テラーノベル
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「ねぇ翔太…あそこのイルミネーション、凄く綺麗なんだって///」
休憩室に、たまたま置いてあった雑誌を捲り
スマホを見ていた渡辺に…岩本が、興奮した様に説明する…
「ここ、クリスマスツリーもあるらしいよ///今年のクリスマスイブは、俺達もここで待ち合わせして〜///」
「そこで待ち合わせしなくても、楽屋で待ってれば良くないか?」
「ちょっと翔太…何言ってんの?」
ムードもへったくれもない渡辺の発言に
岩本は不満そうに…プクッと頬を膨らます
「はいはい、ごめん…。続けて下さい」
グチグチとしつこく絡まれる前に…大人しく、渡辺が謝ると
岩本は…スグに機嫌を戻し、目を閉る…
「その後はねぇ…///買い物して。それから、お互いのプレゼント買って…///オードブルもケーキも買って、俺の家に///」
【夢みる夢子ちゃん】ならぬ【夢男君】の岩本に
「あ〜良いね。良いね。そうしよう…」
渡辺の棒読みコメントが炸裂した
「翔太!気持ちが込もって無い!」
「あぁ、もう…分かった。はいはい、ごめん」
そんなやり取りをしていると…出番が来て、呼ばれてしまう
そのまま、話が終わってしまい
言い出した岩本さえも、今まで全く忘れていた…
『翔太…。ごめん…。すぐ行くよ!』
やはり、今夜は人が多く…
中々…駐車場が見つからない
やっと見つけた駐車場は、目的地からは少し距離にある場所だったが…そんな事は、今は言っていられない
そのまま渡辺の元へ急いだが…全く姿が見当たらず
ウロウロ探し回って…辺りを見回す
『翔太!何処!』
ライブで培った声量で、大声で…呼んで探したいが
目立つ事は、したくない…
その時、背後で
「クシュン…!」
聞き覚えのある、可愛いクシャミが聞こえて来て…凄い勢いで振り向いた
「翔太!」
その声に、渡辺の方も気が付いて
「照…何しに来たんだ?」
そう不機嫌な顔で聞いて来た
良く見ると、翔太の頬が寒さで赤くなっていて…
頬に触れると、凄く冷たい
一体、いつから待って居たのかと…
それを考えただけて、胸がギュッと締め付けられた
「離せって…」
そう言って、何処かへ行こうとする渡辺を…岩本が、引き留めて
腕を引いて、顔を近づけ…その唇を奪ってしまう
その時、偶然…雪が舞い…
周囲の人は…それに夢中で、空を見上げ
予期せぬホワイトクリスマスに、歓喜の声を上げていた
「翔太…。ごめん。俺が全部悪かった…」
泣きそうな顔で、謝ると
「俺も、少し言い過ぎた…」
渡辺も、素直に頭を下げる
その頬が赤いのは、寒さのせいか…それとも別の…
「クシュン!あぁ…止まらない…」
渡辺が、鼻を啜って息を吐くと
白い靄が、昇っていく…
「今から、ウチ来る?いや…絶対、連れて行く!」
ケーキも豪華な食事も無いけれど
今夜が素敵なクリスマスイブ…
「俺が、温めてあげるね///」
そう、耳元で囁くと
怒れてると思いきや
「お願いします…///」
そう言われて、驚いた
【完】
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💛くん!忘れちゃダメ!!!