テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
こはる
1,404
こはる
557
#切ない
こはる
16
15
第57話
『あははっ! ノア。君も面白いね。でも、今、かかってる呪いは違うね』
は? 呪い?
『セリーナは、途中まで合ってた。でも、呪いは完全には消えていない。ある条件を満たすと、また再発する』
俺は剣を振りながらそんな話を聞いていた。
再発……毒を盛られたらまた……? いや、毒だけじゃない……
『それと、ソラーレ。見落としてるのか、見落としてるふりをしてるのか知らないが、このままでは本当に国が潰れる』
「嫌な胸騒ぎがあるから、そんなの分かってる。でも、私にも順序って物がある」
『それで本当に潰れたらどうするのさ?』
リナの事を見ると、唇を噛み締めていた。軽やかな動きの魔力の中にモヤっとしている魔力が見えた。
「そのための仲間じゃないんですか?」
俺がドヤッとするとリナは微笑んだ。
「ありがとう」
『ははっ。やっぱり、似た者同士だな』
多分周りの人たちにはこの人の声は聞こえていない。
というか、この会話を聞こうとする人はただ一人しかいない。その人は……
カキンッ!
金属音を鳴らして入ってきた。リナとはまた別種の黒髪の男の人――否、ローベルトさんだ。
「リナ。すまないが、さっきの話を聞いてしまった。後でそれについて聞かせてくれないか?」
「はい。ってか、貴方の声ってどんな条件で聞こえるの?」
『う〜ん……ソラーレは知ってるはずだ。紙があるだろ』
は? 紙?
「はぁ……貴方の事だし……いつも通りか。取り敢えず、片付けの邪魔をしないで頂戴」
そう言ってリナは、神様みたいな人の事を睨んでから、金属バットを一振りした。その軌道の先にいたのは、俺の後ろから斬ろうとしていたやつだった。
「ノア。油断は禁物よ」
「あぁ。すまない」
それから俺は、リナやローベルトさんが倒したやつを一人一人縛っていった。斬るのはリナに許されないから、切傷はつけられなかった。
「グレーテ。大丈夫か?」
「えぇ。兄上。見ての通り無傷ですよ」
グレーテさんはふわりと微笑んだ。でも、魔力は怖いと叫んでいる。
『ノア。ソラーレ。後で、話したいことがある』
そう言って神様みたいな幽霊は、どこかへ消えた。
……後でって何時? 今から帰って寝たいんですが……
「リナとノアが話していたのは……ぼ、亡霊なのかしら?」
「う〜ん……世界の創造主と言ったら正しいかな。グレーテには言ってなかったけど……私の魂は沢山の人の人生を生きてきているの」
「沢山の人の、人生……? 世界の創造主……?」
勿論、グレーテさんも昔の俺と同じように思考回路がショートしている。
「詳しい事は、また後でね……と言っても私も分からない事だらけだけど」
後の事は、ケスラー近衛団に任せて、夜会は緊急でお開きされた。
「ノア。休みたい所悪いけど……絶対に、いるのよね。あの男なら、それ以外考えられない」
帰り道、二人で歩いているとポツリとそう言った。
めっちゃ、心読まれた。
「それで、傷。銃弾がまだ身体の中にあるでしょ?」
ギクッ……
あれから、何発か発砲されてタイパ重視したら……左肩に一発当たった。
間一髪で、心臓は免れたけど……痛むし、止血も終わってない。
俺が無言で頷くと、リナは銃弾を魔法で取り出して、全身に治癒魔法をかけた。
その銃弾をまじまじと見つめている。分かるのだろうか?
「……最新式ね。ノア。痛む?」
「いいや。大丈夫」
「良かった。今日はオールさせられる覚悟でいた方がいいかもね」
オールかよ……嫌だな……
「ふふっ。オールはしないさ。思ったより早かったな」
そう言って裏道から出てきたのは……誰?
茶髪の男性。瞳は、金色で刺さるように鋭い。あの神様みたいな幽霊のように……
「はぁ……でも、ちょっと長くなるわよね」
「それは、ソラーレとノアによってだね」
「そのお前……何て呼べばいいの?」
確かに、神様って呼んだら周りの目がね……
「う〜ん……まぁ、ソースとでも呼んでいたらいいよ」
ソース……源か。
源と創造主。この人、 上手く文字る人だな。
「じゃあ、ソース。付いてきて。サントラップの客室に案内するから」
「神様に対する態度なのかい?」
「……一応、恨んでるのは忘れないでよね。時のレールに乗った私の魂が止まることは無いけれど」
そう言ってリナは、くるりと背を向けて歩き始めた。
恨んでる……? 一体何が……?
「そうだね。まぁいいや。付いていくよ」
神様……ソースは、そう言ってリナの後ろをついて行った。
コメント
1件
第58話、読み終えました!ソースの登場で一気に世界観が広がった印象ですね。「紙があるだろ」というヒントが気になりすぎる…。リナの「恨んでる」という言葉も引っかかります。彼女が背負ってきたものの重さがじわじわ伝わってきて、続きが待ち遠しいです!