テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
3件
ノンフィクションってことはもふちゃんの実体験!? てか、文才ありすぎでは????
私のヒーローは、空を飛ばない。
でも世界で一番かっこよくて、優しかった。
これは、ヒーローを失った少女が「ありがとう」に辿り着くまでの物語。
ヒーローは消えない。
受け取った人の中で、生き続ける。
______
私のヒーローは、空を飛ばない。
マントもつけていない。
でも、世界で一番かっこよくて、
世界で一番優しかった。
その人は、私のパパだ。
見上げるほど背が高くて、たぶん185センチくらい。
私はそれが、少し自慢だった。
「うちのパパ、でっかいんだよ」
心の中で、何度もそう言った。
パパの声は低くて、でも怖くない。
静かでゆっくり、夜に聞くと安心する声だった。
怒鳴る声じゃない、包む声。
「大丈夫だよ」と言われるたび、
本当に世界が大丈夫になる気がした。
笑うときはフニャっと、力が抜けていて少し照れたような笑い方。
その顔を見ると、私は何も怖くなくなった。
パパは力持ちで、よくおんぶしてくれたり肩車もしてくれた。
ヒーローの肩の上から見る世界に、怖いものはなかった。
学校で嫌なことがあった日も、
私が少しワガママを言った日も、
パパはただそばにいて、否定せず聞いてくれた。
転びそうになったとき、
その大きな手に引き上げられて、私は思った。
ヒーローって、こういう人なんだ。
守る人。
黙って味方でいてくれる人。
私の世界は、
その背中の後ろにあった。
ずっと、そこにいられると思っていた。
――あの頃の私は、ヒーローも疲れるなんて知らなかった。