テラーノベル
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ターミナル2から3は徒歩で移動できるし、時間もたっぷりあるので、色々見てみる事にした。
まだ早朝だというのに、免税店はもう開いている。
「尊さん、オーストラリア土産って何がいいでしょうか?」
「んー、無難なのは『T2』の紅茶かな。買おうと思えば日本でも買えるけど、定番土産ではある。『ティムタム』のチョコビスケットも有名だけど、カルディで買えるしな……。あとはマカダミアナッツチョコやクッキー? マヌカハニーやユーカリの蜂蜜、ワイン、コアラの形のショートブレット、ジャーキー、メリノウールの製品、アボリジニ製品とかもあるけど」
「うーん……。紅茶やお菓子は買うとして、やっぱりお母さん、美奈歩あたりが喜ぶのは免税店のリップとかになるのかな?」
「女性の場合、食べ物の他はコスメが無難かもね」
恵もあちこちお店を見ながら答える。
「俺的にはジャーキーがオススメかな。ビーフの他にもカンガルーとか、クロコダイルとかあるよ」
涼さんがやけに嬉しそうに言う。
「……そういえば涼さん、ゲテモノ喰いの人でしたね」
恵が冷ややかに言うと、彼はハッとしてキュルンとした目で〝涼子〟になる。
「ゲテモノは嫌いになっても、涼子の事は嫌いにならないで……っ」
「はいはい。あ、動物の道路標識のキーホルダー可愛いな」
恵が黄色い菱形をベースに、コアラやカンガルーのシルエットがついているキーホルダーを指さし、私は「ホントだー!」とつられる。
「これ、お揃いで買おうか」
「いいねー。柄違いもいいかも」
私たちがキャッキャしている後ろで、尊さんは涼さんの肩を無言でポンと叩いていた。
荷物になるので空港でお土産を買うのは帰りにし、私たちは一通り空港の雰囲気を味わったあと、ラウンジへ向かった。
ラウンジは保安検査場を通ったあと、出発ロビーからエスカレーターでワンフロア上がった所にある。
「すご、広ぉ……」
ラウンジの立派さ、広さは羽田空港でのものと遜色なく、ビュッフェで色んな物が食べられるようになっている。
グレーの絨毯が敷かれた空間には、黒い一人掛けのソファや木製のテーブルセットがあり、天井からは円形のランプが下がっている。
「尊さん、見てきていい?」
「食ってもいいぞ」
「行ってきます! 恵付き合って」
「まったく……」
恵はブツブツ言いながらもついてきてくれる。
「女の子だけだと心配だから、俺らも行くよ」
「だな」
そんな訳で、全員でビュッフェの列に並ぶ事になった。
ラインナップはホテルの朝食ビュッフェと言っても良く、パンの他にもサラダ、ビーフシチューに似た物など、心惹かれる物が沢山ある。
私は味見程度に少量ずつとり、最後にスイーツをセレクト。
冷蔵庫にはコーラなどのジュース類が入っていたけれど、それは特にいいので、コーヒーを飲む事にした。
他の三人は機内で食べたばかりなので、私ほどではないけど、形だけサラダを少量とり、あとはコーヒーを飲むみたいだ。
席に着いたあと、私はご機嫌で写真を撮る。
「やっぱり、ただ飯があるのに食べなかったら、死んだお父さんも悲しむと思うから」
「おい朱里、乗り越えたのはいいとして、お義父さんの扱いが大分ライトになったな?」
「お父さんも喜んでると思うので……。心は一つ」
尊さんに言われ、私は拳でトンと胸を打つ。
「いい話みたいに片づけるな」
恵は呆れて言うも、パクパク食べる私を優しげな目で見て、写真を撮ってきた。
「朱里ちゃんなら、カンガルー肉とか、ワニ肉もいけるんじゃない?」
「ちょ……っ、涼さん、朱里をゲテモノワールドに引き込まないでくださいよ……!」
「興味あります!」
恵が反発するも、私が元気よく言ったものだから、ガクッと項垂れていた。
「どんな感じなんですか?」
「カンガルー肉はヘルシーな赤身だね。オーストラリア国内では普通にレストランで出してるし、スーパーにも売ってる。意外とドイツやフランスでも食べられてるんだよ」
「へー!」
「結構臭みがあるけど、濃いめのソースと一緒に出されるから、それと一緒に食べたらまったく問題ないよ」
「食べたいです!」
私は力強く返事をし、コクッと頷く。
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