「とろける唇」
頬を両手で包み、唇を塞いだ瞬間、目の前の体がこれ以上ないほど 強張(こわば)った。
でもやめるつもりはなかった。
さんざん 煽(あお)られて、俺がどんな気持ちだったか、少しは思い知ればいい。
唇を押しつけただけで、俺のシャツを掴む 千夏(ちなつ)の手は震えたし、こういうことに慣れていないのはすぐにわかった。
キスが初めてとわかる反応に、無意識のうちにほっとしている自分にも、少し驚く。
それに触れているだけで心がどんどん傾いて、どれほど俺を揺さぶったら気が済むんだと、かすかな苛立ちまで生まれた。
続けているうちに、やがて千夏の体が小刻みに震え始めた。
もしかして、息の仕方もわからないのかもしれない。
ほんの少し唇を離すと、予想通り大きな息が零れ、ぎゅっと瞑っていた千夏の目が開いた。
「怖い?」
千夏は抵抗するわけでも、拒否するわけでもない。 *******************
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