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「ねぇ、今日さ」
ゆあんくんが、リビングで声を上げる。
「新しくできたカフェ行かない?」
「いいね〜」
のあさんが微笑む。
「たまには外でゆっくりもいいですね」
ヒロくんも頷く。
「じゃあ決まりだな」
うりが立ち上がる。
「もふくんは?」
「うん、行くよ」
いつも通りの優しい笑顔。
―――
カフェの中は、落ち着いた雰囲気だった。
「おしゃれだね〜」
「落ち着くな」
それぞれ飲み物を頼んで、席に座る。
穏やかな時間。
——のはずだった。
「……」
カラン、とドアの音。
新しい客が入ってくる。
「いらっしゃいませー」
店員の声。
その中で。
「……」
もふくんの手が、止まった。
「……?」
うりがそれに気づく。
「どうした?」
「……」
もふくんは、何も言わない。
ただ。
入口の方を見ている。
「……」
そこに立っていたのは——
一人の男。
特に目立つわけでもない。
普通の客。
でも。
「……久しぶりだな」
小さく、呟いた。
その声は——
もふくんにだけ届いた。
「……!」
一瞬で、空気が変わる。
「もふ?」
うりが低く声をかける。
「……知り合い?」
「……」
もふくんは答えない。
ただ。
「……」
その男を見ている。
「……」
男もまた、こちらを見ていた。
そして。
ニヤッと、笑う。
―――
「……あのさ」
ゆあんくんが、小さく言う。
「なんか……変じゃない?」
「……」
ヒロくんも、その視線の先を見る。
(あの人……)
何かがおかしい。
「……」
でも、分からない。
「……」
その時。
男が、ゆっくりと近づいてきた。
「……」
テーブルの横で、足を止める。
「久しぶりだな」
普通の声。
でも——
その目は、普通じゃない。
「……」
誰も言葉を出せない。
「……誰ですか?」
ヒロくんが、静かに聞く。
「……」
男は、少しだけ笑う。
「ただの知り合いだよ」
軽い口調。
でも。
「なぁ?」
視線を向ける。
もふくんへ。
「……」
沈黙。
そして。
「……違うよ」
もふくんが、静かに言う。
「知り合いじゃない」
はっきりと。
否定する。
「……」
男は、一瞬だけ黙る。
そして。
「……あぁ、そっか」
小さく笑う。
「そういう感じか」
納得したように頷く。
「……」
空気が、張り詰める。
「……まぁいいや」
男は肩をすくめる。
「またな」
それだけ言って。
そのまま店を出ていく。
カラン、とドアの音。
静寂が戻る。
―――
「……何あれ」
ゆあんくんが小さく言う。
「知り合いじゃないって……」
「……」
のあさんも、不安そうに見る。
「……」
ヒロくんは、もふくんを見ていた。
(嘘だ)
はっきりと分かる。
「……」
でも。
何も言わない。
言えない。
―――
「……」
もふくんは、静かに視線を落とす。
(最悪だ)
心の中で呟く。
(よりにもよって……)
あの人が来るなんて。
「……」
そして、分かってしまった。
「(もう隠せない)」
このままじゃ——
全部、バレる。
その予感が。
現実になり始めていた。