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《二人の復讐者》
円卓の間にて二人の復讐者が対峙した。
一人は女王ロカ、ロカはジャラジャラした
邪魔くさいドレスから動きやすい服装に
着替え、動きやすいよう 髪を切った。
そして必要最低限の武器と拷問道具を身に付け円卓へと向かった。ロカを抹殺しようとする ルークの兵を、ギャンビットの兵が死にもの狂いで抑えていた。
『悪政のロカ』の勝利条件は
『夫バルを殺したルーク•グリッツファーを
抹殺すること。』
出来れば生け捕りにして拷問ののちに殺して
やりたかったが、よもやそんな猶予は残されていないことを『悪政のロカ』は知っていた。
(もし、運良く生き延びれたら、あいつの
命よりも大事な帳簿の管理場所を見つけ出してこの手で燃やしてやろうかしらね。)
そんなことを考えながら『悪政のロカ』は
静かに内なる青い復讐心の炎を 燃やしていた。
一方、もう一人の復讐者は髪を整え、眼帯
をし、先ほど首を切り落としたバルザード
十三世の血のついた サーベルを冷静に構えた。
彼の勝利条件は
『陛下を誑かし、その復讐心で国を滅茶苦茶に した『悪政のロカ』を討ち滅ぼすこと。
邪悪なる女王を抹殺し、生きて帰ること。』
ルークは必ず、生き延びねばならなかった。
陛下の目指した理想の国を、その頭脳をもって完成させるために。
ルークは必ず、生き延びねばならなかった。
眼窩に映り、いつまでも海馬に焼き付いた
陛下が、陛下の理想が、決して間違いではないことを証明するために。
ルークは高々と剣をかか げた。
これはシトラス王国に代々伝わる 正式な一騎討ちの作法である。
「私は ………《シトラス王国の頭脳》…..
…..いやッ!!!!私はバルザード十二世国王陛下の 頭脳ッッ!!!!!!ルーク•グリッツファー!!!!!!!
『悪政のロカ』!!!!!!!!忠義のため!!!!!!
貴様に一騎討ちを申し込む!!!!!!!!」
シトラス王国に代々伝わる作法によれば
相手に名乗られた際は必ず名乗りをあげるのが 礼儀である。
しかし、相手は
『悪政のロカ』
そんな王国の作法など鼻で笑うように
「……知ってるわよ、そんなの。」
とふわりとあくびをし、
「そういうのいいから、さっさと来なさい。
………地獄に送ってやるわ。」
とシトラス王国に代々伝わるシトラス拳法の
構えをした。
両者はしばらく睨みあった。永遠に続くかの
ような静寂、先に動いたのはロカであった。
「 ……ッバルのおおおおお!!!!!!!!!
……….仇ぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!」
ロカは蝶のような身のこなしでルークの死角、 つまりルークの眼帯側に周り込んだ。
そしてシトラス王国に伝わる拳術を用いてスズメバチのように鋭く ルークの頸動脈を狙った。
【なぜ女王ロカがこれほど俊敏に動けたか?】
ロカはこれまで闘技場で男達を殺し合わせて
様々な武術を観察していた。
時には衛兵を サンドバッグにしたり、適当にそこらへんで 捕まえた無辜之民を拳でいたぶりながら 殺し秘密裏に身体を鍛え上げた。
そうやって六年かけて自らの 爪を尖らせてきたのだ。
全てはこの日、バルザード十二世を殺した
憎き犯人をこの手で抹殺するためである。
一方、ルークは最小限の動きでロカの爪を
躱した。ロカの爪はルークの首を
ほんの少し掠めるばかりであった。
その動きは、まるでロカの動きを
最初から読んでいたかのようであった。
ルークは女王ロカのパワハラに耐えながら
女王ロカのことを極めて正確に観察していた。
そしてロカの相手の弱点を狙い抉ろうとする 性格を熟知していた。
だからルークは敢えて弱点を残した。
これ見よがしに眼帯でアピールし、 ロカの動きを誘導した。
そして、ロカの攻撃を最小限で躱したことで
ロカに隙が生じた。
その隙をルークは 左の眼窩で正確に捉えた。
ルークは剣でロカの肺と、腹部を正確に
刺した。一つはロカに虐殺された妻の分、もう一つは幼くして殺された娘の分だった。
「…..がっ….!!!……っひゅ……!!!」
肺を潰され呼吸もままならないロカを
ルークは脚で転がした。
ルークはロカの腹を 何度も踏み潰した。これはこれまで散々受けてきた糞みたいなパワハラの分である。
『悪政のロカ』は口から派手に吐き出した。
およそ六年に渡る復讐合戦の決着である。
ルークはトドメを刺すためにシトラス王国の正式な一騎討ちの 作法にのっとりロカの心臓を的確に剣で貫こうとした。
これはもちろん陛下の分である。
その時だった!!!!!!!!!!!!!
跳ね馬のような勢いで探偵ナイト•クラウンが ルークに斬りかかった。
ルークはこれを躱すしかなかった。
とてつもない汗を流しながら、ぜぇぜぇ
息を吐きながら。
そして、 女王ロカを庇いながらナイト•クラウンは 言った。
「私は女王陛下の忠実なる探偵騎士!!!!
ナイト•クラウン!!!!!! 女王陛下ァ!!!!!!!!!!
…….なぁんとか間に合いやしたかねぇ!?」
ロカは驚いたような目でナイト•クラウンを
見た。
そして、
「……まあ、………及第点ね。」
と激しい激痛に耐えながら言った。