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テラーノベル(Teller Novel)
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なんでこんなことになってるんだろう。

先ほどから繰り返し思ったことを、また思う。


だって信じられない──彼に、ベッドに組み敷かれているなんて。

「由梨」

そんな、聞いたこともない愛おしげな声音で、呼ばれるなんて。




この時に至るそもそもの始まりは、およそ半年前。 久しぶりに実家に帰省した週末。

昔の癖で郵便受けを覗いたら、いくつかの郵便物の中に、私宛ての封書があった。

家に入り開けてみると、数枚の紙の一番上に「同窓会のお知らせ」の文字。高校の同窓会の通知だった。

二ヶ月後の五月に、地元駅前にあるホテルの宴会場にて、学年全体向けの集まりを開催するとのこと。卒業十五年目を記念して、と注釈があった。

ひと通り読んで、無意識に、手紙を机の上に投げ出してしまった。「どうしたの?」と母に問われて、はっとする。

慌てた手つきで手紙を拾い上げ、折り畳んで封筒に元通りしまった。

「なんでもない。何か、買い物ある?」

我ながら唐突な問いだったし、母も察しただろうと思う。けれど何も尋ねることなく、今日と明日に必要な食材で足りていない物を書いたメモを渡してきた。

それと財布とスマホ、エコバッグをコートのポケットに入れて、近くのスーパーに向かう。

三月に入ったとはいえ、気温はまだ低い日が多い。この日は風が少し強くて、体感温度はさらに低まっていた。冬用のコートにしておいて正解だった。

実家にいた頃の行きつけのスーパーは、以前来た時と様子は変わりない。メモに書かれた食材はそこそこの数あったけど、どれも難なく見つけることができた。

午後の早い時間なので、店内は混んではいない。空いていたセルフレジで会計を済ませ、店を出る時、思いがけない人物に出くわした。

「あ」

「おう」

「……なんでいるの」

「ご挨拶だな。たまに帰ってきちゃ悪いか」

「悪くないけど」

お互い、大学進学を機に実家を出て、一人暮らしを始めた。お正月やお盆ならともかく、そうでない時期に帰省のタイミングが重なるなんて、かなり珍しい。

付け加えるなら、今年のお正月はこいつが帰ってきたのを見かけていないので、会うのはずいぶんと久々だ。

同じ町内に実家がある。向かい筋斜め左前の家の息子。

学年が同じなので、必然的に幼稚園から高校まで一緒だった。

「重そうだな」

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