テラーノベル
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瀬名 紫陽花
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『オドロキ』
彼女を見つけたのは昨日の夜のことであった。金曜日ということもあり、近くの居酒屋で同僚と共に、会社の愚痴をつまみにしながら、酒を飲んでいた。19時頃から始まったそれは、企画の打ち上げ会ということもあり、結局店を出たのは23時くらいだっただろうか。店を後にするころには、俺は絵にかいたような酔っ払いに出来上がっていた。同僚が心配そうに声をかけてくれたが、大丈夫大丈夫と言い残し、一人で帰路につく。何が大丈夫なのだろうか。一度限界が来てしまい、近くの公衆トイレに駆け込んだのはどいつだ。無事に胃を空っぽにしても、まだ俺の酔いはさめることはなかった。ぼんやりと霞む視界と、ふらつく足元に気を付けながら自分のアパートへと歩を進める。閑静な住宅街へ入ると、小さな電灯しか明かりはついておらず、暗闇の中に見える家たちは、夜の暗闇に吸い込まれる様に佇んでいた。こんな生活になってどれくらいたつのだろう。この時間になると、いつも俺は、「何やってんだろうな。」と、呟いてしまう。今日も例外ではなかった。電灯に集まる小さな虫たち、遠くの方で鳴く鳥のさえずり。一つ一つが俺の腐った行いを否定するように問いかけてくる。俺が目指していた未来はこんなものだったのかと。遠くに浮かぶ三日月を眺めながら、ぼんやりと考えていた。曲がり角を塀に沿って進み、あとは真っ直ぐ5分も歩けば自分の住むアパートがある。また、吐き出しそうな気持ち悪さを鎮める様に、視線を奥にずらした時だった。霞む目でよく見えないが視線の先に何かが小さく光っているのだ。電柱の光でもなければ、車のライトでもない、その光は、黄から白へと点滅を繰り返していた。目を一二度こすり、眉間を寄せてみてみると、俺は心底驚いた。それはなんと、服を着ていない裸の女性だったのだ。