛍太の顔が上手く思い出せない。
(これは、俺の知っている蛍太なのか?)
言葉にならない恐怖が、心の底から湧き上がってきて俺は職場を飛び出した。
コメント
3件
ついに謎が解けそう…! 右手がない事自体が鍵だったんですね!