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幸せだった日々は脆く終わった。
あったかい場所は暖炉の火のように安心する…そんな暖かさが気まぐれに水がかかり一瞬で消え失せたのように終わった
「私達アクィラェ族は特別な炎を扱うのよ」
太陽のようなあたたかさを持つ母は言った。
「特別?」
幼い弟は言った。
「でも、他の魔族も火魔法は使えるよ」
自分は思った。
「確かに他の魔族でも使える簡単な火魔法もあるけど、これはアクィラェ族しか使えない特別な炎だ。火ではなく炎」
業火のように強くあったかい父は言った。アクィラェ族は魔王幹部の一人だった。
「炎は魔力の量ではなく感情・欲によって使える量が違うのよ」
「それに、火と炎では強さが違うの」
「そうなんだ」
「父様は炎の使いに長けた族長だよ。炎も業火のようにすごいんだぞ」
「…父様暑苦しい」
「あつい!」
「えっ…」
落ち込んでる
「貴方達も望むなら族長になれるわよ」
族長…
「…なりたい」
「僕も強くなりたい!」
「きっとなれるよ」
「俺達家族は最強だ」
「最強!!」
「魔王様と同じ最強よ」
「魔王様と同じ!!」
「父様と魔王は友達なんだよ」
自信満々に答えた。
「本当なの」
「本当だ…昔からの腐れ縁でなよく一緒にいた…懐かしい」
どこか懐かしむ顔をしていた。それほど楽しい日々だったのだろう。
毎日、あったかい家
毎日、あったかい布団
毎日、あったかい服
毎日、あったかいご飯
毎日、あったかい家族がいる
毎日、あったかい笑顔
『あったかい』
そんな日々も終わってしまった…
ある日、突如人間共が軍を率いて攻めてきた。勇者を先頭に真っ先に狙われた場所は…あったかい自分の場所だった。魔王や近隣の領地などに助けを求めたが間に合わなかった。父は、戦闘に負け亡くなった。母と弟と共に逃げた。領地は、地獄のようだった。残党狩りによって女子供全員皆殺し…家は焼かれ…悲鳴に溢れていた。
隣の領地に逃げ込み
「助けてください」
領主にそう頼んだ。だが…
「…アクィラェ族は終わりだ」
どうして、
「お願いします」
「…つまみ出せ」
なぜ…人間共が戦争を始めたのか。なぜ…真っ先に狙われたのか。なぜ…誰も助けてくれない
『助ける価値がない。…………………』
「なんで…」
なんで…なんで…なんで…なんで…なんで…なんで…なんで……
なんで…そんな事をするの…奪うな
キャー
母は残党狩りから私達を守り…亡くなった。
家族は自分と弟だけになった
魔王がいる
そのまま、魔王城の方へ逃げたが門番払い。
路地裏生活へと変わってしまった。
毎日、冷たい家
毎日、冷たい布団
毎日、冷たい服
毎日、冷たいご飯
毎日、冷たい感情
『冷たい』
働こうとしたが…子供は働けず追い出され。信用した相手には裏切られた。
「私が助けてあげよう」
「かわいそうに」
そんな言葉を並べ…裏切り裏切り裏切り。奴隷商に売られそうになったこともあった。
誰も信用できない。奪われるくらいなら奪ってやる。その場その場で物を盗み金を盗み生活してきた。良心はもう残っていなかった
騙しながら…嘘に塗れながら生きないと生きていけない。アクィラェ族ではないと偽り…歳を偽り…全てを偽り…
ゴホッ…ゴホッ…
そんな日々、弟が病にかかった。こんな環境にいるからだろう。ご飯も十分に食べれないからだろう。
また、家族がいなくなる…嫌だ…嫌だ…嫌だ…嫌だ…
家族を奪うな
外は中にいた騎士たちよりも人で溢れていた。多くの奴らが興味心で見にきている。
「はぐれないでね」
彼女はそう言う。
「…なんで助けた」
「私は気まぐれ屋さんなの」
彼女はイタズラをしたような笑顔で言った。
「…くだらない」
彼女について歩いて行った先には無駄に豪華な馬車があった。
「この中に居るわよ」
ガチャ
扉を開けたその中に…いた。毛布に包まれている
「あっ…ぶじ?」
「…!よか…った」
「けが…してる」
「だいじょうぶ…だよ…うっ…よかった…よかった…無事でよかっ…たよ…うっ…うっ…」
ギュッ
弟を抱きしめてその場で響き渡るぐらい泣いた。一生分ぐらい泣き叫んだ。守りたいものは無事だった。生きてた。よかった。ほんとうによかった。
「なかないで」
「うっ…うっ…」
「よしよし…よしよし」
弟は頭を撫でた。まるで両親がしてくれたように…懐かしい
「…二人とも帰りましょう。怪我の具合も見たいし」
「うん」
「…わかった」
その後、貴族のチビの家へと向かった。最初はほんとうに信用できるのか警戒していた。だが、ゆっくりと落ち着いていたら眠くなり、気がつくと馬車の中で弟を抱きしめたまま寝ていた。久々にゆっくりと寝られた。
「おやすみなさい」
月の光があたり輝いている彼女がそう言った。この人の行動は年相応には見えない。
『あら…私はとっても気に入っているのよ』意味がわからない…でも面倒だが助けてもらった分、この人に仕えるのも悪くないかもな。
その日に起こった奴隷商の件により、奴隷商騒ぎは収束をみせてきた。尋問を繰り返し、奴隷商のアジトを見つけ潰しにかかった。
でも、奴隷商騒ぎは完全に立ちにくいから完全なる解決とはならない。
『奴隷商事件 アジトを見つけた
姫様の活躍 』
と大きく新聞に取り上げられていた。
(…めちゃくちゃ目立ってしまった)
あの日私は、いそいで奴隷商についての情報を集め両親を説得し現場へと駆けつけた。外には奴隷商の馬車らしきものがあった。中には一人のボロボロで意識不明の状態な少年がいた。いそいで、治療班に頼み治療してもらい意識回復を待った。どうやら、この子は結構危ない状態であと少しで手遅れになっていたようだ。また、彼が普通の魔族と違うとわかった時、あのスリの子に雰囲気が似ていることから嫌な感じがした。いそいで行ったらあの子が殺されかかっていた。
無事二人は再会し助け出すことができた。そのまま、馬車で寝てしまったので傷の手当てなどをし客部屋で寝かせた。
朝、あの子達は(主にスリの子が)拾ってきた猫のように警戒心高みだった。朝ごはんを食べると落ち着いてきたので風呂に入らせている所だ。
「ご飯食べている姿可愛かったな…」
猫みたいだった。部下としてではなくまずは友達になりたいな…
コンコン
「姫様連れてきましたよ」
「二人ともよかったら私と友達になっ…て…えっ…」
少年は黒い髪を持ちくりっとした赤い目が特徴の美少年だった。頬を紅くして可愛い。そこはまぁよしとして
「いいよ…友達になっても」
スリの子は黒い髪を持ち長いまつ毛、スッとした赤い目を持つ……ワンピース姿が似合う女の子だった。
(…正直男の子だと思っていた)
「何…」
「驚きのあまり…」
拝見
神様
可愛いツンデレっ子と照れ屋な友達ができました。