そういうことな…。何俺もちゃっかり「気持ちいい」なんて言ってんだよ…。
「わかった、そういうことな」
『すみません、女の子みたいなお兄さん…、可愛くて…』
「俺の、初めてが…、お前か…」
『は、初めてが、僕ですか!?』
目がキラキラしている。こいつ正気かよ。
あいつは朝ごはんを用意しに行った…のか…?
うん、そうだな。
『パンでいいですか?』
パンか、クロワッサンがいいな…。
「パンって何のパンだ?」
『お兄さんの大好物なクロワッサンですよ』
「んぐっ!!」
口に溜まってた唾が変なところに入った。
『大丈夫ですか?お水です』
「な、何で知ってんだよ」
『昨日言ってたじゃないですか』
また口を滑らせたのかとため息が出る。
俺はこいつが出したクロワッサンを頂いた。
サクッと気持ちの良い音がなる。
『いい食べっぷりですね』
「な、なんだよ。お前も食えばいいじゃん」
『僕はお兄さんが美味しそうに食べてるのを見れればそれでいいです!』
なんだそれ。こいついつか餓死するぞ。いや、餓死してしまえ。
『レモン水いかがですか?』
「…、なら、頂く…」
俺は気づかなかった。
あいつがニヤッと悪い笑みを浮かべたのが。
それに気づけなかった俺は後に後悔することになる。
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