「優ー?今日カフェよって帰らない?」
授業が終わり、帰る準備をしていたら瑠衣が、そう話しかけてくる。
「あー。ごめん。今日は用事ある。」
「え?あぁ、了解ー!また今度!」
察してくれたのか、他の人を誘いにそちらへ歩いていった瑠衣。
今日は、お母さん達が旅行へ行く日。
だから、早く帰って家に居ないといけない。
私を連れてってくれてもいいのに…
でも、お母さん達の恋を邪魔する訳にも行かない。
はぁ、早く帰らないと…
「うぅっ…」
学校を出て少し歩いた時、どこからか唸り声が聞こえる。
苦しそう…
周りを見渡し、声が聞こえるところまで歩く。
「えっ、鈴瀬さん…?」
木影のところに、苦しそうに顔をうずめている鈴瀬さんの姿があった。
「あ、杉山さん…」
涙を浮かべてこちらを見た鈴瀬さん。
「えっと、どうしたんですか?どこか痛い?」
お腹を抱えているから、腹痛がしているのかも…
「う、うわぁぁ!」
私が背中をさすると、鈴瀬さんは私に抱きつき泣き始めた。
「えっ、鈴瀬さん?!えっと、とりあえず、ここは汚れるので、ベンチ行きましょう?」
コクっと頷き、私に掴まりながらベンチに移動する。
「えっと、鈴瀬さん、なんで泣いていたのか、聞いてもいいですか…?」
あんなに泣いたってことは、なにか事情があるはずだ。
「えっと、実は私…」
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