テラーノベル
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「しょっぴー!車来たから、もう帰るよ〜!」
テレビ局の駐車場で、向井が大声で呼んでいる
「あぁ…うん。分かった」
康二と2人、車に揺られ
外の景色を眺めながら事務所へ帰る
『イルミネーション…綺麗だな…』
明日は世に言う、クリスマス…
街には一足早く…前夜祭を楽しむ人達の人の波が…
色鮮やかな…眩いイルミネーションが街を彩り
全体が、浮き足立っている様に見えてくる
信号が赤になって、車が止まり
渡辺の目に…街路樹に飾られたイルミネーションを、仲良く見上げる
一組のカップルが目に止まった…
『何か、楽しそうだな…』
その顔が…一瞬曇る
隣の向井はスマホに夢中で…それには全く気付かずに
そのまま信号が青になって、再び車が走り出す
お互い、顔を見合わせ笑ったり
一緒にスマホで写真を撮る為、肩を寄せ合う2人の姿…
先程、見ていた光景が…
頭の中で変換されて、目黒と自分になっていた
「会いたいなぁ…」
思わず、口に出してしまい
「ん?しょっぴー、何か言った?」
向井が顔を上げて聞いて来て
「ごめん。ただの独り言…」
渡辺は苦笑いして、そう言った
最近、目黒は忙しい…
来年、年初めから…海外へ行き、映画を撮る為の長期の滞在
だから、クリスマス位は会いたいのだが…
ソレは…俺の我儘だろうか?
今までは、目黒の方から【おはよう】【おやすみ】の挨拶が来て
ソレに俺が返事をしていた…
しかし、映画の仕事が決まってから…それも、少しずつ減っていき
ついには、全く来なくなった…
「………」
渡辺は、スマホを見つめ…考え込むが
何も打たずにポケットにしまう
「どうしたん?しょっぴー…元気、ないやんか…」
心配そうに向井に言われ
誤魔化す様に笑顔を作り【大丈夫】と言って笑って見せた
「はぁ…」
ため息で、窓ガラスが白く曇り
イルミネーションを楽しむ人達の、楽しそうな顔が隠れて
ほんの少し、ホッとした…
本当は、今すぐ会いに行きたいのに
邪魔をしたくなくて、我慢してしまう
連絡だって、自分からした良いのに…それもしない
『目黒は、今頃…仕事かなぁ…』
人気者の目黒の事だ…
来年から、しばらく日本に居られない為…
【その前に…】と、雑誌やテレビやネットの仕事が沢山来て溢れ返り…
それを一つ一つ、こなしている最中なのだろう…
そんな時に【会いたい】何て無理は言えない…
そんな暇があるのなら…
家に帰ってベッドでグッスリ眠った方が
本人の為にも、よっぽど良い…
そんな事を考えていると、車が事務所の駐車場に到着し…
2人は、先に降ろされた
コメント
4件

ため息で窓が曇って外が見えなくなってほっとするとか天才的表現😳勉強になります!