テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
『Come back. My child.』
空を見上げると巨大な白い目が僕を覗いている。
「……はい、父上」
その声に逆らえず、重い斧を引きずりながら巨大な影の中へと足を踏み入れた。
巨大な白い目が、ゆっくり僕の前まで降りてくる。地響きすら起きない、それはあまりにもただ静かに、空を切り裂いてくように降りてくる。僕の頭上のわずかな光さえも奪い去った。
そして、その瞳に鏡のように映っているのはこの白濁した世界に、斧を握りしめた自分の惨めな姿が映っているの見た。
そんな神は歓喜するかのように十二枚の耳羽をピコ、ピコと跳ね上がらせて、柔らくて大きな翼で僕を包み込んだ。
『…Good boy.』
そう言われた瞬間、僕の耳羽がピコッっと反応するかのように動いてしまった。翼の中は暖かくて、今までの疲労も忘れるぐらいだった。そこは世界で唯一、僕が落ち着ける聖地だ。神の鼓動が、鐘の音のように聞こえる。
ずっとこのままでいられたら…と、そう考えていた。
『……けれど、もう行かなければならないね。我が子よ』
ふわり、と温もりが離れていく。神は僕を見下ろしこう命令した。
『…さぁ、あの愚かな大罪たちを救済しに行く時間だよ、我が子よ』
僕はその命令を聞いただけで足がくすんでしまった、まだやられると最初からだって分かっていたから。けど神には逆らえなかった。
巨大な白い目が、僕の足元に転がる重い斧をじっと見つめている。さっきまで僕を撫でていた慈愛は、今はもう、獲物を追う猟犬を見るような冷徹な期待に変わっていた。
「…はい、父上。救済してきます」
僕は黒い制服の襟を正し、二度と戻らないかもしれない闇へと歩き出す。背後で、父上の十二枚の羽が、見送るように静かに羽ばたいた。
『…気を付けて、愛する子よ』
コメント
8件

あの…語彙力ないんですけど世界線大好きです…!この世界線ってあれですか…救済系ですか?