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ゆうたは、やまとのことが好きだ。けれど、その気持ちをどう伝えるべきかは分からなかった。
普段からツンツンしている自分に、やまとがどう思っているのかも確信が持てない。ただ、やまとがたまに見せるデレデレした笑顔を見ていると、なんとなく自分の気持ちも彼に伝わっているのではないかと思うこともあった。
しかし、それが本当にそうなのか、どうしても確かめる勇気がなかった。
そんなある日、いつもよりも楽しそうに事務所に入ってきたやまとの姿が目に入った。やまとはルンルンとした足取りで、まるで何か嬉しいことがあったかのように見えた。
ゆうたは少しだけ、心の中でその変化に気づきつつも、冷静を装おうとした。
「おはよう、ゆうた。」
やまとの元気な声に、ゆうたは一瞬ドキッとしながらも、できるだけ平静を保とうとした。
「おはよう。」
冷たく返すつもりが、やまとがあまりにも嬉しそうにしているので、つい少しだけ声を柔らかくしてしまう。だが、やまとはそれに気づかず、さらにニコニコと笑顔を見せた。
そのとき、ひゅうががやまとに声をかけた。「なんだ、やまと、今日はなんかいいことでもあったのか?」
ひゅうがの問いかけに、やまとの顔がさらに明るくなった。「わかる?」と、ちょっと照れたように言う。
「え?何があったの?」と、皆が興味津々でやまとを見つめる。
ゆうたはその場の空気を感じ取ると、胸が一瞬ギュッと締め付けられるような感覚を覚えた。やまとの嬉しそうな様子に、何か嫌な予感がした。心の中でその予感が膨らんでいくのを感じたが、どうしてもその気持ちを否定できなかった。
やまとは、にこにこしながらみんなの方を見渡し、「何だと思う?今日は、最高に嬉しいことがあったんだ!」と、少し大げさに言うと、ひゅうががまた口を挟んだ。
「まさか、告白でもされたのか?」
その冗談交じりの言葉に、やまとは少しだけ照れながらも、嬉しそうに頷く。
「うーん、まあ、そんな感じかな。」
その時、ゆうたの心臓が一瞬、ドクンと鳴った。頭の中に嫌な予感が一気に広がり、手が震えそうになった。それでも、必死に顔に出さないようにと自分に言い聞かせた。
「もしかして…彼女、できたんですか?」
突然、ゆうまが口を開いた。
その言葉に、ゆうたは思わず目を見開き、すぐに視線をやまとの方に移した。心臓がさらに大きく鼓動を打ち始め、耳の奥が熱くなる。
自分が期待していることなんて、あり得ないと分かっているのに、それでも心の中でどこかで、彼女じゃないことを祈っていた。
やまとの表情が一瞬、照れくさそうに変わり、少しだけ顔を赤くしながら、嬉しそうに答えた。
「うん…彼女、できたんだ。」
その言葉が、まるで耳元で響いたかのように、ゆうたの心に突き刺さった。心臓がドクドクと速くなるのを感じ、呼吸が浅くなった。
「えっ、本当に?」ひゅうがが驚きの声をあげる中、ゆうたは何も言えなかった。無意識に目を伏せ、何も反応できない自分が情けなく感じた。やまとのその嬉しそうな笑顔が、どこか遠く感じられて、胸が苦しくなった。
その後、やまとは恥ずかしそうに、けれど嬉しそうに彼女のことを話し始めた。
「実は、ずっと気になってた子がいて、つい最近告白してくれて。すごくうれしかったんだ。」
やまとの声が遠く響く中、ゆうたはただ黙ってその話を聞いているしかなかった。
心の中では、やまとが幸せそうであることが、どこか痛くて、切ないものに感じられていた。
どうしてこんなに胸が苦しいんだろう、どうして自分はこんなにもやまとの幸せを素直に喜べないんだろう。
「すごいじゃん、やまと!おめでとう!」
ひゅうがや他のメンバーは、やまとの報告に喜んで祝福の言葉をかけたが、ゆうたはただその場に立ち尽くし、何も言えずにいた。
やまとが彼女のことを話すたびに、ゆうたの心の中で何かが崩れ落ちていくような感覚が広がった。
それでも、顔には出さずに、心の中でただ黙ってその場をやり過ごした。
…… ᴛᴏ ʙᴇ ᴄᴏɴᴛɪɴᴜᴇᴅ