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暗い部屋の中、陽煌さんとベッドに横になる。
陽煌さんは仰向けで何かを考えている様子だった。
何となく分かる。快くんの事を考えているのだろう。
そんな陽煌さんを見つめていると、陽煌さんが口を開く。
「…ねぇ泰輝。快くんって何か能力持ってるのかな」
「さぁ…まぁでも、あの零斗さんを惚れさせるくらいですから、凄い子だとは思いますけど」
「確かにね。さっき倒れたの、なんかの能力が関係あるのかなって思ってさ」
多分それは当たっている。
俺が後ろで見ていた感じだと、陽煌さんを見て体調が悪くなっていた気がするから。
まるで陽煌さんの見てはいけない部分を見てしまったみたいに。
「…もしかしたらそうかもですね」
快くんが倒れた時、俺はその場から動けなかった。
何の能力なのかは知らないけど、陽煌さんを見て、倒れてしまう程の何かを感じ取ってしまったのだろう。
その時に俺も陽煌さんに恐怖を感じてしまった。
快くんが倒れてしまう程、悪影響を及ぼす陽煌さんに。
そんな陽煌さんに協力している俺も、同じくらい悪い人なんだろうな。
「厄介な人が多いな。恭也くんも零斗くんも快くんも。いつか零斗くんと泰輝も陽雅から離れさせる予定だったし、その予定繰り上げちゃおうかな」
「俺と零斗さんもですか?」
「うん。陽雅が幸せだって思う状況は全部壊さないといけないからね」
「あぁ…そうですか」
そこまでして陽雅さんを不幸にしたいのはなんでだんだろう。
陽雅さんが陽煌さんの何かを奪ったのかな。
両親を殺したのが陽雅さんとか。
でも、あんなに優しい陽雅さんがそんな事したなんて思えない。
「泰輝は陽雅と離れるの、嫌?」
突如、陽煌さんがそう聞く。
そんなの、嫌に決まってる。
陽雅さんは俺が血をしばらく飲めてなくて飢餓状態だった時に、俺の事を助けてくれた命の恩人だ。
そんな陽雅さんが誘ってくれたから、この仕事も始めた。
でも、まだお礼なんて出来てないし、陽雅さんの事は好きだから離れるなんて嫌だ。
「俺は…」
それでも、陽煌さんと居るためだから。
「陽煌さんが居てくれればそれでいいです」
「よかった」
陽煌さんが嬉しそうに笑う。
この笑顔が見られるなら、俺はどんな事だって犠牲にする。
(それでいいよね…?)
もう一人の自分が必死で止めている気がする。
でもそんな事、どうでもいい。
俺は陽煌さんが大好きだから。
「当たり前じゃないですか」
俺はそう言って微笑んだ。
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大学の講義室に入ると、席に座る快の様子が目に入る。
俺はそんな快の元へ行き、隣に座りながら言う。
「快、早いじゃん」
「うん。恭也に伝えたい事あって」
快は真剣な顔でそう言う。
「伝えたい事?」
「うん。昨日零斗さんの家行ったんだけど、実は陽煌さんがいてさ」
「うん」
「オーラ見たんだけど、なんかやばくてさ。陽雅さんの事もよく思ってなさそうだったよ」
「え? でも、陽煌さんは陽雅さんの事いつも助けてくれるって言ってたけどな」
「それ自体デタラメかもね。でも、陽雅さんが嘘ついてる訳じゃなくて、陽煌さんが裏で糸引いてる感じがする」
真剣な顔でそう言う快を俺は慌てて止める。
「ちょっと待って。なんかすごい話になってない?」
「だってめっちゃ怪しいんだもん。俺多分、あの人と相性悪いと思う。探りたいけどその前に俺が倒れるから」
「倒れるって、なんかあったの?」
「陽煌さんのオーラ、なんか息苦しくてさ。昨日、ずっと見てたら倒れちゃって」
「そんなにやばいの?」
「うん。あの人に話聞くなら俺は無理かな。でも、恭也にまたなんかされても嫌だしな」
快は怪訝そうな顔でそう言う。
「またって、俺何もされてないよ」
「そのキスマークは陽煌さんが付けたと思う。理由は分かんないけど、陽雅さんに陽煌さんの事話したら、俺の事警戒してたし」
「陽煌さんか…」
「思い出せそうだったらでいいからさ、考えてみてよ。陽煌さんって可能性」
「分かった。考えてみる」
とは言ったものの、思い出そうとしても、やっぱり思い出せない。
陽煌さんがいた可能性も考えてみたけど、居たような気もするし、居なかったような気もするという様な曖昧な感じだ。
ふとスマホの画面を見ると、陽雅さんからメッセージが届いていた。
俺はLINEで陽雅さんのメッセージを見る。
『昨日は返信しなくてごめんね。今日よかったら会えないかな?』
俺はすぐに返信する。
『大丈夫です。俺も会いたいので、大学終わったら陽雅さん家行きますね』
そう送ってスマホを仕舞う。
陽雅さんに陽煌さんの事も言いたいけど、多分気を悪くするだろうし、確信してからじゃないと言えない。
陽雅さんの家に着くと、鍵を開けて中に入る。
「お邪魔します」
そう言うと、リビングの扉が開いた。
「恭也、いらっしゃい」
そう言って陽雅さんはぎこちなくもニコッと笑う。
玄関を上がると、陽雅さんはリビングに入った。
「こっちおいで」
「はい」
俺は陽雅さんに着いて行った。
キッチンにいる陽雅さんを見て食卓のテーブルに座ると、陽雅さんは水の入ったコップを二つ持ってこっちへ来る。
陽雅さんは机にコップを置いたあと、向かいに座る。
「快くんから聞いたよ。恭也、あの日の記憶、無い部分があるんだよね?」
「はい。陽雅さんの部屋を出てから家に帰るまでの事をどうしても思い出せなくて」
「じゃあ、もしかしたら帰る途中で何かあったのかもね」
「そうですね」
「うん。例えば快くんに会ったとか」
「えっ?」
陽雅さんは快の事を疑ってるのか。
快がそんな事する訳ないのに。
「快くん、恭也の事大好きでしょ?」
「まぁ、そうですね」
「恋愛的に好きって可能性もあると思わない?」
「いや…快は俺の事、友達としか思ってないですよ」
「友達のフリして恭也のそばに居たいだけなんじゃない? でも、俺が恭也を好きになったから、そばに居るだけじゃ足りなくなって、恭也に手出したとか」
陽雅さんは真剣な眼差しでそう言う。
有り得ないことを話しているのに。
「違います。快は零斗さんと付き合ってるんですよ? 快は零斗さんの事が大好きなんです」
「恭也にただの友達だって安心させるために零斗を好きなフリしてるだけかもしれないでしょ?」
「違います。なんでそんな事言うんですか?」
「だって、兄ちゃんがそう言ってたから」
(陽煌さんが…?)
俺は快の言葉を思い出す。
“陽煌さんが裏で糸引いてる感じがする”
「…なんでそんなに陽煌さんの言う通りにするんですか?」
「兄ちゃんがいつも俺のそばに居てくれるからだよ。兄ちゃんの言う通りにすればなんでも上手くいくの」
陽雅さんがニコッと笑う。
「…そうですか。でも、快の話は陽煌さんが間違ってると思います。快は俺の事、恋愛対象としてなんて見てません」
「でも昨日、快くんの事疑ってるって快くんに話したら、体調悪くなって倒れちゃったんだよ。最初は俺が責めすぎたせいって思ったけど、図星だったからバレるのが怖くて倒れたんじゃないかって兄ちゃんに言われて、そうかもなって思って」
「違います。快が倒れたのは、陽煌さんのオーラを見たからです」
「兄ちゃんのオーラ?」
「なんか、息苦しかったって」
俺の言葉を聞いて、陽雅さんは不機嫌な顔に変わる。
「そんな訳ない。兄ちゃんは優しいの。だからオーラも優しいはずだよ。やっぱり快くん、フィールズじゃないんじゃないの?」
「快はフィールズです。それと陽煌さんは…」
そこで言葉を止める。
カッとなり過ぎて、口を滑らす所だった。
これ以上言ったら、本当に陽雅さんを怒らせてしまう。
そう思って口を閉じたのに、陽雅さんは声を低くして問う。
「…兄ちゃんが何?」
コメント
1件
第46話、読み終えたよ!泰輝の「陽煌さんが居てくれればそれでいい」って台詞、めっちゃ切なかった。もう一人の自分が必死で止めてる描写が刺さるわ。陽雅さんが「兄ちゃんがそう言ってたから」って理由で快を疑い始めてるのも不気味だし、陽煌さんのオーラの謎も気になる展開。次話が待ち遠しい🔥
haru
46
ラムネ@夏目様教者
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