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「中也くんの秘密」生理男子


朝起きると、身体が重怠く、嗚呼、今日は此の日だったな。と、前の日を思い返し、朝の無駄に冷静に成った時間に出勤の準備をする。今週はやけに症状が重いらしく、先日は腹が裂けるかと思うほど、地獄の痛みだった。流石に仕事に支障が出ると困るので、痛み止めの薬を2日分飲んでおく。オーバードーズだとか何だとか云うけれど、2日分でなければ中也の男の身体には足りないのだ。怖いので念の為、予備の薬やナプキンを誰にもバレないように服の裏に取り付けた隠しポケットの中に隠し持って置く。月に一回来て仕舞う之は、意外と心配しなければ直ぐ周りにバレてしまうものなのだ、中也は矢張り用心をして、仕事場に向った。


「あれ?中也、遅かったね。」

いつもの書類を片付けたり調べ物をしたりする部屋に行くと、何時もより少し早めに来た太宰が勝手に中也の椅子に坐っている。

「五月蝿え。手前に云われたかねェよ。…処で太宰。手前、今日は芥川の教育係の日だったんじゃねェか?」

ここに居るはずがない。捷く何処かへ行けというような意味も込めて聞く。だが焦る様子も椅子から動く様子も無く、薄く答えた。

「え?嗚呼、もう終ったよ。今頃一人で任務を熟していると思うよ。」

 何だ、もう終ったのか、と思うと同時に、芥川が心配になる。此奴は意外とスパルタな教育をするのだ。中也は一回、太宰が芥川を教育して居る処を盗み見した亊がある。銃を撃ったり、間違えたら死ぬのではないかと思うほど殴ったり、太宰への恐怖の所為か、慥かに防御力も攻撃力も上がって居る。だが、流石に、此の様な教育の仕方は駄目なのでは無いか、と中也は思う。

「否、芥川君はこうしなければ伸びないよ。」

中也の表情から考えて居る亊を汲み取る様に太宰が云う。

「何でだ。幾らマフィアとは云え、もっと良い育て方が在っただろ。」

表情や行動で心情を読み取られるのは何時もの亊なので、別に驚きもせずに中也が問う。そして其れに間髪入れずに太宰が答える。

「芥川君はね、マフィアというものに甘えているんだよ。此の儘幹部にでも成れば、明らかに自滅の道を辿って仕舞う。でも才能は在るのさ。例え幹部迄行かなくても、之ほど優秀な人材を失えば、ポートマフィアは芥川君という存在がある以上、困ってしまう。だから森さんは僕を教育係に命じたんじゃないかな。」

中也は太宰の言っている亊は良く解らなかった。未だ後半は解るとして、何処が甘えて居るのか。何となくしか解らなかった。

「良く解らねェな。」

「まあ、だろうね。」

太宰はまるで自分が上とでも言いたがる様に云う。悔しいが、其れは本当なのだ、太宰には中也の亊が表情だけで解っても、中也には太宰の亊が何もわからない。ましてや表情で考えている亊を判断する等、中也からすれば不可能な亊に過ぎなかった。

 ピロン、と音が鳴る。太宰の携帯からだ。太宰が見覚えの在る紫色とも青色とも付かぬ色の車線が入ったデザインのガラケーを開ける。おそらくガラケーの画面に表示されているであろう文字を読むと其の綺麗で格好の良い顔に微笑を浮かべ、言った。

「中也。ほら仕事だよ。〇〇橋の近くの緑色の屋根の小屋で、結構な強敵の様だ。」

「嗚呼、捷く行こうぜ。」

「無論、其のつもりだよ。」

「手前はそういう奴だったな。」

二人は笑ってポートマフィアの本部を出て、現場へ向う亊にした。


「全然手強くなかったな。」

「ね。つまんない。」

「手前が死んだら本末転倒だろうがっ‼‼‼‼」

中也は少し重くなって仕舞った身体を無理やり動かし、怒ってみせた。だが、矢張り太宰の目迄は誤魔化せ無い様で、

「――却説。中也ってさ、生理男子だよね。」

あまりに唐突な言葉に、思わずゑっと云って仕舞う。

「だって、月に一回、血の匂いするし、身長も…ね?やっぱり、生理男子だよね?」

真逆バレて居るとは思わず、中也の顔は青冷めていった。と同時に、腹痛も酷く成り、立てなく成って仕舞って、しゃがみ込んだ。冷や汗がたれてくる。

「よいしょっ!」

腹痛に依りボーッとしていた所為か、何時の間にか太宰が中也の身体を世間で云うお姫様抱っこなる抱き方で抱えていた。どんどん頭痛も酷く成っていき、中也は太宰に抱かれながら本部迄の車を待つ仲で、幾度も気を失いそうになったが、薄らいだ意識の中で耐えて居た。気づけば太宰のコートまで羽織らされて居た。

中也は薄らいだ意識の中で太宰の服を強く掴んで居た。と、吐き気がしてきた。

「…だザッ…吐く……」

「…良いよ、吐いても。…云っちゃあ悪いけど、血、もうすでに僕の服に付いているのだし。あ、大丈夫だよ、返り血って亊にするから。」

太宰からそう云われたが、考える亊もできず、かと云って我慢も出来る筈が無く、其の儘太宰の服に吐いた。

それでも、太宰は大事そうに中也の頭を撫でて居た。

と同時に罪悪感がどんどん芽生えていき、目から涙が溢れてきた。太宰は慰めの言葉を掛け続け、少し立って丁度本部までの車が到着した頃、やっと中也は眠った。


―――切る。切る。小さいナイフで、手首を、ズタリ、ズタリ、と、切る。傷口から白い脂肪が見え、朱い血液が傷口にものすごい速さで丸い血溜まりを作って行く。やがてその血だまりは破裂して、腕を伝い、床や服に赤黒い染みを作る。

――最近は切る所が無くて、手の平まで切って仕舞う。精神不安定だ。

血をティッシュで拭くのも面倒臭く、乱暴にハンカチタオルを腕に巻き付けて、ボーッと椅子に坐って朝までの長い時間を過ごす。貧血で、動けないのだ。右目に巻いた包帯に、何時の間にか涙か汗か判らない水が滲んで居る。

ガタッと太宰の自室の窓が秋、無表情の森鴎外が現れる。そして椅子に坐って目を閉じボーッとしている太宰のそばに寄り、乱暴に巻かれたハンカチタオルをほどき、腕の傷口を辛そうな表情で診る。森は太宰の傷だらけの腕を消毒し、大きめサイズの絆創膏を何枚か貼って、細い腕に包帯をぐるぐる巻き付けた。それから、太宰に何かの錠剤と水を飲み込ませ、またコツコツと足音を立てて部屋から出ていった。


朝だ。ボーッと貼れない瞼を持ち上げる。腕に丁寧に包帯が巻かれ、いつものように森さんが来たのかと気付く。そしてシャワーを浴びようと、服を脱ぎ、包帯を外し始める。やがて其処から顕わになった裸体は、想像を絶するものだった。

首にはロープの跡、それだけではなく、もう何の跡か判らない程数を重ねたのだろうか。首には幾度も自殺未遂か殺されそうに成ったのか、無数の手形やロープの跡が赤く、くっきりと残って居る。そして、背中や腰、胸には刺したり、抉られたり、引っかかれたりした様な跡が有り、腕や足には、自傷行為、――ナイフで切ったり、縄で縛ったり、何かを叩きつけたのだろうか、とにかく痣や怪我を自主的にした―――跡が無数に在った。一般人なら、一目、此の体を見ただけで逃げ出してしまうかもしれない。取り敢えずそれくらい、幾度も幾度も自傷行為や自殺未遂、監禁や拷問を繰り返されて来た身体なのだ。――此の亊は太宰と森以外知らない。

太宰はポツリ、言葉を漏らす。

「辛い、死にたい。消えて、仕舞いたい。」

太宰は風呂場で泣いた。静かに、どくどくと流れていく血を眺め乍ら泣いた。

やがて風呂から出ると、彼はバリバリと音を立て、着替えた。

彼は、日記を書き、そして自室から何処かへ、何かを隠し持って出ていった。

彼の書いた日記は、貧血で頭が回らなくなったのか、開きっ放しだった。

そして其処には、こう書かれて在った。

画像

(画像が読み込めない人、画質が荒い人の為に内容を下に書きます一応)

「今日もまた、切ってしまった。

辛いんだ、辛い。理由はわかる、

僕は生理男子だから、みじめな思いを

しなくちゃならない。いやだ。

中也も同じことは判っていた。でも…」



                        「中也くんの秘密」否、「太宰の秘密」了


すみません文字数が多くなってしまいました…

あと脳死してて訳わからない文章だったり変換だったり在ると思いますが、気にしないで下さい(

ここまで読んでくれてありがとうございました。

多分、之がこのあかうんとで 一番最後に出すストーリーです。物語です。

今日の今日までありがとうございました。

次垢にうつるので、次垢もフォローして下さい。ありがとうございました。

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コメント

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天才ですね。好きです

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