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#大人の恋
鷹槻れん@コノカレコミカライズ

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「この指輪を受け取った時、晴永さんのこと、信じるって決めたのに、怖くて晴永さんに『どうして?』って聞けなかった。聞いてたらすぐに誤解だって気付けたはずなのに……。勝手に傷ついて、勝手にあなたを疑って――」
指輪に触れながら、思っていたことをしどろもどろになりながら吐露する瑠璃香を、晴永がそっと抱きしめた。
「バカだな、瑠璃香。それを言うなら俺の方こそ、お前の様子がおかしいって気付いていながら、何も聞けなかった。――お互い様だろ?」
晴永の静かな声音に、瑠璃香はゆっくりと晴永の顔を見上げる。
「そもそも俺が約束破らなけりゃ、こんな誤解も生じなかった。――そう思わないか?」
「……っ」
その言葉に、胸の奥がまた熱くなる。
晴永は本当に知らなかった。
知らないまま、瑠璃香の態度に戸惑っていただけなのに――。
それでも自分にも非があると言ってくれる。
瑠璃香がふるふると首を振って「晴永さんは悪くありませんっ」と言ったときだった。
カラン、とすぐ背後のドアベルが鳴った。
「ごめんねー。ちょっと仕事が長引いちゃって」
穏やかな声と共に、三十代半ばほどの男性が店へ入ってくる。
そうして、店の入口で抱き合ったまま固まっている晴永と瑠璃香を見て、きょとんと瞬きをする。
「えっ、あの、これ……どういう状況?」
ぽわんと聞かれて、瑠璃香は慌てて晴永から離れた。
そんな瑠璃香と晴永を交互に見遣って小首をかしげる男は、整ったスーツ姿なのに不思議と堅苦しさを感じさせない、柔らかな空気を纏った春風みたいな人だった。
「良介、遅ぉーい!」
そんな男の登場に、今まで黙って晴永たちのやり取りを見ていた千紗が、小さく口を尖らせて抗議する。
「ごめんね、千紗。これでも僕、なるべく急いだんだけどね?」
バツが悪そうに肩をすくめた良介が、晴永たちの横をすり抜けて奥へ入った。
そんな良介に、今度は晴留が呆れたように口を開くのだ。
「本当なら三人で先に話詰めてから兄さんたちを迎える予定だったのに。良介が遅いからグダグダになっちゃったじゃん」
「雇われ人の悲しい性だと思って許してよー。終業時刻直前にお客さんが来るとか……僕だって想定外だったんだよー」
緊張感のない返答に、千紗が「もう」と呆れたように笑う。
その空気は驚くほど自然だった。
誰も、無理をしているように見えない。
「おい。晴留。俺たちだけ置き去りなんだが――? 状況を説明しろ」
そこでようやく晴永が口を開いて、三人の視線が瑠璃香たちに戻ってくる。
良介はハッとしたように晴永と瑠璃香を見つめると、穏やかに頭を下げた。
「自己紹介が遅れてすみません。僕、木朝良介って言います」
柔らかな声だった。
そして、少しだけ困ったように笑う。
「えっと……そこの……藤井田千紗さんとお付き合いさせていただいています」
「……っ!?」
瑠璃香は目を見開いた。
自己紹介だけなら(この人はどうしてここに?)で止まっていたかもしれないけれど、千紗と付き合っていると聞かされて、胸が大きく揺れる。
それは晴永も同様みたいだった。
そんな二人を見て、良介が「あ……」と口元を押さえた。
「えっ、ちょっと待って? ひょっとして……この情報、まだ開示前だった?」
分かりやすく狼狽する良介に、千紗と晴留が揃って吐息を落とす。
「良介、遅れてきた上に、何で真っ先にそこ話しちゃうかな……」
「だから兄さんたちより先に来てほしかったのに」
「ホントごめん! 僕、完全に先走ったね」
良介を中心に繰り広げられるやり取りに、瑠璃香と晴永は思わず顔を見合わせた。
コメント
2件
はるながくん、好きだー! 良介くん、いい味出してる(笑)
「お互い様だろ」って晴永が言ったとこ、グッときた。瑠璃香が誤解を認めて、晴永も自分の非を認める——この二人、“謝らせる”じゃなくて“歩み寄る”んだなって。そこに千紗たちの賑やかな空気が入ってきて、一気にあたたかくなった。しかも良介ポロリから千紗カップル発覚で笑ったw 仲間の輪が広がる感じ、すごく良かったです!