テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
4話 全部赦して挙げる①
ツバサside
「お邪魔します」
花火を終えて蒼のおばあちゃんの家に着くと、既に夕飯が用意されていた。
食べ終えると直ぐに蒼から用意された部屋へ案内され、テレビを見ながら他愛のない話をした。
「ねえ、蒼…」
「何?」
「あのさ、好きな人とか…いる?」
「…え?」
「あおちゃーん!お風呂沸けたよー!」
タイミングが良いのか、悪いのかリビングからおばあちゃんの声が聞こえた。
「あ、ごめん!ちょっと行ってくる!」
蒼がその場を離れた。
思わず顔を覆う。
こんなこと聞くはずじゃなかったのに、状況に呑まれてきいてしまった。
聞いてどうするつもりだったのか、自分でも冷静になって考えると解らない。
「はぁ…」
思わずため息が漏れる。
戻ってくる足音が聞こえ、頬を叩き表情を戻す。
「ウチのばあちゃんお風呂すぐ入らないとうるさいんだ。ツバサが嫌じゃなかったら…その…一緒に入る?」
「嫌じゃ…ない」
「やったー!!タオル準備してくる!」
軽い足取りで脱衣所へ駆けていく蒼。
(え、一緒に風呂!?)
冷静で居られる自信がない。
「ツバサ!タオルこれ使って!準備できた?」
「あ、うん。今準備する」
心臓がバクバクする。
「シャンプー持ってきた?」
「あー、持ってきてない」
「僕ので良かったら貸す?」
シャンプーボトルごと抱えて、ラベルを見せてくれる。
(女子か!?)心の中でツッコんで口では
「そうしてくれると有難い」
と、自分でも驚くほど冷静に返答していた。
案外大丈夫かも知れない。
この時はそう思っていた。
蒼side
脱衣所で何食わぬ顔して服を脱いでいるツバサ。
でも僕は知っている。
本当は緊張していることも、嬉しくてたまらないことも。
さっき、好きな人を聞いてきた理由も。
「あ、あのさ!洗うとこ見られるの恥ずいから
、洗い終わったら呼ぶから蒼は後から来て!」
「…うん、分かった!」
僕はツバサにだったら、なんでも赦してあげるのに。
(体洗ってあげたいな…。入っちゃダメかな。ツバサ怒るよな…。)
ツバサの頭の中の事を、全部僕の事でいっぱいにしたい。
他のことを何も考えられなくなるくらいに、そうなればツバサと僕は救われる。
コメント
1件
わあ〜〜第4話、めっちゃドキドキしながら読んだよ!!😭💕 一緒にお風呂って展開、心臓もたんかったわ…!!ツバサの「好きな人いる?」って切り出し方も可愛いし、蒼の「なんでも赦してあげる」って思考がもう尊すぎてやばい!!最後の「ツバサの頭の中を僕の事でいっぱいにしたい」って蒼の心理、切なくてエモすぎるよ…!!この後の展開が気になりすぎて今夜眠れないかも🥺✨ 慰麗梳さん、素敵な作品をありがとうございます!!続きが待ちきれないです🌸
675
#オリジナルキャラ
彩
34
#『西阿より。〜王権の終焉。』
#グロテスク表現あり