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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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暫(しばら)くの待ち時間の間、本堂内では初対面のメンバー達が、互いに挨拶を交わしたりして過ごしていた。

善悪始め殆(ほとん)どの人型メンバーが名刺交換や社交辞令の美辞麗句(びじれいく)を交わし合う中、コユキは疎外感を感じつつ、アスタロトやバアルと不毛の極み、頭取りで時間を費やす事しか出来ないでいたのである。


幸福寺の山門が日中には珍しくピタリと閉じられたのだろう、人型のアンラ・マンユや茶糖家の面々、薄らとしたフンババにカルキノス、更に薄くて目を凝らしてもハッキリ見る事は出来ない鳥型のカルラ、坊主っぽいスカンダと薬局の表にいるピンクの象のオブジェにそっくりなガネーシャ、前述のフィギュア達と鎧兜のゼパル、白猫の規定(キテイ)ちゃんに身をやつしたベレト、禿げた西洋風女性のガープまで、家で飲んだくれているであろうツミコとこんな事になっているとは思いもしていないであろう鯛男(たいお)配下のオールスターズ以外の主要メンバーが次々と集まり、勢揃いしていた。


勿論、ムスペルを守っているネヴィラスとサルガタナス、ヘルヘイムの留守番であるハンニバルとハスドルバル、潜入捜査中のスキピオ、哀れ行方不明中のカイムと三匹の熊ちゃん達、イラとルクスリアの子供達のオンドレとバックルこと、虎大(こだい)と竜哉(たつや)の姿も無かったのではあるが……


集まったメンバーを見渡した善悪が、吐き捨てるように言うのであった。


「チッ、又アイツだけ集まっていないのでござるっ、イーチ、申し訳ないでござるが呼んできて欲しいのでござるよ、墓地でござろ」


「はい、只今ぁ!」


イーチが急いだのであろう、数分すると泥だらけのハミルカルが手を牽かれて本堂へと入って来たのである。

集中する全員の視線が突き刺さる中、ハミルカルは土に塗(まみ)れた執事服を隠すようにしながら弱々しく言うのであった。


「あの…… すみませんでした…… 土の中にいると、その、お呼びになっているとは一切気が付かなくて、えっと、お待たせしてしまいまして…… ゴメンなさい」


ムスっとした善悪とアスタロトに顔を合わせないようにしながら本堂の隅にちょこんと座り込むハミルカルである。

トシ子が庇ったつもりだろうか? ヤケに大きな声で全員に聞こえるように言った。


「土に潜った状態じゃなきゃコントロール出来ないんじゃぁ、この先困るんじゃぁないのかい? 一つ鍛え直してあげようかね? どうだい? ハミルカルっ! ねえ、ダーリン?」


「ふむ」


「え、ええ、はい…… お手柔らかに…… お願いします……」


このやり取りを見ていた善悪が、三パーティー合同ミーティング及び、事情を知る皆さんを加えた説明会、そして今後に起こり得るであろう事態に向き合う為の会議の開会を宣言するのである。


「では、第一回、リンケージミーティングを始めるので、ござるっ!」


パチパチパチパチ!


集まったメンバー全員から惜しみない拍手が送られたのであった。

拍手が鳴り止むまで我慢強く待っていた善悪が指を向けて指名した相手は秋沢明、WITH通訳の辻井ちゃんである。


「では、最初に三重県松坂からお越し頂いた秋沢氏、いつもシャトーブリアンをありがとう、でござるっ! ちみ達から話して頂きたいのでござるよ! なに? 何があったってぇ?」


「×××××、×××××××ごつうぅおめるで」


「ええ、実は一年位前から育成牛の様子がおかしいな? とは感じていたのですが…… ここ数か月でヤケに顕著になって来ていましてね、牛が悪魔っぽくなっているんですよね…… えっと、次は何だっけか?」


「×××××××××、××××はつうない」


「ああ、そうか! えっと、それも以前現れた秋日影(あきひかげ)、モラクスさんと違って全然馬鹿になっていて、只々暴れて手の付けようがない、そんな感じなんですよ! 一応検死っぽい事をウチの出荷組合でもやってみたんですけどね、そうしたら出て来た訳なんですよね、この赤い石が…… ほらコユキさん? 秋日影を止めた時、遺体の横から拾い上げていたでしょう? これと同じような赤い石を、ね? そうでしたよね! んで、今回ご相談に赴いた、そう言う事でして……」


「××××××××、××××××××! ××だんないんな…… ダンダンダインやろ?」


あ、今、ダンダンダインて言ったよね? やっぱ言うんだ……

そんな私の新発見を無視して辻井道夫は真面目に通訳を務めているのであった。


「ん? ああ、そう? 聞くの? あー、そうなんだ…… えっと、この馬鹿がシャトーブリアンは美味しかったか? ですって! どうですか?」


善悪が眉間に皺を寄せながら答えた。


「分かったのでござる、辻井氏ありがとう! 秋沢氏、シャトーブリアンは絶品でござるよ、心配しないで今後も送ってくれれば嬉しいのでござる! では、次! 結城氏、話して下されいっ!」

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