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嵐が吹き荒れる夜、僕は見てしまった。
赤黒く染まった刀を持った″それ″が現れた。足元には沢山の死体が無造作に散らばっている。 鋭い目つきで目には光が宿っていない真っ暗だった。
″それ″は怯えている僕に「その刀」を差し出してこう言った。
「次はお前の番だ」
「起きろ」
「も〜…こんな所で寝たら風邪引きますよ?」
俺は机に突っ伏していつの間にか寝てたみたいだ。目を開けると見慣れた部屋と2人の男女が立っていた。
「はぁ、仕事溜まってるんだからさ勝手に休まいでくれる?」
彼の名前は影虎 龍(かげとら りゅう)。金髪と黒のメッシュが特徴的な凛々しい青年だ。
大学の制服を着て睨みつけてくる。
「ちょっとリーダーに向かって失礼でしょ!!」
「すいません、リーダー。龍が… 」
彼女の名前は葵 奏(あおい そう)。彼とは対照的で礼儀正しい清楚系美少女だ。
「後で彼にはお仕置しておきますので」
彼女はニコッと笑い、邪悪な笑みで龍に近づいていく。
「え、ちょ、ヤバっ」
身の危険を感じ逃げる龍を糸で絡める様に簡単に捕まえた。
「さぁ〜て、何をしましょうか…?」
「電気椅子?監禁?それとも…手錠をかけていたぶるのもありですね♪」
そう彼女は拷問官でもあった。
俺たち3人はそれぞれの仕事をしながら働く″殺し屋チーム″「月光」。
俺は机に広がった資料に目を通していたがいつの間にか とある新聞に目が止まっていた。
「~~街の~~で殺人事件…?」
その街は俺が昔住んでいた場所だ。
「凶器は…さすがに分からないか」
「リーダー、何見てるんですか?」
彼女が不思議そうに見つめる。
「ん?いや、ちょっと面白くてな」
俺は新聞を見ながら不意に笑みをこぼしていた。
「…まあ、見つからないのも無理は無いか」
「犯人は…″俺″だからな」
俺は壁にかかった刀を手に取り、今日も仕事に向かう。もちろん他のメンバーには教えていない。俺が殺人鬼という事は。
「ヒッ…」
路地裏で1人の中年男性が尻もちを着いた。
「はぁ、俺をそんな目で見ないでさ」
男性の首筋に刀を押し込む。「あえっ」と 男性は苦しそうに喘いでいる。
「恨むんだったら依頼人を恨みなよ」
そう言った瞬間、男性の首が飛んだ。
血しぶきが勢い良く飛んでくる。
「ああ、また1人…いや、2人か救ってしまったなぁ」
俺はウットリするような声で夜の街を徘徊していく。
「や、助けて…」
「もぉ、うるさいな〜。せっかくリーダーが君を助けてくれたのにさぁ」
葵も仕事をしていた。
「君が依頼した人…教師なんだぁ」
「そ、そうよ!アイツのせいで!」
「″いじめの隠ぺい″でしょ?」
「え…」
「あの教師は生徒に大金を貰いいじめの隠ぺいをしていた。確かに殺されて当然ね」
「じゃあ、なんで″被害者″の私まで殺されなきゃいけないの!!」
「まあ、そういうルールなんで」
「は?」
依頼人の女は葵によって殺された。
だが次の日、ニュースに取り上げられることは無かった。
″死体処理″の龍は密かに自分の任務を終わらせていた。