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瀬名 紫陽花
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『ワケアリカノジョ』
スマホの目覚ましの音で目が覚める。どうやら、いつもの癖で、会社のある日と同じ時間に起きてしまったらしい。今日は土曜日なので、アラームを止めようと目を半分ほど開けたところ、小さく驚いた。視線の先には横たわるアンドロイドがいたからだ。体の反応に遅れて、寝ぼけていた脳が一気に覚醒する。掛け布団を跳ね除け、彼女を恐る恐る見てみる。そうすると、まだ酔いが完全に抜け切っていない脳がうっすらと記憶を奥底から呼び戻してきた。確かに、このアンドロイドを俺は知っている。ここに運んできたのも俺だ。しかし、運んできたあとの事は思い出せない。
「さて、どうしたものか。」
と、若干嫌味混じりの言葉を吐きながら彼女の胸元を見てみると、そこには丁度良いくらいに膨らんだ胸、そして胸元に電源ボタンがあった。ボタンの周りの色は、黄色から白へと点滅している。彼女を観察していると、彼女の背骨当たりから一本のケーブルが、部屋の隅へと続いているのに気が付いた。それは充電コードであった。おそらく、昨日の俺がしたものだろう。あの後、着替えもせず、すぐに寝てしまったため、記憶が曖昧なのだ。コードを抜き、恐る恐る電源ボタンを入れると、彼女はゆっくりと目を開ける。澄んだ青い瞳が瞼の下から姿を現すと、より一層彼女を美しく見せた。が、その姿をゆっくりと拝む時間は無かった。彼女は俺の姿を認識するや否や、目を見開き、急いで立ち上がり、玄関の方へと走り出した。そして、ガチャガチャとドアノブを動かすが、勿論鍵を閉めているため、ドアはピクリとも動かない。俺が心配そうに彼女の方へ近づくと突然、
「やめて、こないでください!!」
と大声で叫びだした。まるで俺におびえているかのように俺を睨み、ここから一刻も早く逃げたいかの様に何度もドアノブを動かす。しかし、勿論ドアは動く気配を見せない。
「お願い、、こないで、、、」
彼女はドアが開かないことを理解したのか、その場に崩れ落ち、ついに目から涙をポタポタを零す。いつの間にか彼女の胸の光は、赤から白の点滅を繰り返していた。これが俺と彼女との最初の出会いだった。