「好きになってほしいよ」
あれからやっとのことで気持ちを落ち着け、着替えて書斎に戻ると、 佐伯(さえき)と 川崎(かわさき)さんが仕事の話をしていた。
ドキドキしながら佐伯を見れば、あんなことをした後なのに、彼は不機嫌というほかは至って普段と変わらない。
その様子に、もしかして佐伯にとってはキスなんて大したことじゃないのかもしれないと、急に不安になった。
(……やっぱり、嬉しかったのは私だけなのかな……)
「思ったより風があって気持ちがいいですね」
「……えっ?」
暗い気持ちで佐伯のことを考えていた私は、川崎さんの声に慌てて顔をあげた。
ここは臨海公園の遊歩道。
私のとなりを歩く川崎さんは、思い出したように笑った。
「しかし、皓(ひかる)様も皓様ですよね。私が望月(もちづき)さんをご自宅まで送っても問題ないのに、自分で送ると頑ななんですから」
「は、はは……」***********
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