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最&高です! 更新されるのを楽しみにしています
素敵な作品をありがとうございます!!更新されるのを楽しみにしてますね!ゆっくりでいいのでお願いします!!
もう本当に最高すぎます!! どうしてこんなに素敵な作品が 書けるんですか!?尊敬します✨
この物語は、太宰さんがポートマフィアに戻るというお話です!
なんで戻ったの?という理由は私も如何創ったらいいか、分からなかったので、取り敢えず森さんが言ってた「探偵社員の一人をポートマフィアに移籍」というのが太宰さんになった。というので、話を進めたいと思います!
見る人によっては、腐気味かもしれないし、語彙力ないのでご注意を!
それでも大丈夫な方は↓↓↓
ある日、中島敦と泉鏡花は___元武装探偵社員の太宰治と再開する。
その出会いが太宰にもたらすのは“堕落”か“救済”か。
教えてくれるのは、風の便りのみである。
***
『忘れてないよ』
その言葉の変わりに、太宰は肯定の笑みを浮かべた。
其の事に敦は嬉しそうに笑顔を浮かべ、それを見た鏡花も幸せそうに微笑んだ。
「___敦君」
太宰は静かに言葉を発する。敦が太宰と視線を合わせた。
今となっては、敦には恐怖も不安もなかった。
何故なら眼の前に居たのは、敦も鏡花も知っている“探偵社員の太宰治”なのだから。
――少し低い落ち着くような声色。
――優しい言葉の発し方。
――安心するような温かい眼差し。
――何時も通りの柔らかな笑顔。
正に、探偵者に居た頃の太宰治だった。
先程迄の漆黒の瞳には、何処か温かさを感じさせる小さな光が宿っていた。
太宰は優しく笑みを浮かべる。
「敦君。実はね、君と___「太宰幹部!!」
荒い足音共に、黒服を纏った男が太宰の言葉を遮った。妙に息が荒くなっており、何処か焦っている。
男は太宰の部下であった。
男が太宰の言葉を遮った瞬間、先程の優しい光とは違い、鋭く冷徹さを感じる光が、太宰の瞳に宿った。
それに気付いた男の顔が一気に白くなる。
太宰の表情に普段は起こらない怒りが、一瞬剥き出しになったからだ。
__否、怒りでは無い。
太宰はそれ以上の感情を起こした。それ故、男だけでは無く、敦も鏡花も顔を強張らせた。
其の事に太宰は気付き、表情を戻す。然し声色は戻らなかった。
「直ぐに戻るから待ってて云った筈なのだけど………何故来たんだい?」
低く、誰もが“怒っている”と感じるような声のトーン。男が脂汗を流す。
「……その、太宰幹部に急遽、報せなくては成らない事が在りまして……」
男が少し声を震わせながら云う。
当たり前だ。太宰の鋭い眼光に射抜かれているのだから。
「報せ?」
「はっ…はい……」恐怖心が男の躰を縛り付ける。
少しでも躰を動かすだけで、殺されるのではないだろうかと思う程、太宰の瞳は冷徹さを帯びていた。
「…!」刹那、敦は男が走って来た方を勢い良く向く。まるで何かに気付いたかのように。
そして苦り切った表情をして「げ……」と呟いた。
敦は男を見たのではなく、其の後ろを見たのだった。
硬い靴音と、小さな咳が響く。今度は鏡花も太宰も気付いた。
気付く事が出来なかったのは、恐怖に縛られた男だけだった。
「太宰幹部、実は____「僕と中原さんが、首領の命で参った故」
口元に手を寄せ、後ろから外套を着た青年が男の言葉を遮った。
「芥川……」
敦が苦虫を噛み潰したような表情をして、青年の名を呼ぶ。
「………」青年__芥川龍之介は一瞬、敦の方に視線を向けたが、直ぐに太宰の方へと視線を戻した。
無視である。
「太宰さん、僕等は……」
「相変わらずの無視かよ!!」
敦が鋭い突っ込みを芥川に入れる。
「何だ人虎、僕に何か用か」
「いや、何も無いけどさぁ!挨拶ぐらいはしろよ!!」
敦の言葉に、芥川は鼻で笑う。
「真っ昼間から鏡花と買い物逢引をして、鼻の下を伸ばしている貴様が何を云っている」
「なっ//…!?鼻の下なんて伸ばしてないぞ!!それに僕達は探偵事務所の日用品を買いに来ただけだ!!」
「ねっ!鏡花ちゃん!!」敦は勢い良く鏡花の方へ顔を向ける。
「えっ//……ぁ、うん///」頬を染めながら、鏡花は曖昧に返事をした。
意外な表情に、敦は思わず間抜け面をしてしまう。
「えっ…ちょっ//……一寸待って鏡花ちゃん///此れじゃあ芥川に何も言い訳出来な///……」
それにつられ、敦も顔がどんどん赤くなる。
「何はともあれ逢引には何も変わらぬ」
「うっ//…煩いなぁ///!!」
そう言い張るが、敦も鏡花も顔が赤くなった儘だった。
何故か云った芥川自身まで、次第に不快感が出てくる。
「…っていうか、お前は何しに来たんだよ」
「先程云った通りだ。首領の命で参った事を太宰さんに____」
太宰の方を向いて云った芥川の言葉が、急に途切れる。
目を丸くしていた。不思議に思った敦も太宰の方へと視線を移す。
「ふふっ…んふふっ」
幸せそうに、太宰さんが笑っていた。
「ちょっ…!何笑ってるんですか!?太宰さん!!」
「否ぁ?相変わらず仲が良いなぁって笑」
「「仲良くありません!!」」敦と芥川の声が重なる。
「ほら仲良い。鏡花ちゃんもそう思うよね?」
太宰は優しく鏡花に話しかける。鏡花は大きく「こくっ」と頷いた。
「ゔっ!お前が真似するから、鏡花ちゃんに迄そう思われるんだ!!」
「其れは此方の台詞だ人虎。貴様が僕の真似をしなければ佳い噺…」
「何だと!?」敦が構える。
「……」それと同じように、芥川の外套が黒獣に変化した。
ピリついた空気が走る。
「はいはーい、其処まで」
微笑しながら太宰は両手をひろげ、芥川と敦の間に割って入った。
其の瞬間、芥川の変化した外套が雲散霧消する。
「……!」
「太宰さん…!?」
「喧嘩は駄目だよ」太宰がニコッと微笑んだ。
「私や芥川君も仕事があるのだし」
「敦君だって……鏡花ちゃんと一緒に買い物に行く途中だろう?」
太宰の言葉に、敦と芥川は口をつぐむ。
「其れにしても懐かしいなぁ…君達二人が初めて会った時も、こうやって私が割ってはいったっけ?」
二年近く昔の過去を、太宰は掘り起こしていく。
「はい……確か僕が人虎を一刀両断にした、あの日……」
「否!其れ谷崎さんの幻像だから!僕じゃないから!!」
「(-_-)ムッ……だが貴様の足を羅生門が喰い千切ったのは変わりない」
「云っとくけどアレ結構痛いからな…!」
芥川は鼻で笑って「…もう一度喰われるか?」と云いながらスッと手を挙げると、再び羅生門が現れる。
「お前、話聞いてた?」敦が正論突っ込みを炸裂させた。
「もう…君達は直ぐ喧嘩になるよねぇ」
太宰が芥川の肩に触れる。再び羅生門が霧消し、元の外套に戻った。
「そろそろ行くよ。疾く行かないと中也が怒鳴って来るし…」
太宰がそう言葉を発した瞬間、敦が顔を横に向けた。再び聞こえたのだ。
「太宰…!遅ェぞ、何してる!!」
「ほら来た」
エスパー…?(太宰以外一同)
「先に行って中也の事待たせてて、私も直ぐ戻るから……」
芥川の背中を太宰が軽く押す。
「……承知しました」芥川が静かに答えた。
太宰に云われた通り、芥川と男が中也の方へと走って行く。
***
風が強く吹き付けた。少しの沈黙が続く。
敦がはじめに、口を開いた。
「あ、あの……太宰さん」
「敦君」
太宰が、低く落ち着くような優しい声を響かせる。敦の方を向き、“れいの笑顔”を浮かべた。
敦の瞳が微かに揺れ動く。
太宰は靴音を響かせて、静かに敦の方へと近寄った。
「ねぇ敦君。もし、今の私でも“信頼”というものを寄せてくれているのなら__」
敦の手に太宰がメモ紙を握らせる。クシャッと、紙のシワ寄れる音が響いた。
「もう一度話をしよう。昔みたいに…」
そう云い残して、太宰さんは立ち去った。
***
再び沈黙が続く。
僕も鏡花ちゃんも、暫くは何も話さなかった。
呆然と立ち尽くしていた。
只、気が付いたら____
僕達は、歩き始めていた。