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こんにちは!超巨大積乱雲・すーぱーせる。と申します。
突然ですが私、カナダ受けが大好きなんです。
けれども、なにせ供給が少ないもんで……。
____ならば自己供給しようと!!
そんなこんなで生まれたのがこの駄作でございます。
是非楽しんでいってくださいね。
⚠Attention⚠
*アメリカ×カナダ
*少々アメリカ×日本があるように見えるかも
*薬物表現・依存症表現アリ
*小さなお子様はこの小説を読んではいけません。大人になるまで我慢しようね。
*政治的意図はございません
*エピソード2からR18がございます…。
この時点で、少しでも『うわ…ッ』となった方はすぐに引き返すことをおすすめします。
それでは____
寒さに震えて、かじかんで真っ白になった指先を必死に温めていた満月の夜に。
吐いた息が霧のように白く染まって、頭がぼーっとする冷たい孤独な夜に。
『ね?使うだけで、すっごく幸せになれるの。』
『依存症?犯罪?大丈夫大丈夫。ココじゃ、コレは合法だからね。』
____怪しいと思ったんだ。
『……、ほんとうに、幸せになれる、?』
『………、もちろん。 』
『一度だけ。それも少量なら。バレたりもしないよ。』
『じゃあ……一度だけ。一度だけ、ちょうだい。』
『……ふふ、かしこまりました♪』
そういって、目の前の男の子は笑った。
顔はクロークで隠れて、見えなくて。
そして、ほんの少しだけ。甘い、フルーツの香りがしたの。
カナダがまだ子供だった頃。
カナダと、その兄であるアメリカは血が繋がっていなくて、カナダの方が養子であった。
義父のイギリスは世界中を飛び回ってて、いつも家にいなかった。
だから、カナダとアメリカ、そして他の兄弟とだけで屋敷に暮らしていた。
『兄さん、今日はどこに行くの?』
『…少し、海まで散歩しに。カナダも来る?』
『うん!!行く行く!!』
『ん、じゃあニュージーとオーストには内緒ね?いい?』
『分かった、早く行こ!』
アメリカは、いつも家にいない父の代わりに兄弟の面倒をみていた。
しっかりしていたし、ニュージーランドやオーストラリアのようなちびっ子がいる中、カナダの話にも耳を傾けてくれる。
寂しがり屋のカナダには、それがどんなに嬉しかったことか。
そんなアメリカのことが、カナダは大好きでたまらなかった。
でも、アメリカだって子供である。
幼少期に甘えられなかった反動からか、反抗期には手が付けられないくらいに暴れたらしい。
珍しく、その時は父のイギリスが帰ってきており、いつものように大喧嘩になった挙句に、アメリカがとうとう独立戦争を仕掛けた。
『カナダ、カナダ…、カナダも、独立しよう。あのクソ野郎から、解放されようぜ。』
『っ、僕は……____』
自由へと燃えるブルーアイズ。
それは、冷たい青をしているけれど、情熱を内に秘めている。
残されていく弟たちが心配だった。でも、それは建前でしかない。
兄さんに行って欲しくない…。
『………僕は、行かない。』
『父様と一緒にいる。』
これで、兄さんが諦めてくれれば、いいのにな……。
『……………、そうか』
『じゃあな、カナダ。お元気で。』
『っえ……っ』
アメリカはくるりと踵を返して、屋敷から出ていった。
少し、悲しそうに瞳が揺れていた。
こんなはずじゃなかった。
兄さんにとって僕は大切じゃなかったんだ……。
カナダは魂が抜けたようにその場に座り込んだ。玄関の青いタペストリーが、嫌にその人を思い出させて腹が立った。
『ひどいよ、兄さん……。』
体操座りのままに、膝に顔をうずめて泣いた。
口の中が乾いて、ざらざら、苦い。
相反して、なかなか目は乾かなかった。
時は流れて、現代。
インターネット社会になって、環境問題なんかも騒がれる世の中になった。
カナダは義父___イギリスから独立して、現国197ヶ国の内の一つになっていた。
アメリカが出ていったあの日から、僕らには少々隔たりがあるようで、前みたいに心から仲良く話す、なんてことはなくなっていた。
『Hello 、カナダ。今日はご機嫌ナナメか?』
『Hello …変なこと言わないでよ…別になんともないよ。』
『HAHA、冗談だよ。ホント変わらねぇよな、お前は。』
____余計なお世話だ。
ああ、確かに僕は変わっていないとも。
兄さんのことが痛いくらい大好きなことも、兄さんのせいで青色が嫌いなことも、性格も、好物も。
全部、ぜんぶぜんぶ…子供の頃のまま。
『そうかな…、そうかもね。笑』
そう言って、カナダは、アメリカへ作り笑いを向けた。
少し、顔が引きつっているかも。
じょうずに、わらえてるかな。
『はぁ……国連さんも人遣いが荒いなぁ……。』
カナダは、手に資料ファイルをどっさりと持って、本部の廊下を歩く。
それもこれも先ほど、国際連合に資料室の資料整理を任されたからである。
ファイルはずっしり重くて、普段、鹿やアザラシを引きずっている彼でも疲れるほど。
『第四資料室……ここね…、』
からら、とそっと扉を開けて中に入る。
中は掃除されていなかったのか、ほこりっぼくて、資料の紙の匂いが充満していた。
『あれ…?誰か、いるのかな?』
奥で話し声が聞こえる。それと共に、懐中電灯の薄明かりが見えた。
邪魔したらなんだし、とカナダは静かに資料を棚に並べ始める。
その時。
『なあジャパン、いいだろ?』
『でも……___が…ってそれに……なんでしょう?』
この声は…兄さん?と日本くんかな…?
なんの話をしてるんだろ…?
今の、ちょっと聞き取れなかった……。
カナダはさらに耳を澄ませてみる。
『いいじゃんか、付き合うくらい!な!頼むよ!』
『はあ……まあ良いですよ、付き合ってあげます…。』
『I made it ! ありがとな!!嬉しいぜ!』
ツキアウ?つきあう…、付き合う……??
付き合うって…あの付き合う?
つまり、兄さんは日本くんのことが……。
それで、兄さんと日本くんは恋人になって……。
考えれば考えるほど、カナダの頭は真っ白になっていくばかり。
『それで、……ですが、____しますか?』
『ああ、それは…___で大丈夫か?』
『…まあいいですよ。』
『Thanks ! 楽しみだよ!』
カナダはショックで、その後の会話に耳を傾け続けることなどできなかった。
カナダはまたもしゃがみ込む。
その間に、アメリカと日本が出入り口の方へと近づいてくる。
隠れなきゃ、と思うカナダだったが、身体が思うように動かない。
幸い、資料室が暗く、棚の影に隠れることができたので彼らに見つかることはなかった。
『そんじゃ、またな!』
『ええ、またあとで。』
からららら………かたん。
資料室には、数多に置かれた資料と、ほこりと、カナダだけが残された。
『……ぃよ……』
ぽたん。雫が、木製のフロアに染み込む。
『ひどぃよ……ッ…なんで、なんで……ッ』
ぽたん、ぽたんと、堰を切ったように、大粒の涙が溢れ出す。
『ひぐっ、ぅ、う、ふぐッ、いやだ、やだよぉ……ッ』
『けほッ、こほッ……ッ、ぼくをおいてかないで………っ、ひとりにしないで……ッ』
止めたい。止めたいのだけれど、止まらない。
自分は、想像以上にアメリカに溺れていたようだ。
あの時と、おんなじ。
いっつも彼は、カナダから背を向けて歩いていくのだ。
『…っ、もういい……いいや、ッ』
『もう、生きる意味なんてないじゃんか…ッ』
____死んでやる。せめて、貴方の目の前で、一生の想い出になるように。
その時は、本当に正気の沙汰ではなかったのだと思う。
それだけ、カナダはアメリカを心から、そして憎らしくなるほどに、愛していたのだ。
瑪瑙のごとき瞳には、もう光など宿ってはいなかった。
無限に広がる宇宙のように、深くて、暗くて………。
カナダはすっかり、憔悴しきっていた。
頬を伝う冷たい感触だけが、彼が今ここに生きているということを思い出させてくれる。
満月、先ほどまで雪もちらついていた、カナダの奥地にある、ログハウス。
雪かきを忘れたか、ロッジにも、屋根にも、煙突にも真っ白な布団がかけられていた。
『さむ、さむぃ……』
『凍死、なんて……痛いけど、いいかなぁ…』
あれから、カナダは何をする気にもなれなかった。
仕事も無断欠勤して、食事もろくに摂らないから、前よりも体重ががくんと落ちた。
携帯電話は、すでに何百、何千もの通知を抱えている。
夜は不安で眠れないのに、朝になると物凄く眠い。朝が来ること自体がストレスで、泣きじゃくることも多くあった。
暖炉に火を灯す気すらも起きず、いつでも自宅のログハウスは冷たかった。
『はあーーっ、はぁっ、手、真っ赤だあ……』
カナダの夜の空気は冷たい。冷たいを超えて、痛いまである。
そんな中で、彼は手袋もマフラーもせずに、ぼんやりと安楽いすに座って、窓から遠い満月を望んでいるのだ。
『…………だれかぁ……たすけて………』
掠れて、大層な声は出ない。
それでも、彼にとっては最大の心の叫び。
さて、これは満月に、星に、届いたのだろうか。
『……どうしたの?酷いカオしてるねぇ』
カナダに降り注いでいた満月の光に影がかかる。
ふんわりと甘酸っぱいフルーツの香り。
逆光で良く見えない。かろうじて見えたのは、真っ黒なクロークと、薄く微笑んだ口元だけ。
『…だれ……?』
『ボクはアルバ!可哀想な人を幸せにするのが、ボクの役目なの。』
『君、すっごい疲れ切ってて、ボク心配になっちゃって………。』
『そんな君のために、とっておきのおくすり持ってきたんだ!!』
『お、くすり………?』
正直、この病が薬でなんか治せるはずがないと思った。
カナダより少し小さめなアルバは、腰に着けたポシェットから、手のひらぐらいある瓶を取り出した。
その瓶には、ハーブ、みたいな……“おくすり”が詰まっていた。
『ね?使うだけで、すっごく幸せになれるの。』
『依存症?犯罪?大丈夫大丈夫。ココじゃ、コレは合法だからね。』
____怪しいと思ったんだ。
『……、ほんとうに、幸せになれる、?』
『………、もちろん。 』
『一度だけ。それも少量なら。バレたりもしないよ。』
『じゃあ……一度だけ。一度だけ、ちょうだい。』
『……ふふ、かしこまりました♪』
そう言って、彼は笑った。
アルバはカナダに瓶を託すと、瞬き一つの合間に消えていた。
感情の変化が乏しくなってしまったカナダは、そのことに驚きもせずに、じーっと瓶を見つめている。
『……つかってみよ』
これが、本物のおくすりでも、そうじゃなくても良い。
とにかく今は、何かに縋っていたかった。
それが、どんなに悪いことでも、今の彼にとっては、なんとも思わないのだろう。
続く
誤字脱字があるかもしれません!失敬!