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数ヶ月ほど前、俺はクロスから告白を受けた。

言われたときこそ少し悩んだものの、俺はOKを出した。

幸せか、って?もちろん幸せさ。だってずっと片思いし続けてきた相手だったから。この気持ちを伝えて、断られでもしたら?もう「親友」なんかには戻れない。まぁそんな心配は杞憂で、実際は両片思いだったとまでは思わなかったけど。


恋人になってからのクロスは、いつもの態度で接してくれるときもあるし、たまに愛の言葉を囁いてくることもあるし・・・だめだ恥ずかしすぎて思い出したくない。悪い気はしなかったけど。それに、俺のことを大切にしてくれるというのが普段の言動からひしひしと伝わってくる。こんなやつと恋人になって、やっぱ俺って幸せモンだなぁ。


でも・・・ただ一つだけ不満がある。

恋人になっても、クロスは一向に俺に手を出してくれないんだ。クロスという存在がありながら、結局自分で処理してることがどれだけ虚しいか。

いつの日かクロスは、「お前が大切な人だからだ」とか言ってたけど……やっぱり、本当は俺とじゃそういうこと、できないのかな?あの時は、そう言って濁しただけで。


いやまあな?俺45のおじさんだし?気持ちはわかるよ?わかるけど・・・・・・さ。もっと恋人らしいこと、したいな。




なんて、思うのは・・・


俺のわがままなのかな。


・・・こんなこと考えてても仕方ない、起きよう。


「ッあ〜〜〜」


大きく伸びをしながらベッドから出る。今日はちょうど俺もクロスも休みの日なんだ。


いつもいつも、今日こそは・・・と思って失敗する。正直もうクロスからは期待していない。こうなったら自分から襲いに行くまでだ。雰囲気が良くなったらそれとなく誘って、それとなく・・・

いやいやなんで今からこんな妄想してんだよ馬鹿か俺。


「おはよ〜クロス〜」

「おっ、おはよう。エピック」


寝室から出るとともに、いい匂いが寝起きの俺の鼻を刺激する。

こういう休みの日は、いつもクロスが朝食を作ってくれる。

これがまぁ美味い。聞くとクロスはいつも仕事をこなしながらもナイトメア達のアジトで雑用係もさせられているらしい。そこでクロスは主に調理を担当していて、それで自然と上達していたと言っていた。


「いただきまーす!」

「いただきます!」


こうやって2人で向かい合って食事をするのもなんだか久しぶりな気がする。・・・いや、実際に久しぶりだな。俺も俺で実験やら書類やら立て込んでて、何ならクロスよりも家に帰る頻度が少ない。今回は俺もクロスも少しまとまった休みをもらっているため、久しぶりに2人でのんびりできる。


「ん〜〜やっぱりクロスのご飯は美味いなぁ✨️」

「ふふ、ありがと」


そう言って二パッ、と笑うクロスにつられて、俺も思わず笑みをこぼした。


朝食を食べ終え、俺達は身支度をする。今日はクロスと買い物というか・・・まぁ、あれだ。実質的なデートだ。

俺はいつもの紫のパーカー、クロスはいつも着ているパーカーとは違う、私服を着る。


「よし、行こっか」

「あぁ」


俺達は一番近くのショッピングセンターに向かう。

こういう時、腕組んで一緒に歩きたいなぁとか思うけど、クロス曰く、「まだ俺達の関係知ってる奴らほとんどいないしもしそんなところ先輩たちに見られたらいじられるに決まってる・・・」ってことで外ではそういうことを控えることにしている。

俺も、外でそういうことをするのは恥ずかしいし、やめておいた。


まぁ、それからは色々あったよ。


途中で運悪くナイトメアに会っちまってクロスが少しからかわれてた。

着いてからも、人が多すぎて何度かはぐれかけたし・・・てか1回はぐれたし・・・

あ、でもチョコチップクッキーがたくさんあったのは僥倖だったな。クロスのお目当てのちょっとお高めのチョコと一緒に買ってもらった。

あとはゲーセンがあったから少し遊んでいった。メダルゲームで無双するの楽しい☆

ちなみにクロスはすぐにメダル切らしてた()

昼食は、そこのフードコートで食べた。やっぱりお店ってすごいな。クロスの朝食にも引けを取らないほど美味かった。で、それをクロスに言ったら「いや判断基準俺の飯かよ!?w」ってツッコみながらも嬉しそうにしてた。

その後は特に何事もなく目当ての物を買って、夕方には帰った。



「はぁ〜疲れた〜」

「でも楽しかったなbruh」

「フフッ、そうだね」

「・・・」


そういや今まであまり考えたことなかったけど、クロスってイケメンだから女性にはモテるはずだよな。なんでわざわざ俺を選んだんだ?


「どうした?エピック」

「え?あぁ、いや、なんでもないぜ」


・・・今考えるのはよしておこう。


「エピック〜ご飯できたよ〜」

「あぁ!」


勝負は晩飯を食べてからだ。

俺からでいいから今日はなにがなんでもベッドインしてやる・・・!


ご飯を食べてるときはそのことで頭がいっぱいで、緊張して、食べ終わってからもずっとソワソワしっぱなしだった。

何度か、


「どうしたの?エピック?なんかずっと上の空だけど……」


と聞かれたものの、


「え?そうか?」


でなんとか乗り切った。



それから数時間、進展は全くない。

想像以上の自分のヘタレっぷりに頭を抱える。


「結局・・・クロスと同じじゃんかよ・・・」

「何が俺と同じって?」

「うわっ」


ウソやばい聞かれてた。

あ、でも・・・聞くなら今のうちか?


「な、なぁクロス・・・」

「ん?何?」


やっぱり、ためらっちゃう・・・

これ言って引かれちゃったらどうしよう・・・

・・・えぇい、言わずに後悔するよりマシだ!


「ク、クロスはさ、俺に、手出してくれないの?」

「・・・ふぇ?」


クロスにとっては予想外だったのかわけがわからない、といったような顔をする。

それに、無性に腹が立って、俺は感情に任せて話し出す。


「だって・・・恋人になってからただの一度も…!…そういう、コト、してないじゃん・・・」

「! それはッ・・・!」

「『俺が大切だから』なんだろ?だから手出さないのか?俺も・・・寂しいんだよ・・・ずっと一人で処理してきてさ、恋人がいるのに一人で、なんて、バカみたいだ」


あぁだめだ。涙出てくる。

ほんとにさ、もっと早くに伝えとけばよかったのかもしれないのにね。腑抜けな自分にも腹が立ってくるや。


「ごめん、なんっか・・・メンヘラ、みたいっでっ、さっ・・・」

「・・・ごめん、エピック」


嫌だ。その一言だけで終わらせてほしくない。


「それっでっ…逃げん…っなよ・・・」


クロスの腕を掴み、少し無理やりにでもキスをする。


「ん・・・」


すぐに顔を離して、今度はベッドまで連れ行こうとすると、


ヒョイ


「えっ・・・」


・・・いわゆる、お姫様抱っこ、という状態になる。


「エピック、ゴメンな今まで」

「クロス・・・?」


なんだか、切ないような、悲しいような…嬉しそうな?

よくわからない表情を見せる。


姫抱きの態勢のまま、寝室に連れて行かれ、ひとまずベッドに座らされる。


「俺さ、馬鹿だよな」

「え?」

「傷付けたくないから、俺、我慢してそういうコトするの避けてたけど、全くの逆効果で、しかもお前に泣かれて。…パートナー失格だよ、こんなの」

「…そんなことねぇよ。クロスが本気で俺のこと思ってくれてるっていうのは伝わってる。・・・そのたびにやっぱ俺ってクロスのことが好きなんだなぁって。ずっとクロスのこと考えて、まるで恋の病を患ったのか、ってくらい四六時中思い続けて、それで・・・いつか、そういうこと、クロスとしたいなっ、て・・・」


そこまで言ってやっと気づいた。


「え、ちょっと待ってエピック今の・・・」


「・・・忘れてくれ///」


ウワアアァァァァァなんて恥ずかしいことを言ってんだ俺は・・・!

羞恥心エグいもうヤダ恥ずか死ぬ寝る・・・


クロスに顔を見せまいとそっぽを向きながらベッドにもぐる。

後ろからバックハグしながら、こうささやいてくる。


「忘れるなんて無理だよ……」

「・・・」

「エピック、こっち向いて」

「?」


チュッ


「その、さ・・・いい・・・?」

「ッ・・・!///」


クロス・・・それはずるいって・・・


「・・・好きに、すれば・・・」


まともにクロスの顔なんか見れない。ぎこちなくそう返事するのが精一杯だった。















































「イッタァ・・・」


やば・・・思っていたよりも体に響くんだが・・・休みで良かったとつくづく思う。


「エピック…すっごく可愛かったよ」


追い打ちをかけてくるなbruh・・・

思い出すだけで恥ずかしいっていうのに・・・

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