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〜家族〜
第43話
「リナ。久しぶり」
最初に口を開いたのは、お母さんだった。
何がどうなってるの……?
「詳しい事は、話すから取り敢えず座って。最初に謝らないといけない。ごめんな」
ニルスさんが、頭を下げて謝った。
は? 何がどうなって、こうなったの……?
私は、訳も分からずに緊張で体が強張りながら、いつもの席に座った。
「実はニルスとエリカは婚約者同士だったんだ」
そうカールさんが真剣な顔で私の事を見つめた。
ん? ちょっと待て。
婚約者同士って、いつ?
それに、何でこの二人? 私が来たのは偶然じゃないだろうし……ってか、エリカ……
「あの、私がここに来たのはお父さんがカールさんに、お願いしたんですか?」
いつまでも引っ掛かっていた事を初めて口にした。
……その考察が真実か否か、私には関係無いけれどね。でも、いつまでも残ってるこのモヤモヤは晴らしたい。マリーさんからの答えは無かったし。
「……そうだな。すまない。手紙でも……いや、出ていく前から言っていた方がよかったよな」
お父さんは、手をぎゅっと硬く握りながら頭を下げた。
「えぇ。何となく二人の事だから、勘づいてはいたんですけどね。まさか、婚約とは……」
私が苦笑しながら二人を交互に見た。
「でも、ありがとうございます。この出会いは、ここに来ていないと無かったはずです」
「リナ……ありがとう」
「こんな親でごめんね……」
二人は、頭を下げてオロオロと泣き始めた。
「お母さん。お父さん。私は、幸せです。もう一度言うけれど、この出会いは二人がいなかったら無かったはず。あの時は、冷静では無くて……ごめんさない」
私はなぜだか分からず謝った。でも、感情というか、何かの正義感に押されていたんだと思う。
「そして、お姉ちゃん。こんな妹でごめんさない。本当に後悔してる。許されないのは分かってるけど、傷付けてしまった」
「リナ……」と呟いた後、頭を撫でて「傷付けてしまったのは私の方よ。あんな酷い事を言ったのにも関わらず丁寧に手紙を書いたり、髪飾りだったり……ごめんねっ……」と嗚咽交じりに手の甲で涙を拭っている。
私はハンカチを差し出そうと思ったけど、ニルスさんにアイコンタクトを送った。
『ここが決め所よ』とね。
「エリカ。大丈夫だ」
そう言いながらエリカの目元を拭っている。
……泣きたいけど……泣けないかな。まだ大切な話は残ってるし、久しぶりに合ったのに泣き顔を見せられないし。
それから、あの時一体何があったのかお父さんが語った。
私が出て行ったと知ったお姉ちゃんは、罪悪感に押しつぶされそうになったらしい。
でも、お父さんとお母さんの懸命な支えによって、罪悪感は和らいだらしい。でも、闇魔法という事実は変わらないから、国に聞いてみた所……百年くらいに一度産まれる事がある事が分かった。否、確率は思ったより高かったという事。
それが、お姉ちゃんが九歳の年の冬の出来事。
大体、ノアと初めて会ったくらいの季節。
それからは、ニルスさんの妻となるために料理とか、洗濯とか、家事の腕をみがいて、今に至ると……
「そうだったんだ……」
私は、それ以外なにもコメントが出なかった。
エリカがニルスさんと婚約していたのは、元からだと言う。
「あの。私は前世も、前前世も、前前前世も、前前前前世も……果てしない量の生涯を渡ってきた人なんです」
私は、三人にその事を初めて告げた。
勿論、固まっていた。
固まってもらわないとこっちも、困っちゃうけどさ。
「こっちに来てから少しして、前前世から前の事を思い出したんだけど……黙ってて、ごめんさない」
私は手を震える程、強く握った。これ以上、私には秘密は無い。
「前前世は裏の人間で、前前前世は剣士で、前前前前世は超人って言われた一生で、前世は体が弱い非力な人だった……」
なにも返せなかった人。それが前世の私。
神様の操り人形。前前世の私。
恨まれるだけの天才剣士。前前前世の私。
強くて、無敗だった私は『超人』と恐れられた、前前前前世の私。
#魔道具職人
こはる
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こはる
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#切ない
こはる
16
15
「リナ。背負わせててごめん」
最初に口を開いたのは、お姉ちゃんだった。
「うぅん。私が黙ってたのが悪い。それに、自分が言えるような人生を歩まなかったし」
『お姉ちゃんは気にしなくて大丈夫』と遠回しで言った。
「でも、セリーナって人の人生は一番幸せ」
私がそう言って微笑むと、何だかこの気まずい空気を壊して、柔らかくできた気がする。
私は、そこで記憶が途切れた。覚えていないから、夢の中へ旅をしてしまったのかもしれない。
コメント
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こはるさん、第44話読みました…! 家族の真実が明かされるシーン、すごく重くて温かかったです。 リナが自分の転生の秘密をやっと話せたところ、胸が締め付けられました。特に「セリーナって人の人生は一番幸せ」って言葉に、全部を受け入れる強さと優しさを感じて、ちょっと泣きそうになりました。 お姉ちゃんとの関係も、ニルスさんとのアイコンタクトも、細かい描写が丁寧でグッときます。 続きも楽しみにしてますね🌙