テラーノベル
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呼吸が浅くなる。指先が震える。顔から血の気が引いていくのか自分でもわかる。
体温が冷たい、頭が動かない、息すらうまくできない。
やっとのことで声を振り絞る。
ソ連「…………んだよッ、これ、」
『キーウ占領』『ハルキウ』『赤軍包囲』『春の目覚め作戦』『ベルリン陥落』『ナチス・ドイツ解体』
見たことがあるはずもないのに、妙に既視感のある単語ばかりが目に止まる。
軍旗が風にはためく音と赤々と燃え広がる炎の情景が頭痛とともに蘇る。
『「なんで条約を破った!?」「必要ないからだ。今すぐ失せろ」「っ、」』
『「フランス降伏しちまったぜ?どうすんだよ。」「アメリカ、俺には聞かないでくれ。」』
『「ソ連さん、大丈夫ですか?最近元気がありませんよ。」「お前には関係ないだろ。」』
『「おい、止めろ。待て、早まるな。」「世界で一番好きだった、お前の隣が。」頭が割れるような銃声が響き、今さっき、自分の前で死んだ国の亡骸を抱えた。』
息遣いが荒くなる。うまく吸えない。
違う、違う!違うッッ!!
俺じゃない。俺のじゃない。俺のであるわけがない。
そうだ、またいじられたんだッ なあ、そうなんだろ!?
段々、過呼吸になる。涙がとめどなく自分の中から溢れ出す。覚悟していたはずだった。
歴史を見るのはそう言うことだって。
しばらくは、何も考えられなかった。いや、考えたくなかった。
体から力が抜け始めて、膝から崩れ落ちる。
ぼやける視界には、呆れた表情でこちらを見ている国盟だけが映った。
少しして、呼吸だけは落ち着いてきた頃、国盟が口を開いた。
国際連盟「そろそろ出るぞ。」
ソ連「……」
俺はその言葉に素直に従い、立ち上がった。足が地についていないみたいだ。
国際連盟「だから止めたのにな。」
ソ連「まるでッ…知ってたみたいな…言い方、しやがっ、て。」
声が上擦って少し掠れた。
吸い込んだ空気がなぜか苦しくて咳き込んでしまう。
国盟が扉に向かって歩いていく。
俺もそれに続いた。
図書館を出ると、辺りは完全に黒に飲み込まれたあとで、右と左の区別すら怪しい。
国盟「同じことした国は、前にもいたんだ。」
思わず体が反応して目が見開く。嫌でも、その言葉が頭に残る。
ソ連「じょ、冗談だろ?今、疲れてッ、んだよ。」
国盟「まあ、聞きたくないならいい。そこを曲がれば元の道に戻る。」
ソ連「どう、もっ、」
国盟「ごくろうさん。」
音を殺して歩く。今は誰にも会いたくない。
特に何もなく、家に着いた。
電気を消そうとするが、まだ指先は震えていて、スイッチをうまく押せない。
体は限界に達していたようで、倒れ込むように寝てしまった。
朝、オフィスに入って荷物を置く。いつも通り、ナチスは2人と話している。
いつもとおんなじなのに。
笑うナチスの顔はどうにも不気味に見えてしまう。
一番守りたい笑顔を自分で壊しそうで、怖かった。
コメント
4件
え、もーさ天才? 天才だね 素晴らしいもう大好き最高