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錆の都送り

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錆の都送り

第31話 - 第31話　水母

14

2024年11月04日

#ダークファンタジー

#錆

#黒蜜の賞金付きコンテスト

伊琉夏

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14

伊琉夏

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鷹津は路地裏を駆け抜けながら、背後の追手から逃げるために必死だった。狭い道を選んだことで一時的に安全を得たものの、すぐに再び敵に見つかることを恐れ、隠れる場所を探し続ける。

「どこに隠れればいいんだ…」息を切らしながら、彼は周囲を見渡した。すると、前方に薄暗い空間が目に入った。そこは古びた倉庫のようで、ドアがわずかに開いている。絶好の隠れ場所だ。

急いでその場所に向かうが、彼の足音は無情にも耳障りな音を立てていた。「うるさいな…！」彼は自分に呟きながら、振り返ることなく倉庫に飛び込んだ。

倉庫の中はひんやりとした空気が漂い、かすかな月明かりが窓から差し込んでいる。周りを見渡すと、古い荷物が積み上げられており、さまざまな道具や機材が散乱していた。

「ここならしばらく隠れられるかも…」彼はひとまず安堵し、奥の方に身を隠した。すると、ふと目に留まったのは、奇妙な形をしたオブジェ。クラゲのような形状で、何かのアート作品のようだった。

「なんだこれ…？」鷹津は興味をそそられ、そのオブジェに近づいていく。触れると、ひんやりとした感触が手に伝わり、まるで生きているかのように脈動している。彼はその異様さに思わず手を引っ込めた。

「何か不気味だな…」彼はその場を離れようとした瞬間、背後から物音がした。敵が近づいてきているのだ。心臓が高鳴り、再び隠れ場所を探すが、目の前にはそのクラゲのオブジェしかない。

「これに隠れれば…？」一瞬の考えで、彼はそのオブジェの影に身を寄せる。しかし、まさかのことが起きた。

クラゲのようなオブジェが、彼の動きに反応したかのように光り輝き、彼の手に触れると同時に、体全体を包み込むように広がり、彼は異様な感覚に襲われた。「な、なんだこれ！」

瞬間的に、周囲の景色が変わり、彼はまるで異世界に引き込まれたかのように感じた。周囲は青白い光に満たされ、クラゲが浮遊する夢のような空間が広がっていた。

「これは…異能？！」彼は驚き、必死で思考を巡らせる。意識を集中させ、クラゲのエネルギーに身を任せると、彼の体は軽くなり、素早く動けるようになった。

「これなら、逃げるのも簡単かもしれない！」彼は思わず笑みを浮かべ、光の中で動き回ることができる感覚を楽しむ。

だが、その瞬間、倉庫のドアが開く音が響き、追手が姿を現した。彼は自分の状況を見つめ、周囲のクラゲたちが彼を守ってくれるかのように集まってくるのを感じた。

「行け！クラゲたちよ！」鷹津は全力でクラゲの力を引き出し、目の前の敵に向かって突撃する。光の粒子が散り、周囲を取り巻くように流れ込む。

「こ、これは何だ？！」追手たちは驚き、恐怖の表情を浮かべた。次の瞬間、クラゲたちはその光を放ち、敵を包み込む。混乱した追手は退却を試みるが、彼らの動きは封じられた。

「今だ、チャンスだ！」鷹津はその隙を突いて、倉庫を飛び出し、再び逃げることに成功した。

外に出た瞬間、彼は空気が戻った感覚に包まれ、心から安堵した。しかし、クラゲの力が消えかけているのを感じ、再び自分の異能を探る必要があると決意する。

「このクラゲ、何かの鍵になるかもしれない…」彼は心に決め、新たな力を手に入れたことを胸に刻みながら、次の展開に向けて走り出した。