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#Paycheck
ゆゆゆゆ
ゆゆゆゆ
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ルーレットから離れ、バーラウンジ。
静かな音楽とグラスの音。
エリオットはソファに座りながら、まだ楽しそうに笑っている。
「ねぇチャンス」
「ん?」
「次どうする?」
チャンスはポケットからコインを取り出す。
キン、と指で弾く。
「決め方はいつも通りだ」
「コイントス?」
「表が出たら帰る。裏なら――」
「遊ぶ?」
「……いや」
少しだけ間を置く。
「キスする」
「は?」
エリオットが固まる。
次の瞬間、にやっと笑う。
「いいじゃん、それ」
「後悔すんなよ」
「しない」
コインが宙を舞う。
時間が、やけにゆっくり流れる。
――落ちる。
チャンスの手のひら。
静寂。
エリオットが覗き込む。
「どっち?」
チャンスはゆっくり手を開く。
――裏。
一瞬の沈黙。
「……マジか」
「ルールでしょ?」
エリオットは笑いながら、少しだけ顔を近づける。
「ほら」
チャンスは軽く舌打ちして、でも逃げない。
「お前な……」
「逃げるの?」
「……逃げねぇよ」
帽子のつばを少し下げて、距離を詰める。
ネオンの光が揺れる中――
ほんの一瞬、触れるだけのキス。
短くて、でもやけに熱い。
離れたあと、エリオットが少しだけ目を細める。
「……で?」
「何がだ」
「まだ遊ぶ?」
チャンスはコインをもう一度弾いた。
「もう一回やるか?」
「今度は?」
「表が出たら帰る」
「裏は?」
一瞬の間。
チャンスが少しだけ笑う。
「……さっきの続きだ」
エリオットはくすっと笑って、またネクタイを引いた。
「じゃあ、負けてよ」