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「じゃあ俺はこれにするかな」
「いいね、レトさん似合いそう」
夕方でもまだ日は高く、神社についた俺達は近くのブースで浴衣をレンタルすることにした。イベント中限定で浴衣や甚平を借りられるらしく、沢山の人がブースに来ていた。
お互いに着替えて見せ合おうってことでカーテンのある個室に向かう。俺の選んだのは黄色いキンモクセイの柄の浴衣。なんでも俺のイメージが黄色なんだって。キヨくんは椿。襟足が赤いからそれとお揃いみたいな感じ。
早く見てみたいな…
「レトさーん」
外からキヨくんの声がする。あ、もうできたんだ。 俺はカーテンの隙間からそっと外を覗く。
「わ…」
背が高くてスタイルが良いキヨくんは、本当に何を着ても似合う。俺が彼女でデートだったら惚れ直すレベルでかっこいい。
「ずっとそこで見てないでレトさんも出てきてよ。俺だけここにいるの恥ずかしいじゃん」
「…わかってるよ」
おずおずとカーテンを開いて下駄を履く。こんなの、あんまり着たことないから似合うかわからないんだけど…
「…かわい…」
「え?」
「あ、ごめん、なんでもないわ。すげー似合ってるよ」
「そう…?…よかった」
なんだろう、今なにか変なこと聞こえた気がしたけど…浮かれて幻聴まで聞こえてきちゃったのかもしれないな…
だってそんなこと、キヨくんが言うわけないよね。
「じゃあ行こうか」
「うん」
慣れない下駄に戸惑いながらも、俺はキヨくんの隣を歩く。そんな俺を気遣うようにして、キヨくんはゆっくりと歩幅を合わせてくれていた。
神社の本殿に続く石畳の横には、ずらーっと露店が並んでいた。焼きそばだったりたこ焼きだったり、金魚すくいだったり。どれも心惹かれるものばかりだ。
金魚すくいなら昔親に連れられてやったことがあった。そのときは全然取れなくて、もう一回!とせがんでいた記憶がある。
「そういえば、入口のところに笹あったよね」
「短冊書いて飾れるみたいだよ。後で行く?」
「うん!行きたい!」
「じゃあとりあえずは何か食べるとしますか」
最初はやっぱりたこ焼き。何人か並んでいるところの最後尾に並ぶ。すぐに後ろにも人が並び始めた。人気なんだな。
「ねぇ、前の人、背高いねー」
ふとそんな会話が後ろから聞こえてくる。ちらっと振り返ると女の子が2人ほど話しているみたいだ。
「ほんとだ、かっこいー!」
「彼女いるのかな?」
「男の子と来てるから、いないんじゃない?」
キヨくんの事話してるのかな…背高いって言ってたからそうなのかもね。
なんか…ちょっとモヤモヤするな…
ToBe Continued…