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「……丸め込まれてる……」
恵がボソッと言う。
「ワニ肉は意外と臭みがなくて、本当に鶏肉みたいだよ。脂ものっててジューシー」
「ジューシー!」
私は涼さんの言葉を繰り返し、グッと拳を握る。
「俺が今まで食べた中で、『結構匂いがあるな』と思ったのは、カエルとかウズラかな」
「へー! カエルは何か分かりますけど、ウズラって鳥なのにね?」
「そうそう。そこが不思議なんだけど、ニワトリになれなかった鳥……みたいな感じがあるよ」
「せっかくだから、オーストラリアじゃないと体験できない事をしないと……!」
「んっ」と頷くと、尊さんがボソッと横槍を入れてきた。
「まぁ、日本でも通販で手に入るけどな」
「も~!」
ブスッとふてくされると全員が笑い、そのあとも飲み物を飲みつつお喋りをして過ごした。
ケアンズまではビジネスクラスでのフライトとなり、尊さんにも涼さんにも頭が上がらない。
またボックス席風の広々とした席に座り、現地に着く前なので、ようこそドリンクはオレンジジュースにしておいた。
日本人らしき人もチラホラ見るけれど、やはり外国人が多い印象だ。
時間まで飲み物を飲んでゆっくり待ったあと、サインが鳴って飛行機が動き出す。
滑走路を走って離陸したあと、私は窓に張り付いて眼科に広がる美しい海を眺めた。
ケアンズまでは三時間のフライトで、羽田からシドニーまでの九時間四十分を思うと、短く感じる。
でも東京から札幌、または福岡に行く時の倍の時間がかかるので、さすが大陸……と思ってしまう。
ランチ時間にかかるので、高度が安定してしばらく経ったあと、まずスナックの提供があり、そのあとワンプレートランチが出された。
コーンスープにローストトマト、またはチキンサラダ、ミートボールのサンドイッチとある。
サンドイッチをオーダーしたけれど、小さめのスモークサーモンサラダもついていて、デザートにはアイスクリームもあり、お得な気持ちになった。
ちなみに文字ではカンタス空港と書いているけれど、英語で書くと『QANTAS』になり、発音は「クウォンタス」に近い。
日本人の発音で「カンタス」と言ってしまうと、女性器を意味する下品な言葉――カントに聞こえてしまうらしいので注意と、事前に尊さんに教えてもらった。
そんなこんなで、日本語対応の映画を一本見て、まだまだ! と粘ってもう一本見ている途中でケアンズに着いてしまった。
ターミナル2に着いた私たちは、タクシーに乗る。
空港を歩いていると、アボリジニのアートが沢山あって「オーストラリアに来たなぁ~」という気持ちになる。
オーストラリアは検疫関係でとても厳しく、何か引っ掛かったらとても時間が掛かるらしいので、ここまでスムーズにこられたのは僥倖だ。
なお、空港で働く麻薬検査犬にときめいてしまったのは秘密だ。
働く犬って格好いいよね……。
「海が綺麗~!」
私たちは左手にエメラルドグリーンの海を望みつつ、エアポート・アベニューを通り、レイク・ストリートを進む。
ビーチ沿いには公園みたいなグリーン地帯があるけれど、そこから内側はすぐケアンズの街並みになっている。
景色に見とれていると、あっという間に十五分もせず、海に続いている大きな川、チャイナマン川に面した、大手外資系ホテルに着いた。
なんと、観光地で名高いグリーン島へのフェリーターミナルの隣にあるホテルで、何かと行動するのに便利そうだ。
ちなみにオーストラリアではチップの文化がなく、キャッシュレス化が進んでいるので、クレジットカードがあれば事足りるらしい。
それでも少し不安があったので、少しオーストラリアドルに替えたけれど。
ロビーは広々としていて、茶色い床にブルーグレーのソファがあちこちにある。
天井からは白くて球体に近い照明が下がっているけれど、提灯を中途半端に閉じたような、段々のついている変わったデザインだ。
涼さんがチェックインの手続きをしている間、私と恵は尊さんと一緒にソファに座り、周囲をキョロキョロしていた。
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