テラーノベル
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第42話
あの後、全員を縛り上げようとしたけど、人手不足で回復するまでの時間が経ってしまった。
それも、あの怪物が一番早くに。一番警戒するべき相手だろう。
僕と同等くらいの魔力と、身体能力だろう。
でも、下ではある。戦ってるのをみてると、やっぱり数がいると、負けそうだ。
あれから、負けるのが怖くなった。なぜか自分がバッタになったみたいに、ちっぽけな存在に感じてしまった。
「一人では、出来ない事をやり遂げるのが仲間の支えと絆ですよ」
セリーナはそう言いながらちょっと大きめの金属の太くて短い棒を片手に走ってきた。
え? セリーナ……来てくれたのか。そりゃ、魔道具屋の従業員に嘘を吐いても無駄だよな……
仲間か……
仲間に感じられる人がいないんだよ。
「ははっ。そうだけど、一人でもやってみるまで分からない」
「私は、その『仲間の支えと絆』が足りなくて、死んでるんですから、信じてくれてもいいですよね」
死んでる……負けたら死ぬのか? 彼女同等の人に出くわしたら即死なのだろうか?
「ほらほら、度胸です! 負けると思ったら勝てる物も勝てませんから」
セリーナは、そう言いながら金属の太くて短い棒をその人の顔面に当てて縛り付けた。
それから容易く彼女は、あいつらを飛ばしていった。
「わぁ……」
「それ、さっきも聞きました」
そう言いながら彼女は、金属の棒をしまってため息を深く吐いた。
「助かった。本当に、本気じゃないんだよね?」
「えぇ。まぁ、やる気になれば代償を使う事もありますけど」
否、僕みたいな人たちが沢山きたらその代償を使うと……
「ま、その時はよろしくですね。私は、死んでしまう可能性も十分にあり得ますから」
彼女は、寂しそうに微笑んだ。
「私を倒してくませんか? 貴方たちは強くなれる逸材なはずですから」
逸材か……
天才肌の兄とはまた別だけど……
「はぁ……手、貸してください」
そう言われたので、手を差し出した。
彼女は僕の手を取って魔力じゃない……何かを動かした。魔力じゃないけど、魔力みたいな感覚。
「これは、私が前前世で使ってた魔力です。ここの世界の魔力も強いですけど、貴方はこっちの魔力の方が強いんです」
違う世界で使われている魔力……そんな物が僕に……?
「それで、魔法とか使えるの?」
「えぇ。私も、こっちの魔力じゃなくて、あっちの魔力の方が多いので、剣に纏わせている風もあっちの魔力ですよ」
二種類か……
「どちらにしろ、ライナーさんには敵わないですよ。ノアたちは、使えてきていますから。それに、剣術ももっと伸ばせられるはずです」
「剣術を? 確かに君よりかは怠るけど……僕はこれ以上に使えるの?」
「ふふっ。威力やパワーは強いですけど、ライナーさんはスピードや軌道の正確さは極められるはずです」
軌道の正確さに、スピード……
僕は、心の中で復唱した。
「ほら、縛り上げますよ。私も手伝います」
「でも、セリーナにはまだ……」
僕の声を遮るように「その前前世で、殺し屋をやっていたんですよ」と柔らかく微笑んだ。
殺し屋……セリーナはいつも、想像を超えてくるな……
赤い空が段々、紫や青く暗くなってきた。セリーナのような、暗黒の髪とは少し違う。真っ黒なんだけど、どこかキラキラと反射して、何かを隠してるような……そんな気がした。
「そうか。頼む」
「はい」
僕たちは、身柄を拘束して、聖騎士へ引き渡した。
「ありがとうございました。とても助かりました」
セリーナは、僕に向かって頭を深々と下げている。
「助けられたのは僕の方だ。ありがとう」
「えぇ。また会う機会がありましたらよろしくお願いします」
「あぁ。よろしくな」
そう言ってセリーナは、もう一度下げ直した後、サントラップへ帰っていった。
❂
私は、ライナーさんと別れてから店に直行した。何か不穏じゃないけど、何かがあるような気がしてしょうがない。
店の前まで来たけど、誰かが来てるみたい。リビングに三人分増えている。マリーさんと、カールさんと、ニルスさんと、ノア。一人、ニルスさんと距離が近い気がしたけど、気の所為にしておく。
心なしか、私と似てるような……
そんな嫌な予感は当たる事無いだろうと、決めつけて二階へ向かった。
「ただ今戻りました」
そう言って私がリビングへ入ると、お父さんとお母さんと、ニルスさんの隣に座ってるエリカがいた。
「え……?」
私は、しばらく呆けてしまった。
#異世界
こはる
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コメント
1件
こはるさん、第43話読みました! セリーナが駆けつけてくれた場面、すごく熱かったです。特に「♡♡♡屋だった」って告白には驚きました。彼女の過去がちらりと見えた瞬間、一気にキャラクターに深みが出ましたね。そして最後のエリカ登場!え、ここで?って思わず声が出ました。次回が待ち遠しいです🔥