青井が銀行強盗の通知に向かうとラブラブカップルが人質の解放条件に1ヶ月記念日を祝えと言ってきた。
「おめでとうございマース…はいこれで良いすかー?」
「いや棒読みすぎだろ!wもっとこう…なんかさぁ!」
「じゃあなんかプレゼントしますよ…えー…じゃあこれ。」
渋々納得した犯人を早々に捕まえて牢屋対応を終わらせたが内心ずっとソワソワ、ハラハラしていた。
「俺らの半年って…うわ4日前だ、はぁーーやったわ…」
椅子に座って項垂れ一通り反省と自責をしてから挽回する方法を考えるが一向に思い浮かばない。
「…どうしよう、とりあえず明日は休むか…」
「らだお君どうしたの?なんかめっちゃ暗いオーラ出てるけど。」
「…あ!ネルセンてヒーローと付き合ってるんすよね?」
「うんそうだよ、なんで?」
「ヒーローが記念日忘れてたらどう思います?」
「そりゃブチ切れるでしょ。…あれやっちゃった感じ?」
心配とやっちゃったか、という表情が混ざったネルの顔を見てまた後悔が押し寄せてくる。
「…だぁーーほんとなんで忘れたんだ…」
「あー…つぼ浦君怒ってるの?」
「いや、たぶんアイツは祝うもんだってのを知らない。」
「じゃあちょうど良いじゃん、お祝いして教えてあげなよ。」
「でも忘れてた事分かったら悲しませるかなとか考えると…」
「つぼ浦君てそっちよりありがとう、嬉しいが先にくるイメージだけど。僕もスルーされるより遅れてもちゃんと祝ってくれるほうが全然嬉しいよ。」
「それはそうだけど…うーんどうすっかなぁ…」
家に帰ると口数が少ない青井を心配そうに見るつぼ浦。もう悩んでも仕方ない、謝罪と感謝の気持ちを伝える為にもやらなきゃ、と切り出した。
「明日は休んで1日遊ぶか。」
「お、どっか行きたい所あるんすか?」
「それはつぼ浦が決めて。なんかある?」
「んー…秋だしスポーツだな!」
「おーいいね。ボウリング、テニス、卓球、バスケ…か?2人でできるのは。どれやる?」
「そりゃ全部だろ!やり尽くそうぜ。」
「やる気じゃん、真剣勝負だな。」
「泣いて謝っても知らねーぜ?」
そうと決まれば早く寝てパワーを蓄えなければと青井を寝室に連れて行く。スマホを取り上げサイドテーブルに置いて手に取った腕を後ろから自分の腰に巻き付けた。
「あのー、つぼ浦?俺まだ眠くないんだけど。」
「…んー?おれはねみぃ……おやすみ…」
「寝付き良すぎだろ…はぁかわい…♡」
髪を撫でたり首元に顔を埋めたりそのまま柔く食んでみたり、熟睡してるのを良い事に心ゆくまでイタズラしてから寝た。
「よし、恨みっこ無しの真剣勝負だ。」
「受けて立とう、やるか。」
参加者2人の秋のスポーツ大会はやってやられでどちらも譲らず、4種目終えた所で引き分けとなっていた。
「引き分けが1番シャバいんだよなぁ…なんかこれ前にも言ったな。」
「…あ!レギオンにホッケー台あったよな、あれ最終対決にしよう。」
「ホッケーすか!?あーうーん…まぁ…」
「なに苦手?これは俺にアドあるか。」
「いーや?油断してもらっちゃ困るすよ?」
そう意気込み食い付いたが1歩及ばず、今回の最終結果は青井が勝利し終了となった。
「はい俺の勝ち〜つぼ浦くん早寝までしてあんなに気合い入れてたのにねぇ。」
「ぅぐ…今日は負けたが次回絶対勝つ!!」
「なんか罰ゲーム考えるか。」
「はぁ!?それはずるいだろ、先に言えよ。」
「まぁまぁ良いじゃん…じゃあ今から俺が言う事許してほしい。」
「ん?許す?どういう事すか?」
「…場所変えようか、車乗ろ。」
自分の弱さやずる賢さに内心落胆しながら海沿いのベンチが置いてある丘に向かう。座って夕日が映った海を見ながら話した。
「あのさ、5日前ってなんの日か分かる?」
「5日前?なんかあったっけ…俺が客船でショットガン撃ちまくった日?」
「そんなんやってたなw…5日前ね、つぼ浦と俺が付き合って半年の記念日だったんだよ。」
「もう半年経ってんの!?マジかよ、はえぇな…」
「ごめん、その事昨日まで忘れてたんだ。だから遅くなっちゃったしお祝いの用意もなんもできてない…ごめん、許してほしい。」
「許してもなにも、俺なんか忘れるどころか知らなかったすよ。…じゃあ家でめっちゃ豪華な料理作るの手伝ってくれたら許す!」
「そんなんで良いの?怒ってない?」
「どこに怒る要素あんの?いつだって祝えれば同じだろ。」
「でも俺忘れてたんだよ?気遣わないで、怒って良いんだよ?」
「だぁーもう、俺が良いって言ってんだから良いの!」
勢いに任せて青井の顔を両手で挟み、目をギュッと瞑ってプルプル震えながら口付ける。青井は突然の事に驚き目を見開いて固まっていたが、そっぽを向いたつぼ浦の顔に手を添えて優しくこちらに戻した。
「ごめん、こういう所直さなきゃな。もっとつぼ浦信じなきゃ、つぼ浦が良いなら良いもんな。ありがと。」
「…アオセンからもしてくれたら、許す…///」
「えっ…ふふ、そういう殺し文句どこで覚えてくるの?目瞑って。」
両手を握りあって優しく何度も唇を重ねる。目を開けるとつぼ浦は満足そうに笑って青井の首元にすり寄った。
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