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前作が本編です。
今回は簡単な形の続編とさせて頂き書かせてもらいます。
前作からご覧下さい。
attention
麻天狼
観音坂独歩視点
ヒプアニ曲『Fallin’』イメージの二次創作作品です。
コミカライズ dramatrackのネタバレがあります。
過去捏造
死ネタ
BADEND
今回は過去編です。
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俺はただ何も考えず一二三の教室に向かっていた。
『観音坂くん?どうしたの?』
ふふっと微笑みかけてきたのは同級生の女子。名前は知らない。
『何も無いが…?周りから見たら変か?』
同じクラスでも無いやつに話しかけられたらこれが妥当だろう。
同じクラスの異性にも話しかけられない俺だが。何も分からないが。
『えぇ、嘘〜!顔色悪いよ〜!保健室!連れて行ってあげるよ!』
そう言って彼女は俺の額に手をぴとっと当てた。
『うわぁっっ!?』
彼女の手は冷たく、改めて冬なんだと感じた。
いつの間にか彼女の手を振り払ってしまっていた。
あまりにも、ちょっと近すぎる…というか。
『ちょっと、振り払うほどだった?もしかして私の事きらい…?』
なんなんだよ…話が急展開すぎる。ストーリースキップしてないが?
…あぁ。
今やっと分かった。この女は俺が嫌いなのか。あぁ分かったよ。
逃げて解決しようと思ったら、少し見たことある一軍であろう女子に囲まれた。
急に絡んできた女は一軍だったのか。はぁ、鬱陶しい…
『アイっち可哀想じゃんか!何してんの!?!?』
茶髪に染めた『ギャル』という感じの女子が話しかけてきた。
『そうだよ!アイちゃんの手を振り払うとか!』
高いツインテールのピンク髪女は背が低く、前髪には可愛らしいピンを付けて怒っている。
『意味わかんない!この陰キャ!』
背の高い黒髪長髪女だ。1番真面目に見えるが1番辛辣。
『アイ』という奴を守る気は無さそうだ。
意味のわからない罵倒に圧倒されて、『はぁ、はい、すいません』しか喋れなくなっていた。
俺の友達は教室の中に居て、助けにくるどころか気づいても無い様子だ。
一二三は忙しいだろう。あいつは人気者、だから。
『おい観音坂ぁ!聞いてんの?』
黒髪が話しかけてくる。うるさい。
『はっはぁ、はい、まぁ聞かせてもらってます』
『バカにしてんの?流石アイの手を振り払った男だわ。クズ』
新キャラ登場。黄色と黒が混ざったプリン女。辛辣キャラだ。
『は、はぁ…』
『意味わかんない!アイちゃん、いつでも泣いていいんだよ?』
2回目のチビツインテールだ。口が悪いのは脳内だから許して欲しい。
…だれに許してって言ってんだ俺。
まぁそれは置いておくしか…おいおい男子来いよ…助けろって…
1人で廊下に出た俺が悪かった。あぁ、久しぶりに一二三に会いにいってやろうかと思ったのに。
キーンコーン、と予鈴が鳴る。
『じ、じゃ、俺はこれで…』
話を聞きたくないからと背を向ける。
『あんたC組の奴よね?私はアイからまだ何も聞いてないけど、酷いことしたってのは分かるわ』
辛辣キャラのプリン女。こいつ…何も知らないのかよ…
『は、はぁ…』
もう俺に返事をする気力はない。囲まれた時からない。
『私たちに目をつけられたら終わり、せいぜい退学まで学校生活を楽しみなさい。』
『はぁ…?』
返事も聞かず『いこいこ〜』と言ってこの場を後にした。なんなんだこいつらは。
一二三に会うのは…次の時間、は絶対無理だよなぁ…
『観音坂大丈夫だったか?』
笑いながら話しかけてくるのは三谷、三谷幸太郎だ。
俺の少数の友達だ。
『分かってるなら助けに来いよ…』
『いやいや急いでに帰ってくんの珍しいからさ、何かあったのかと思って』
『そういう事か、女子に絡まれた』
『はぁ!?!?観音坂ずりぃぞ!どんな子!?』
三谷は身を乗り出して俺に話の続きを求める。
『そんな話ならまだ笑って話せるさ…』
そう言って三谷に苦笑いした。
『はぁー…なるほど聞かないでおく。なんかめんどくさそうだしな!』
ははっと軽く笑う。
『軽いなぁ、くそ重い話なんだが』
『話すのかよ』
半分笑って三谷は俺に聞いた。
『話さねぇよ』
会話は2分位で済まし、三谷は自分の席へ走っていった。
その後の午後の授業、休憩時間は三谷(と他の友達、数人)に守ってもらって一日を過ごした。
帰り道は1人で帰る。
いつもはうるさい金髪が隣にいるのだが、今日は居ない。ここ1週間何かしらの予定があるらしい。
俺が予定があると言ったら何かを聞いてきて、べたべたくっついてくるのに。
俺は情が無かったという訳ではなく、
長くなることを予想して『あぁ、分かった。』と簡素に終わらせた。
帰ったら、とりあえず生存確認しとくか。あいつたまに死んでるから。
まぁ一二三が帰ってない可能性は十分にあるけどな。
今日は色々とありすぎて頭が回らない。
思うことをただ連ねていることはわかるのだが、
何をしなければならないのか、何を言っているのかももう分からない。
変なことを考えながら1人で家路を歩いていると、窓ガラスが俺を写した。
いつのまにか出来ていた薄いクマはテスト後だからだろう。
テスト前はオールで勉強してたからなぁ、と思い出す。
テストが終わったのは2日前とかだが。
脳が回らない。
そんな面白くないことを考えていると本日2度目、女子に声を掛けられた。
『観音坂く〜ん』
振り向くとタレ目でピンク髪の同級生らしき女子だった。
『ど、どうかしましたかっ!?』
勿論最大限に警戒する。学習はする。
『同級生なんだからぁ〜敬語はやめてよぉ!』
正直早く帰りたい。ダルそうな顔を頑張って探す。
『いや、俺がなんとも思ってねぇんで。つか帰っていいすか?』
頑張って自己中を演じ、帰路の方向へ進む。
『__________』
彼女が最後なんて言ったかは聞き取れなかったけれど、振り向いたら負けだと思い真っ直ぐ進んだ。
これが、これが間違いだったんだ。
家に着くのが遅くなっても、こいつの言葉をちゃんと聞いておけばよかった。
一二三に電話しようとしていた事を思い出したのは、夜中の2時だった。
『流石にもう寝てるし、迷惑だよなぁ…』
何も気にせずに俺は深い眠りに落ちた。
『一二三が、自殺未遂…?』
学校に行く前、俺宛に電話が掛かってきて出たらこの様。
『ど、どういうことですか!俺があいつを守れなかったからと言いたいんですか!?!?』
警察から掛かってきている。
常識を持って考えると初めましての電話で未成年を責める事なんてしないだろう。
『そんなことはしないさ。とりあえず落ち着いてくれないか。』
ゆったりした声で俺に落ち着けと言う。
そんなの、落ち着けるわけが無いじゃないか。
俺は何故かその落ち着かせようとしている警官に腹を立てた。
『はぁ…そういうことは俺は悪くないという解釈で大丈夫ですよね?』
イラッとしているからかキツい言い方になってしまった。
正直申し訳ないと心から思えないが。
『まぁ、そうは言いきれないか…』
『じゃあもう署に行けばいいんですか!?結論はそうなんですよね!?』
机をドンッと叩く。怒りを示したかった訳では無い。
ただ、自分の怒りを収めたかっただけだ。
警官からの返答はない。他の人と話しているようだ。
『親と行くんですか?』
何の情も込めないで口を開いた。ただそれだけだった。
『あー、申し訳無いんですけど、少し待って頂けますかね?今上司と相談しておりまして』
どうしても言い方が気に食わなかった。顔も見ていない警官の発言がどんどん俺のストレスと化す。
『…』
今すぐ電話を切ってやりたかった。けれど、一二三についても知りたかった。
昔、深夜に2人で家を抜け出して見に行った夜景がまた一緒に見たかったから。
ビルが建って景色が変わっていても、イルミネーションや街頭付いて星が上手く見えなくても、
一二三と見たかった。ただそれだけ。
ロマンチストかもしれないが、あの頃の景色は忘れられないから。
この後戦争が起きても、俺が死んでも一二三が死んでも忘れられないと思うから。
これまでの自信があるのは自分でもすごいと思ってる。
一二三はもう忘れていると思うが、
11歳、俺の誕生日の夜、5年後にまた見にこようと約束したから。
『観音坂さん。来て頂けますか?』
もう俺の選択肢は、はいしかなかった。
俺自身に諦める心は無かったし、逃げるなんてもっての外だった。
『学校についてはこちらから話をしておきます。気持ちの整理をしてからでも大丈夫ですよ?』
話が流れるように進んでいく。
十数年しか生きていない俺の勘だなんて信じれないかもしれないが、警官の続きは聞かないほうがいい気がした。
『観音坂さん、伊弉冉さんが自殺を図ったことが苦しいと思い、』
俺は警官の言葉を遮った。
『今すぐ向かいます。あなたが言ったからではありません。気持ちの整理はもう出来ています。
ぼーっとしていられません。』
最後の一言がささったのか、警官は少し間を開けて
『はい、お待ちしておりますよ。紹介したい方もいるので是非お越しください。』
行くと言っているのに、とため息を吐き
『少々お待ちください』と短い文で長かった電話を終わらせた。
スクールバックは投げ捨てて、制服は着たまま、何も持たずに家を飛び出した。
無我夢中に走った。何も考えないでおこうと思っても脳裏に一二三が浮かぶ。
それが辛くて、辛くて仕方がなかった。
走って3分の最寄りのバス停に着くと、向かいの道路に目を向けた。
たまに数台来るだけで、何も面白みはない。
歩いている人はちらほら、自転車は見かけもしない。
遅く出た両親でも電話が始まる前に出たのだから、驚きはしない。普通だと捉えている。
バスが来るまで後5分。ベンチに腰を掛け、頭の中で署で話すことをまとめた。
車の来る音に敏感になり、音がする度ぱちっと目を開ける。
それをただ何回も繰り返す。
体感で5分ぐらいだ、もうすぐだろう。
はい来ない。
どんだけ不運なんだ俺は。
なんとも言えない空をただ見つめる。
いっそのこと雨で俺を濡らしてくれたらいいのに。
どこまでも中途半端なこの状況は今の俺を表しているようだった。
いつもより風が冷たく感じるのは気のせいだろうか。
3人しか乗っていないバスは静かで、頭を冷やすのには十分な環境だった。
とりあえず一二三と最後に話した時はいつだったかを思い出す。
事情聴取でまず聞かれることだろうからな。
…一週間前か。細かく言うと6日前。あんまり話してなかったんだな。
あの女子が絡んでこなければ、少しでも、少しでも一二三を救えたのかもしれない。
この考えはダメだと一度思考を停止した。
伊弉冉一二三が自殺を図った。その事実はどう抗おうとも捻じ曲げられない。
俺は何故話題を変えてもネガティブなのか、はぁ、とため息を吐くしかできなった。
辛いのは一二三の筈なのに。
『死にたい』そう一二三が呟いたことが、あったのだろうか。
俺はあった。友達から見放されたときだ。あの頃の俺は、なんて助けを求めたのだろうか。
ただ、死にたいとだけ言った。
その次の日。一二三は一生懸命俺を楽しませてくれた。
授業サボって屋上でゲームして、お昼は空き教室で2人きりの昼食。
午後の授業は最初の方だけ。その後は飽きるほど見た学校探検。
限度がある中でたった俺1人だけを楽しませてくれた。
はぁ、懐かしいな。
結局話の流れを考えれず、目的地に到着した。
『観音坂です。署に呼ばれたのですが』
入ってすぐに居た警官に声をかける。
警察署になんて縁が無いから普通に困る。
『あぁ、阿山刑事の!ご案内しますね。』
丁寧に案内してくれた警官を見て、さっきまでガタ落ちだった警官のイメージも自然と上がった。
『観音坂さんですか、どうぞ。すいませんね急に。』
先程の人とは違う、少し若めの警官だった。(声だけじゃ分からないが)
『一応お名前と電話番号、を教えて貰っていいかな?』
警官は目を細めて俺の方を見る。
『観音坂独歩、電話番号は…すいません固定電話は覚えてないです。』
すいません…と呟く。覚えているが教えたくない。何かありそうで。
『そっか、まぁ覚えてないですよね。うん、観音坂さん。』
目の奥が笑ってない。普通に怖い。
『はい。すいません。なんでしょうか?』
『最近1週間で伊弉冉一二三くんに目立った行動はありましたか?』
この警官は一二三のことを『伊弉冉一二三くん』と呼んだ。違和感しか無かった。
『放課後は忙しい、と言って俺とは帰ってませんでした。他には思い当たるものはありません。』
真実を述べたまでだ。俺は何も知らない…
『そうでしたか。疎遠だったんですね。深く追求しようとは思わなかったんですね。』
じっと俺の目を見つめる。
後ろには理不尽にも青い空。
俺は重い返答に二つ返事で返した。
署から解放された。バスに乗り外を見つめる。
そこからの時間は早かった。最寄りのバス停に着き、バスを降りる。
家までの帰路、甲高い女子の声に引き止められる。
『あれ、観音坂くんじゃない〜』
後ろを振り向くと昨日話しかけてきた女子生徒だった。
『え、ええっと、昨日も会いましたよね。お名前は…?』
まずは簡単に…
『ん?名前〜?邪答院 仄仄だけど…知らない?』
え?私のこと知らないの?みたいなノリで迫られる。
『あ、け、邪答院さん…あ、観音坂です…』
『敬語はやめてよ〜仄仄って呼んで♡あぁそうだ!観音坂くん、欠席だったけど何してたの〜?』
ハイライトのない目を向けられる。
『署に行ってた。それだけだ。』
あったことをそのまま話す。これくらい良いだろうと思った。
『署って警察署〜?もしかして、一二三のことぉ?』
次はニコッと微笑む。嘘くさい笑顔だ。
『まぁそうだ。ほ、仄仄、さんには関係ないだろ。』
『えぇ〜?関係無い訳ないじゃん!もしかして一二三から私の話聞いてない〜?』
聞いてない。一切聞いた事がない。これは言いきれる。
『あぁ、ほ、のぼのさんは俺を呼び止めているが何が言いたいのか?先が見えない』
『ふふっせっかちさんだなぁ観音坂くんは〜!私は何故一二三が自殺したのか知ってるって訳よ〜』
『は、はぁ?どういうことだ!!!』
大きい声を出してしまった。女子の前だ、引かれるかもしれな…
『それはぁ…んーと…』
あっ普通にスルーするんだ。ホッと胸を撫で下ろす。
『私が一二三をいじめたからかなぁ!』
『は、、?』
もう俺は怒りという感情も出なかった。
『んーと、まぁ私が原因かもなって思って♡』
てへっと笑う。
こいつに罪悪感など無い。化け物だ。
『お前が絶対悪いだろ。ここ最近放課後忙しいって言ってたけどお前のせいか。』
じとりと睨む。
『観音坂くんキレすぎ〜本気なの?笑える〜』
あははっと口に手を当て笑う。
『え、もうそんなに睨まないでよぉ〜ま、放課後使ってたのは私ね。』
『お前が一二三を殺したと言っても過言ではないんじゃないか。』
鋭い目付きでただ見つめる。先程よりは睨んではいない。
『観音坂くん、決めつけるにはまだ早いんじゃなぁい?』
意地悪く笑う。
『他に虐めてる奴がいた、ということか?』
『ま、それもあるけどぉ、止めれなかった観音坂くんにも非あるよね?』
ただバカにしてきているようにしか見えない。
『なんだよ、俺が悪いって言いたいのか』
『だって、止めれなかったじゃん』
見下すような視線をし、鼻で笑う。
『一二三を…』
『うふふ、観音坂くん、よわーい!じゃあねぇっ!』
ひらひら手を振って帰った。
『お、俺、一二三1人でこんなのに…』
ガチャ。
『はい、観音坂です。』
『伊弉冉さんの入っている病院と連絡が取れました。病室に入りますか?』
『…はい。行かせてください』
『失礼します。』
ノックを3回し、ガラガラと扉を開ける。
『観音坂さんですか、どうも初めまして。担当医師の神宮寺です。』
長髪の優しそうな医師だった。
『はい。神宮寺先生、一二三はどのような感じでしょうか。』
少し考えて医師は話し始めた。
『精神的な面では、正直言って最悪といったところでしょう。
伊弉冉さんは頑張っていらっしゃいますがね。』
強弱がなく、ただスラスラと俺に状況を伝える。
『そうですか、治るのでしょうか。』
『医療に絶対は言えませんが、治してみせます。』
落ち着いた雰囲気を纏い、俺に話す。
見た目は若いが、何年もやっているように見える。
『心強いです、俺のたった1人の親友だったので。』
『そうでしたか、お見舞いに1番最初に来てくれましたしね。相当仲が良かったのでしょう。』
はは、と笑ってその場を凌ぐ。
『では、俺はこれで__』
『あ、観音坂さん、せっかくですからお話していきませんか?』
『え、あ、いいのですか?』
『ごゆっくりどうぞ。2人きりでお話したいのならば席を外しますが…』
『お言葉に甘えさせて頂きます。お願いできますか?』
『一二三…久しぶりだな。2週間ぶりか?』
『ど、独歩…』
すっかりいつもの元気を失い、ベットに座っていた。
『ごめん、ごめん…独歩に迷惑掛けてばっかだな…ごめん…』
うずくまり、手で顔を覆う。
『辞めてくれ、いつもの元気をすぐに取り戻せなんて言わない。
ゆっくりでもいいし、このままでもいいいから、』
『独歩だけだよ、そんなの言ってくれるの。』
俺の方向に顔を上げる。
『そのすぐ謝るのは、俺が貰ってやろうか?少しでも楽にならないか?』
『え、どゆこと独歩、何言ってんの?』
『だから、一二三は謝らなくていい。俺が謝ってやるから。
2人で荷物を持ってるみたいじゃないか?』
『あ、そんなの…独歩に迷惑掛け続けてるし…』
『俺がやりたいつってんだよ。ダメか?』
『…じゃあたのもーかな…』
『はは、ごめんな。ありがとう』