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#地雷系
尾津嘉寿夫 ーおづかずおー
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クラリス
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リリア💙🤍
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#いじめ
名瀬口にぼし
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セドリックも嬉しそうにクスクス笑って、お上品にナイフとフォークでローストビーフを小さく切って口に運んでいる
「ああ・・・嬉しいっ、あたしゃセドリックが金を稼いで帰ってくる日なんか一生来ないと思っていたのよ・・・この子は読み書きや計算ができないから・・・」
マミーがエプロンでうれし涙を拭き、ブーッと鼻をかんだ、こんなに喜んでいる彼女を見て竜馬も宗一郎も嬉しくなった
「でも、フェンスの網目は数えられるぜ、マミー、大事なのは網目だよ!」
宗一郎が口をモゴモゴしながら言った
プッ「よく言うよ」
竜馬が笑った、意外と小食のセドリックが食事を終えても、まだ竜馬達は美味しい食事にガッついていた、マミーと二人が楽しく話し込んでいる、横でセドリックが毛糸で編み物をしている
「だから網目にうるさかったのかっ!!目からうろこだぜ!」
宗一郎はドリンク片手に納得したように言った、セドリックがせっせと編んでいる敷物は、それは美しかった、色んな毛糸を使って魔法のように編んでいく
. .。 .:・.。.
「それじゃぁ・・・竜馬のご両親は交通事故で亡くなって、宗一郎は日本にお母さまだけなのね・・・」
マミーが涙ぐんで言った
「うん・・・そうだよ」
竜馬は、はにかんでいった
グスッ・・・「かわいそうに・・・ずいぶん心細かったでしょうね、こんな誰も知らない、見ず知らずの土地にそんなに小さいのに・・・」
小さいの基準はよくわからなかったが、竜馬は肩をすくめた
「それなりに楽しくやってきたよ」
―ジャスティンがいたから・・・―
. .。 .:・.。.
またズキンと胸が痛んだが、もう竜馬は慣れっこになっていたので、気にしないことにした
「決めたわ!!私があなた達のアメリカの母になりましょう!」
ドンッとマミーがメロンほどある胸を叩いた、二人がやんやと拍手した、それをセドリックが見てクスクス笑っていた
プハッ 「このジュースもうめぇ!! 」
「うん!美味しいね! 」
竜馬もグラスに入った紫色のジュースを一気に飲んだ、 もうこのジュースを何杯も飲んでいる宗一郎が、なんだかおかしなテンションになって、ワハハハハハと高笑いをした、その瞬間!
バターンッ「わぁ!宗一郎! 」
突然竜馬の横に座っていた宗一郎が、後ろにぶっ倒れた、竜馬は慌てて宗一郎を起こそうとガタンッと椅子を蹴って立ち上がった
グラリ・・・「はれ?(あれ?)」
途端に世界がぐるりと回り、竜馬もその場にバッターンと倒れた
「あらあら・・・・ セドリック?この二人は、そこにあったこのラム酒を飲んだのかい?」
「ハイ、マミー」
「このラム酒はラムのおかげで飲みやすくなってるけど、テキーラで作っているからアルコール度数がキツイんだよ、馬でもひっくり返るからね」
マミーが倒れてもなお、うへへと笑う二人を見て言った
「セドリック!この二人を隣の部屋のベッドに運んでおやり 」
「ハイ、マミー」
セドリックがまずは竜馬を肩にかついでベッドへ転がせた、そして次はその横に宗一郎を寝かせた、二人は完全に目を回していた、セドリックは二人の靴を脱がせ、そしてキチンと二つ揃えてベッド脇に置いた
「さぁさぁ、あの二人が起きたら、喉が渇くと思うから、たっぷり水を飲ませておやりね 」
「ハイ、マミー 」
「それから、ここの洗い物を手伝ってちょうだい」
「ハイ、マミー」
セドリックが皿を片付け、テーブルをきれいに拭く
「良いお友達ができてよかったわね!私のbebe!!(babyの略)」
マミーがセドリックの頭を抱きしめた、セドリックはにっこり微笑んだ
「ハイ、マミー」
. .。 .:・.。.
シャンペーン大学校内に設置されている、おしゃれなカフェテリアで、竜馬は殺気を感じながらコーヒーを啜り・・・席を立つかどうか考えていた
でも、ここで席を立ったらなんだか負けたような気がして、悔しいので竜馬は居座ることにした、このカフェに入ってきてから彼女の存在は感知していた・・・竜馬はそ知らぬ顔で通り過ぎて、無視していたが、ずっと彼女は竜馬の斜め後ろの席で、黒い目を輝かせ、好戦的に睨んでくる
竜馬はため息をついて先日文芸学科のハミルトン教授が、偶然竜馬のテーブルに相席でランチを一緒したときに、暗唱してくれた、コングリーグの戯曲 「喪服の花嫁」の一節を思い出した
「蔑まれた女ほどの激しい怒りは地獄でも見当たらない・・・ 」 芝居かかったハミルトン教授の朗読が、今にも聞こえてきそうだ・・・フランチェスカという名前の竜馬と同じクラスの彼女は、竜馬に袖にされたことを恨んで、校内どこでも彼を睨みつけてくる
竜馬はため息をついた・・・拒絶されたと思われずに、女性の誘いを断るにはどうすればいいのだろう?
「おっかねーなぁ~・・・彼女、なんかお前の方を見てブツブツ言ってるぜ、あれ絶対呪いをかけてるよな、名前なんだった?何チェスカ?」
宗一郎がフライドポテトの大皿を竜馬の前に持ってきて座った
「・・・フランチェスカだよ・・・どうしてもと言われてカフェでお茶したんだよ、でも僕・・・寝てしまったんだ、だって彼女のおしゃべりが止まらなくてさ、女の子のおしゃべりって聞いてたら疲れるんだよ、そしたら彼女泣き出したんだ、そんなに恨まれること?」
困り果てた顔で宗一郎に訴える
「最近仕事が忙しいものなぁ~頭の良い女はプライドが高い」
コキッコキッと宗一郎は首を鳴らした、連日の仕事でお疲れなのは、宗一郎も同じだった
「どうして女の子って寝たら怒るんだろう? ジャ・・・・っ・・ 」
「なんだ? 」
「別に・・・」
― ジャスティンは僕がいつ寝ても怒らなかった―
. .。 .:・.。. .。.:・
と、思わず言ってしまいそうになった、宗一郎がポテトをバクバク食べながら言う
「お前ってよく「ジャッ」って言うよな、それなんかの呪文?」
「何でもないよ! 」
竜馬もポテトを頬張った、もう・・・いい加減、会う人会う人ジャスティンと比べる癖をやめないと・・・
―あきらめるんだ、ジャスティンみたいな人はいないんだよ―
竜馬は自分に言い聞かせ、コーヒーを一気に飲んだ
. .。 .:・.。. .
フェンス張りの仕事はセドリックの丁寧な仕事のおかげでとても好評だった、さらにこの三人は細かな仕事が得意だと判断したビームスは、次から次へと異例の仕事の依頼を竜馬達に卸した、屋根の修理、有刺鉄線の張替え、下水道のパイプ交換、アイランドキッチンのリフォーム・・・などなど、仕事は選びさえしなければいくらでもあった、生きていくのに金が必要な竜馬達は、仕事が必要だった
それこそ、なんでも請け負って、無理なことでも三人で知恵を出して仕事をこなしていった、まさに三人寄れば文殊の知恵だ、そのうち、セドリックのマミーがビームスに正式に申し出て、下請け仲介に入ってくれて、竜馬達のスケジュール管理をしてくれるようになった
「うわぁ~!」
「すげぇ~ 」
「んだ!」
マミーが特注であつらえた、紺の作業用のジャンプスーツを着込んで、キャップをかぶった三人が真新しい作業着にはしゃいだ、さらに安全靴に手袋もついているなんてすごい!
機材を乗せた2トントラックに、運転席に二人、そしていつものように荷台にセドリックが乗る、マミーが大きなランチボックスを三人分渡して竜馬達に言う
「いい?くれぐれも事故を起こさないで、安全にね!さぁ!いってらっしゃい! 」
「ハイ!マミー!」
「ハイ!マミー!」
「ハイ!マミー!」
竜馬がクラクションを鳴らす、宗一郎はマミーに投げキスをした、それを見てマミーがクスクス笑った、今日のマミーのランチボックスは、生ハムとアボガドのミストレスサンドイッチだった、さらに新鮮なフルーツがデザートについていた
昨日は牛肉ミンチがたっぷり入ったブリトーだった、ここへきて栄養失調気味だった竜馬も宗一郎もマミーのおかげで血色もよく、健康的になってきた
マミーには感謝してもしきれなかった、のどかな田園地帯のフェンスを張り終え・・・マミーのランチボックスでお腹も満たされ・・・セドリックが編み物をしている横で・・・竜馬と宗一郎は草原に寝っ転がって、ウトウトしながら流れる雲を眺めた
「この空も・・・日本に繋がってるんだよな・・・」
宗一郎がポツリと言った、日本にいるお母さんのことを思っているのだろうか
「うん・・・」
竜馬もそう答えて空を見上げた、この空をどこかでジャスティンも見ているのだろうか・・・
調子はずれのセドリックの鼻歌が優しく聞こえる
「空だけは・・・どこにいてもつながっているから・・・」
. .。 .:・.。
竜馬はそう言った
コメント
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第191話、読み終えました!マミーの「アメリカの母になりましょう」には胸が熱くなりましたね…あの広大な土地で、三人を包み込むような温かさが印象的です。竜馬がまた「ジャッ」と言いかけて止めるシーン、彼の中でジャスティンがまだ生きているんだなと切なくなりました。最後の「空だけはどこにいてもつながっている」――この言葉、アメリカの青空の下で響くからこそ沁みます。マミーのランチとセドリックの編み物と鼻歌…この穏やかな日常がずっと続いてほしいと思える話でした!