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🖤蓮side
次にメンバーが集合する前に、翔太くんとは一度話しておきたい。
いい返事がもらえたら最高だけど、たとえ断られたとしても絶対に俺は諦めないつもりだ。
たぶん、翔太くんに今、決まった人はいない。
もともと翔太くんは隠し事をするタイプじゃないし、デビュー前に何度か彼女がいた時期もあったみたいだけど、いずれも長続きしなかったようなことを以前言っていた。
それにもし恋人がいたら、あんなに俺たちと頻繁に遊んだりしてないと思う。
もし、一度の告白で断られたとしても、何度でも告白し続ける覚悟が俺にはあった。
多少時間がかかったとしても、俺は絶対に翔太くんを諦めたくない。
翔太くんの家に着き、インターホンを鳴らす。
ガチャ🚪
💙早かったな
🖤うん、お邪魔します…
すたすたと廊下を歩いて行く翔太くんについて行く。久しぶりに、二人きりになれた……
ぎゅうっ。
💙!!めめ??
気がついたら、そのか細い背中を後ろから抱きしめている自分がいた。
気持ちを伝えてしまったことで、ある意味リミッターが解除されたような気がする。
やべえ、待つって思ってたのに…。
🖤しょっぴー、会いたかった…
💙いや、ちょっと待てって!
翔太くんは驚いて離れようとするが、俺の方が身体も大きいし、力は強い。華奢な翔太くんはやがて力を抜き、諦めたように俺に抱きしめられている。
あったかい、可愛い…。
🖤はーあ。俺、なんだか元気が出てきた…しょっぴー、大好きだよ…
永遠にそうしていたいけど
💙…… もういい?話、出来ないから
🖤あ、ごめん…
俺はやっと翔太くんを解放した。
照れくさいのか翔太くんは顔を赤くしてこっちを見ようとしない。
それでも嫌がる気配は感じなかった。
🖤この間のこと、考えてくれた?
💙ごめんだけど、正直、よくわからない
翔太くんは歯切れ悪く言う。
目も合わない。
なんだか言葉を選んでるようだった。
💙めめのこと、そんなふうに見たことなかったし。
🖤うん…それは聞いた
💙あ!!あとお前!!
翔太くんが思い出したように、急に大きな声を出す。
💙キスとか!ああいうのいきなりは良くないぞ!おかげであの後仕事に支障が出ただろ!!
🖤……ごめんなさい
しょぼん。
だって、翔太くんが可愛すぎるんだもん。
そう思ったけど、俺は逆らわずにいた。
🖤俺のこと、もう嫌いになった?
翔太くんの顔色を恐る恐るうかがう。
翔太くんはまだ少し赤い顔のまま、俯いて、ぼそっと答える。
💙こんなことで嫌いになったりはしない
🖤ほんと!?…よかった…
💙あ!でも、今後いきなりそういうのは無し!抱きついてくるのとかもだめ!同意なしにそういうのは困る!俺、どうしたらいいのかわかんないし…!
🖤うん、ごめんね?
気をつける…
💙で、この間の話なんだけど…
💙翔太side
俺は目黒にきちんと自分の気持ちを説明した。
今、目黒に対して、俺は恋愛感情を持っていないこと。もし軽い気持ちで目黒と付き合っても、うまくいかなくてダメになってしまうのが怖い、それなら今のまま、仲の良い友達関係でいた方がいいと思うことなど。
目黒は真剣に俺の話を聞いてくれていたようだった。
🖤それがしょっぴーの正直な気持ち?
💙うん、ごめん…
🖤そっか。わかった。しょっぴーの気持ちはよくわかったよ。
💙ありがとう、めめ
目黒には悪いけど、この件は片付きそうでよかったな…と安心する。
🖤男だという理由で断られたらどうしようかと思った…
💙いや、そんなことは思わないよ。
目黒には言えないけど、今日、身近な同性カップルを見たばっかりだし…。
俺はさっき見た光景を思い出していた。
あんなふうに自然にいられるのなら、男同士も悪くないのかもしれない…
目黒はしばらく黙っていたが、少し間を置いてから、ゆっくりと話し出した。
🖤俺、こんなに誰かを好きになったの、人生で初めてなんだよね。
💙あ、うん、それはありがとう…?
🖤だから、しょっぴーに好きになってもらえるようにこれからも頑張るね、俺。
💙へ???どういうこと?????
話、聞いてたか??
🖤あ、俺、このことで諦めるとかそういう選択肢ないから
💙いや、ちょっと…
🖤しょっぴーは俺のこと嫌い?
目黒が真剣な眼差しを向ける。
顔がいいので俺もたじろいでしまう。
💙嫌いじゃないけど、、、
🖤じゃあ今まで通りにしょっぴーは俺に接してくれればいいよ。俺は俺の勝手で、しょっぴーに振り向いてもらえるように努力するから。
💙いや、でも…
🖤俺は絶対に諦めないよ!!何年好きだったと思ってるの??
急に目黒が感情的になった。
あんなにモテて人気者の目黒が、珍しく感情をむき出しにして、俺に想いをぶつけている。
なんなら、必死すぎてうっすら涙ぐんでいるようにも見える。
こんなにかっこよくて、
女なら(もしかしたら男でも)よりどりみどりなやつが…どうしてそこまで…?
🖤翔太くん
💙な、なんだよ?
🖤一つだけ確認しておきたいんだけど
💙う、うん
🖤俺の他に好きな人いる?
💙そんなのいな……
思わず言い淀む。
なんでだ?
俺は、なぜか涼太の顔を思い浮かべていた。
え?
なんで???
腐れ縁だから?
一番付き合いの長い幼なじみだから?
いや待て待て待て。
涼太には阿部ちゃんがいるじゃないか。
幼なじみに急に恋人ができてなんだか少し寂しいだけだ。勘違いするなよ、俺。
それに、俺の恋愛事情に幼なじみの仲とか関係ないだろ。
🖤どうなの??
目黒が俺を覗きこむ。
💙いない…
🖤っしゃあ!!じゃあ、俺、これから頑張ります!!!!!また来るね、しょっぴー!
目黒は言いたいことだけ言ってしまうとなんだか勇気づけられたように帰ってしまった。
あいつ、失恋したんだよな…?
それにしても…
💙なんだよ、涼太…
あんな偶然な形じゃなくて、好きな人が出来たんなら、ちゃんとあらかじめ俺には教えてほしかった。
💙水くせーやつ…
感情の置き場がない俺は考えれば考えるほど何だか無性に腹が立って、涼太に苦情の電話のひとつでもしようかと思いついたが、
時計を見て、まだ二人、一緒にいるよな……と、諦めることにした。
時計の時刻は午後の10時を回っていた。
💙もう、寝よう!おやすみなさい!!
わざと声に出してベッドに入り、布団を頭から被る。
明日になれば、この妙なむしゃくしゃも直ってるだろ。
幸い、明日は個人の仕事がある。
仕事をしてれば、忘れられる!
俺はスケジュール内容こそ確認しなかったが、早めに目覚ましをセットして無理やり寝てしまった。