予定が合わず、阿部ちゃんと会えない日が続いている。
当たり前のように2人でご飯を食べて過ごしていたから、1人はなんだか落ち着かない。
そんな時メンバーに声をかけると、快く家に来てくれる。
この日は、阿部ちゃんの次に俺の家にいると言っても過言ではないラウールが来た。
2人とも少し仕事が早かったので、早めに食事をとった後にゲーム。
勝ち負けに一喜一憂しながら熱中していると、時間はあっという間に過ぎる。
ゲームの後はとりとめのない恋の話。
最近ラウールには気になる人がいるようで、話は聞くけど誰かはまだ教えてくれない。
🖤「相手がわからないとアドバイスも何もないだろ」
🤍「そうだけど、今は俺の気持ちを聞いて欲しいだけだから」
と、ずっとそんな感じ。水くさいなと言うと『いつか話すから』と返ってくる。
🤍「それよりコーヒー飲みたいな、自分で淹れるから。カップどれ使っていい?」
言いながら慣れた様子でカップボードを開く。
一番取り出しやすい真ん中に置いているのは、阿部ちゃんと使っているペアのカップ。
真ん中のペアのやつ以外ならいいよと言ったのに、何を勘違いしたのか阿部ちゃん用のカップに淹れてきた。
🖤「お前それダメって言ったろ」
🤍「あ、これがダメだったの?間違えちゃった。綺麗にしとくから」
ふいに玄関の鍵が開く音がして、リビングに阿部ちゃんが入ってきた。
💚「やっぱりラウールだ」
🤍「わ、お疲れ〜。今日早くなったんだね」
🖤「阿部ちゃん!?」
見ることもしていなかったスマホを開くと、かなり前に着信が入っていた。
🖤「ごめん、全然見てなくて……」
💚「大丈夫」
阿部ちゃんは手を洗いに行きながらラウールの手にしたカップを目に止めたが、『もー、それ俺の』と笑って通り過ぎた。
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