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そして磯部花凛の記憶を取り戻してから、
数日後、依頼をこなすため森に出かけることになった野口瑠璃子、上田麗奈、磯部花凛は
森の中は危ないそうに見えるが・・・
-ギルド・ギルドマスターの部屋-
ギルドマスター「実は・・・森の中で猿と一緒に暮らす人間がいるんだ・・・依頼をこなしてくれたら金貨13000枚あげる」
と言われると
ギルドマスターの話を聞き、野口瑠璃子、上田麗奈、磯部花凛の三人は森へ向かった。
木々が生い茂り、光が差し込みにくい森の奥。
一見、静かで危険などなさそうに見える。
「……本当に、人がいるのかな」
瑠璃子が小さく呟いた、その時だった。
――キィィィィッ!!
甲高い雄叫びが、森に響き渡る。
次の瞬間、枝の上や草むらから、次々と猿たちが姿を現した。
「え……囲まれてる?」
猿たちは歯をむき出しにし、明らかな威嚇の声を上げている。
「落ち着いて。敵意は……ある」
上田が一歩前に出ようとした、その時。
猿たちの間を割るように、ひとりの少女が現れた。
ショートカットの髪、軽装の服。
そして、猿たちに向かって発せられたのは――人語ではなかった。
「ウキッ!ウキキキ!」
猿語。
その声を聞いた瞬間、三人の動きが止まる。
「……え?」
「……今の、まさか……」
顔を見合わせ、次の瞬間、同時に叫んだ。
「「「「由貴ちゃん!?」」」」
少女は一瞬きょとんとした顔をし、猿語で返す。
中島由貴
「ウキキ……!(誰なの)」
その声は、確かに“彼女”のものだった。
けれど、目の前の少女の瞳には、困惑しか浮かんでいない。
「由貴ちゃん!」
瑠璃子は考えるより先に、駆け出していた。
猿たちがざわつくのも構わず、少女に飛びつくように抱きつく。
「ちょっ……!」
中島由貴の体が、びくりと震える。
「由貴ちゃんだよ! 私だよ、瑠璃子!
うえしゃんも、花凛ちゃんもいる!」
抱きしめられた瞬間、由貴の頭の中に、断片的な光景が流れ込む。
スタジオ。
マイク。
仲間の笑い声。
「……っ……!」
由貴は頭を押さえ、よろめいた。
「……え?」
次第に、人語が混じり始める。
「……瑠璃ちゃん……?」
ゆっくりと顔を上げ、三人を見つめる。
「……瑠璃ちゃんに、うえしゃんに、花凛ちゃん……
どうして、ここに……?」
その言葉に、三人はほっと息をついた。
「思い出したんだね……」
「良かった……」
しかし、その安堵は長くは続かなかった。
――ドンッ。
地面を踏み鳴らす、重い音。
猿たちが一斉に道を空ける。
森の奥から現れたのは、ひときわ大きな体を持つ猿――ボス猿だった。
牙を剥き、低く唸り声を上げる。
「グゥゥ……!」
由貴は反射的に前に出る。
「……待って!この人たちは敵じゃない!」
猿語と人語が入り混じる声。
森の空気が、張り詰める。
勇者、回復役、歌姫、そして――猿と暮らす少女。
新たな仲間を加えた一行に、本当の試練が迫っていた。
ボス猿は低く唸り声を上げ、今にも飛びかかりそうな気配を放っていた。
周囲の猿たちも、枝の上や地面から一斉に威嚇の声を上げる。
「……まずいね」
花凛が息を呑む。
そのとき、由貴がゆっくりと一歩前へ出た。
瑠璃子たちを背にかばうように、両手を広げる。
「……待って」
低く、落ち着いた声。
次の瞬間、由貴の口から紡がれたのは――猿語だった。
「ウキ……ウキキキ。
(この人たちは、敵じゃない。私の仲間)」
ボス猿の動きが、ぴたりと止まる。
「ウキッ!ウキキッ!!
(武器を持っている。信用できない)」
「ウキ……
(私が保証する)」
由貴の声は震えていなかった。
まるで、ずっとこの言葉を使ってきたかのように、自然だった。
その瞬間――
由貴の足元に、淡い緑色の光が広がる。
「……え?」
上田が、はっと息を呑む。
由貴の目の前に、光の文字が浮かび上がった。
⸻
【職業判定 完了】
名前:中島由貴
異世界職業:獣使い(ビーストテイマー)/通訳者
固有スキル:
・《獣語理解》
・《獣との信頼構築》
・《群れの守護者》
⸻
「……獣使い……?」
由貴は、驚いたように自分の手を見る。
「だから……私……猿語を……」
「そういうことか」
上田が、納得したように頷く。
「由貴ちゃんは、この森で“獣と共に生きる役目”を与えられてたんだね」
由貴は、ゆっくりとボス猿に向き直る。
「ウキ……
(この人たちは、私の大切な仲間。
争いに来たわけじゃない)」
しばらく、森に沈黙が落ちた。
やがて――
「……ウキ」
ボス猿は、牙を引っ込め、低く一声鳴いた。
周囲の猿たちも、次第に威嚇を解いていく。
「……通じた」
瑠璃子は、胸をなで下ろした。
由貴は振り返り、少し照れたように笑う。
「……ごめんね。
私、ここで生きるのに必死で……
でも、ちゃんと思い出せてよかった」
「由貴ちゃん……」
四人の距離が、静かに縮まる。
こうして――
獣と心を通わせる仲間が、正式にパーティに加わった。
だが森の奥には、まだ語られていない秘密が眠っている。
この依頼は、決して“猿だけの問題”ではなかった。
キャラクター紹介
■ 中島由貴
職業(現実世界): 声優
担当キャラクター: Leo/need 日野森志歩
異世界での職業:
料理人/獣使い(ビーストテイマー)/通訳者
森の中で猿たちと共に暮らしていた少女。
当初は自分がなぜこの世界にいるのか、過去の記憶を失っていたが、
野口瑠璃子たちとの再会をきっかけに、少しずつ記憶を取り戻していく。
獣と心を通わせる力を持ち、猿語を含む獣の言葉を理解・翻訳することができる。
また、森での生活を通して身につけた料理の腕は高く、
パーティの食事や回復を支える重要な役割を担う。
穏やかな性格の裏に、仲間を守ろうとする強い意志を秘めており、
獣たちからも厚い信頼を寄せられている。
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