菅原side
あの後、西川にスパイクやレシーブ、サーブなどバレーの一連をやってもらった。
(はは、未だに実感わかねぇー、!)
結論から言うと、西川はバケモンだった。
スパイクは日向より小さいのに日向ぐらい飛ぶし、レシーブなんて1発で影山のサーブを拾ってしまった。え、やばくね?
(西川めっちゃニコニコだった、)
(影山めっちゃ驚いてたしなー!笑)
正直、なんでマネージャーになったのか疑問しか浮かばない。
(まあ、なんかあるんだろーな)
そんなことを考えながら西川と他愛もない雑談をする。今は暗くなったから西川と一緒に帰っているのだ。
菅原「いやー、それにしても驚いたよ」
『まっ、まだですか?!笑』
『よく分かんないですけど、私多分そこまで上手くは無いと思いますよ・・・?』
菅原「いーや!西川はやべぇ!笑」
『そ、そうですかね、?』
菅原「そういえば、なんで烏野入ったんだ?」
『えへ、実は、会いたい人がいるんです』
菅原「・・・へー!」
(そんな人がいるのか、好きな人とか、?笑)
『昔からちょー憧れで!』
菅原「・・・そうなのか!烏野の何年?」
『あ!そ、その人、烏野じゃないんです、!』
『ね、音駒高校っていう・・・』
菅原「へー・・・・・・え?!?!」
突然の謎発言に驚いて体が固まる。
菅原「ちょっ、え?!じゃあなんで烏野?!」
『り、立地の関係で・・・!』
菅原「で、でもなんでわざわざ?!」
『実は昔、バレー関係で仲良い人がいたんですけど、その人から烏野と音駒が毎年練習試合するって聞いて・・・!!』
菅原「なっ、なるほどなー・・・?」
(なんか色々おかしいけど、西川が烏野に来てくれてよかった、)
『はい!バレーが大好きっていうのと、音駒と会うためにバレー部マネージャーに!』
菅原「あーー・・・」
菅原「ってことは、今月か!会えるの!」
『そうなんですよ!もう!ちょーー楽しみ!』
菅原「・・・はは、良かったな!笑」
(なんだろ、すげー会って欲しくね、)
『あ!私ここら辺で大丈夫です!』
菅原「おー!じゃあまた明日も頑張れよ!」
『はい、ありがとうございました!』
俺が手を振ると、西川はぶんぶんと大きく振り返してくれた。
菅原「じゃーな!」
(あーー、どうすればいいんだろ、笑)
西川と別れた俺は、家に向かい歩き出した。
西川side
家に帰ってからお風呂に入り、部屋に籠る。
(やっぱバレー最高だったなー!)
(てか影山のトスもはや気持ち悪い!笑)
部屋の隅にあるバレーボールやトロフィーを見てニヤニヤしていると、菅原さんとの会話を思い出した。
菅原「ってことは、今月か!会えるの!」
(あー!まじで楽しみ!)
(どんな感じになってるんだろー!!)
昔から憧れの人だ。きっと昔より素敵になっているだろう。
私のわくわくが最高潮になっていると、スマホからDMの通知が鳴り響く。
(ん、りんちゃんだ!)
相手は角名倫太郎という幼なじみ。小学生の頃に家が隣で、かなり仲良くなった人。
中学の頃私は別のところに引っ越しちゃったけど、連絡が続いている。
【ゆりちゃん元気してる?】
【俺まあいかんよ。】
相変わらず、私とのDMは訛るらしい。
〖りんちゃん!えなんで?!〗
【こっち兵庫県だで、慣れないんだよ。】
【バカ元気なやつが多くて、でらえらい。】
〖そっかー!私は元気!〗
【DM越しでも分かるよ。良かったけど】
【そっちは何部入ってるの?】
(りんちゃんはDMだけお喋りである)
〖うん!私はいろいろあっただで、バレー部マネージャーだよ!〗
〖りんちゃんDMだけ訛るね!笑〗
【仕方ないじゃん。慣れだよ。】
〖ちゃんと標準語じゃないとかんからね?〗
【ゆりちゃんとだけだから大丈夫。】
(う・・・全くりんちゃんは思いぶらすようなことをよく言う!)
思い返せば、りんちゃんは子供の頃もそうだったなーなんて考えていると、新しいDMが送られてくる。
【そっちで好きな人とかできた?】
〖えー?出来てないよ!〗
【でも中学の頃憧れてたって人は?俺話しか聞いたことないんだけど。】
〖あ、そうそう!私今その人とは違う高校なんだけど、今月練習試合で会えるの!!〗
〖やばくない?!楽しみすぎる!〗
【ふーん。よかったじゃん。】
【ちなみに俺、好きな人変わってないから。】
驚きの告白。私聞いてないんだけど!
〖え?!りんちゃん好きな人いたの?!〗
【あ、言ってなかったか。】
【じゃ、俺もう寝るね。おやすみ。】
〖ちょ、あー!逃げた!おやすみ!〗
【寝るんかい。笑】
(ふふ、相変わらず話しやすいなぁ、)
りんちゃんとのDMを終えると、全身の力が抜けたのか私は寝落ちしてしまった。
数日後・・・
「「お疲れ様でしたー!」」
今日も部活が終わり、みんなが挨拶して散っていく。いつも通り影山がこちらに来た。
影山「西川。今日も手伝ってくれ。」
『ん!いいよー!』
日向「あ!西川ー!後でレシーブ教えて!」
『おけー!じゃー投げます!』
あの日からフォームなどのお手本にされている。おこがましい気もするが、結構嬉しい。
しばらく練習していると、どこからか菅原さんが出てくる。
菅原「おーい!そろそろ休憩しろー!」
『はーい!ほら、影山も!』
私がタオルを渡すと、珍しく柔らかい顔で受け取る影山。
影山「おう、あざす。」
私が隣に座ると、じっと左手を見てきた。
『・・・影山?最近私の左手よく見てるけど、どうかしたの?』
影山「・・・西川、左手怪我してんだろ。」
『え、なんでそれ、?』
影山「すまん。あの日聞いてた。」
影山「お前中学の頃やってたんだろ。だからあんな上手いのか。」
『そっ・・・か。ごめんね、気、遣った?』
影山「いや。俺がすまん。」
表情は変わらないが、影山は少し俯いてから私を真っ直ぐ見た。
影山「・・・俺は、西川を超える。」
『ん、・・・え?』
影山「だから、西川は俺だけ見てろ。バレーができなくても楽しませる。」
影山「マネージャー、やめんなよ。」
『・・・・・・』
(そんなこと言われたの、初めてだな、)
私が驚いて固まっていると、影山は耳を赤くしてそっぽを向いた。もう限界。
『ふっ・・・はは!あはははは!笑』
『ふふっ、かっ、影山、そんなことふふ、』
『思っててくれたの、?笑笑』
影山「は・・・」
影山は笑いころげる私に驚いているよう。
いつもとは違う影山が面白いのもあるが、私は何より嬉しかった。
(影山、きっと私の話聞いてからいっぱい考えてくれたんだろーな。)
そんなことを考えしばらく笑っていると、日向が駆け寄ってくる。
日向「なーなー西川!レシーブ!!」
『ん、ふふっ、うん!やろー!』
日向「やった!早くー!」
ボールを持ってコートに立つ日向。私は立ち上がり影山の方に向いた。
『ね、影山ありがとーね!』
影山「ん、!おう、」
少し照れくさいのか冷たい影山。
『私、絶対マネージャーやめないよ!バレー大好きだし!』
影山「そうか・・・良かった。」
『影山のこと見てるから!頑張れよ!』
『はい!影山も立って!』
影山「ん・・・」
私は立たせた影山とグータッチをして、日向に駆け寄る。
(あーーなんか、ほんと入ってよかった!)
私はすごく晴れやかな気分になれた。
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