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ナイトマーケットは商店街みたいなアーケードになっていて、入り口の天井にでかでかと英語のネオンが光っている。
「マンゴースムージーで有名な店があるんだ。まずそこで喉の渇きを癒そうか」
「はいっ、涼さんっ!」
私がいい返事をすると、恵が「夏の心霊番組じゃないんだから……」と突っ込みを入れる。
お店はアボット・ストリートから入ってすぐにあり、ノーマルなマンゴースムージーから、ソフトクリームがのった物など色々ある。
どれも一品につきマンゴーをまるまる一個使っていて、贅沢なぐらい甘くてフルーティー!
日本人も結構いるようで、歩いているとあちこちから日本語が聞こえてくる。
洋服を売っているお店では、いかにも南の島! という柄物のワンピースをマネキンが着ていたりして、異国情緒がある。
「あ、俺、コーヒー買おうかな」
そう言って、尊さんは近くにあったお店でフレーバーコーヒーを買っていた。
私の大好きな、チョコやナッツのフレーバーなので、今から飲める時が楽しみになってしまう。
「キュランダ鉄道に乗る時、キュランダ村でもコーヒー豆が売ってるから、そこでも買っとく。朱里はプロポリスキャンディとか、お土産にどうだ? このMGO550+っていうのが、マヌカハニーの抗菌成分なんだ」
「へぇー!」
「800ぐらいになると、ピロリ菌にも抗菌作用が効くとか」
「すごーい! お母さんに買ってこ!」
私がキャンディを手にとると、恵が「我も」と同じ物を手にする。
「でもね、本当はマヌカハニーが採れるマヌカの木は、世界中でニュージーランドにしかないんだ」
涼さんに言われ、私と恵は「へー!」と感心する。
「そうなんですね。でもこっちも体に良さそうだからいいや!」
「『海泳いでニュージーランドに行く』って言うかと思った」
恵にからかわれ、私は下唇を出して抗議する。
「いくら食いしん坊でも、キャンディのためにそこまでしませんよ~」
「私が病気で倒れて、ニュージーランドのマヌカハニーでしか治らないって言ったら?」
「行く!」
私たちは冗談を言って盛り上がり、「あははは!」と笑う。
「尊……、女子が眩しいよ。恵ちゃんの笑顔プライスレス。俺にももっと冗談言ってほしいな」
「冗談言ってもらえる、面白い男になってみろよ」
「虹色アフロのヅラと、鼻眼鏡でもして、全身タイツを着ればいいのかな」
「中村さんが、猫みたいに警戒してる様子が目に浮かぶ……」
私たちはそのあとも、例の道路標識のキーホルダーを買い、独特なアボリジニ柄の製品を見たり、巨大なドリームキャッチャーを見た。
お菓子を売ってるお店もあって、珍しくてついつい手に取ってしまう。
感動したのは、ザ・ペロペロキャンディという感じの、うずまき型の棒キャンディがあった事だ。
「すぐ近くにスーパーマーケットがあるから、そこも寄ろうか。現地の食べ物なら、そっちのほうが沢山あるはずだよ」
「わーい! 面白そうなカップ麺あるかな!」
「沢山あるよ~」
「イェーイ!」
私は涼さんとハイタッチする。
「さっきのステーキで腹は膨れてるから、フードコートで適当に食ってスーパーマーケット行って、一旦ホテルで着替えて、カジノ見学しないか?」
「えーっ!? カジノ入っていいんですか? 捕まらない?」
「全然。行ってみたくないか?」
「興味あります! でも、ドレス持って来てないですよ?」
ドキドキしつつ答えると、尊さんに頭を撫でられる。
「そこまでドレスコードが厳しい訳じゃねぇんだ。男は襟付きの服を着て、女性はワンピースならOK。ビーサンNG。その程度。ルーレットなら2.5オーストラリアドル……、まぁ、二百五十円ぐらいからできる」
「そんなにお手軽!? それで、スッテンテンになって、全裸になって追い出されるんですね?」
「マンガの見過ぎ」
尊さんはクスクス笑って、向かいから来た人に私がぶつからないように、グイッと肩を引いた。
「三千円ぐらいまで、とか決めて安全に遊べるよ」
「へー、興味あります。……というか、賭け事は怖いから、雰囲気見るだけでいいかな」
恵が消極的な事を言うので、私は発破をかけた。
「私がルーレットで赤に入れて勝ったら、恵バニーガールコスね!」
「なんでやねん!」
「じゃあ、俺、黒!」
当然のように涼さんが乗り、恵は「ああもう……」と手で額を抑える。