※甚だしい捏造
※非日常な日常話
※実在の人物、団体とは一切関係ありません。
※軍パロです。
※以上をふまえて大丈夫な方のみおすすめください。
ゆっくりしていってね
「エミさ〜ん、たっけてくれ〜。匿って〜」
エーミールの意向も聞かず、ゾムはエーミールのベッドの中にもそもそと入り込んでいった。
ゾムに引き続き、しんぺい神が声を荒げてエーミールの寝室に入ってきた。
「おらゾムゥッ! 採血させんだよ、あくしろよ!!」
だが、ゾムを追ってきたハズなのに、当の本人の姿は見え……
「(しーっ)」
声には出さず、エーミールがベッドからはみ出たゾムの尻を指差し、しんぺい神にここだと促す。
あー、はいはい。
エーミールの意図を察したしんぺい神は黙って何度か頷き、足音を立てずにゾムの背後に近付く。
「エミさーん。ゾム来ぃへんかったか?」
「いやー。ここには来てへんねぇ」
事情を熟知した者同士の、実に白々しい会話。
そんな呑気な会話に耳を傾け、エーミールが庇ってくれていると安心しきったゾム。
途端に、ゾムのズボンがずりおろされたと思ったら、光の速さでアルコール綿が塗られてツルンとしたゾムの尻に注射針が刺さる。
「いっっっでぇぇぇぇッッッ!!!!」
「大人しゅう採血させとけば、まだ痛みはマシやったで? ……ほい、終わりっと」
「腕やのうてケツからやけど…。今んとこ問題ないし、まあ、エエやろ」
採血中にしんぺい神に渡されたアルコール綿とサージカルテープで、注射針が打たれた箇所の始末を淡々とこなすエーミールに、ゾムの怒りの矛先が変わった。
「何やねん、エミさんッ! 助けてくれる言うたやんッ」
「言ってませんし、採血くらい大人しく受けてくださいよ」
「一日に何度も採血やら注射やらで、プスプスされんの、もういややぁ……」
「それ言うたら、エミさんの方が、採血も注射もゾムの倍やし、何なら今も点滴中なんやけどね」
「エミさんは変態やから、エエねん」
「今度からもうゾムさんのこと、庇いませんからね?」
そう言われると何も言い返せなくなったゾムは、頬をプクッと膨らませ、何故かエーミールのベッドの中へと潜り込んでいった。
「まあ、大人しゅう採血させるなら、エミさんと同じ部屋にするんも考えたるで。ほなな」
しんぺい神がゾムから採った血を持って病室を出ると、ゾムがもっそりと毛布から頭を出した。
エーミールと顔が合うと、ゾムは再び頬を膨らませ、恨みがましそうにエーミールを睨む。
「……何で助けてくれんかったんや」
「恐らく一番毒素を含んでいる花を食べちゃったんですよ? ゾムさんの身体に異常があったら、皆も困るし心配します」
「せやから、何ともない言うてんのに…」
「私だって、襲撃を受けてから発芽するまで、三日かかっているんです。少なくとも五日は様子を見たいでしょう」
「入院いやや〜。退屈やし、注射怖いし」
「……ゾムさん、戦闘要員やのに、極端に注射嫌いますよね」
「ほっそい針が身体に埋まるって考えただけで、全身がぞわわ〜ってすんねん」
思い返しただけで寒イボが出たのか、ゾムは腕で自分を抱えて身をよじった。
珍しく泣き言が続くゾムの姿に、エーミールついクスリと小さく笑いを漏らした。
「今は技術向上がかなり進んで、注射も蚊に刺された程度痛みしかないって言いますけど」
「それでもイヤなモンはイヤやねん……」
不満そうな顔をしたまま、ゾムは顔を上げ改めてエーミールの姿をまじまじと見つめた。
愉快そうな笑顔を浮かべてはいるが、包帯の奥にあったはずの右目は奥の方まで摘出されており、左腕には点滴の太い針が刺さっている。
注射程度でギャーギャー騒ぐ自分が、少し恥ずかしくなってきた。
続く
コメント
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注射嫌いのzさんww emさんはemさんで冷静で凄い✨👀 平和な会話が栄養補給になる〜🤤