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るあ
44
#ご本人様には関係ありません
「さのじん」の人気を、計算高い勇斗はグループ全体の更なる人気に繋げる好機だと思ったらしい。あからさまなボディータッチが増えた。動画配信で仁人に言及することが多くなった。その度にファンのコメント欄は加熱した。
「本当に付き合ってる?」
「さのじんは”ガチ”」
そんなコメントを見る度に、仁人は息が詰まりそうだった。ファンが、世間が、自分たちの恥ずかしい行為を知っているんじゃないか、どこかで見られているんじゃないか、そんな錯覚に陥った。
一方で、勇斗は思いどおりのファンの反応に満足気だった。
「ほら、見て。みんながじんちゃんの可愛さに気づいたみたい。俺、仁人の魅力が世間に広がれば、もっとM!LKは人気になるって思ってたんだよね」
いつも通り呼び出された勇斗の自宅のソファーで、隣に座る勇斗がファンが作った「さのじん」動画を再生する。
非公式にも関わらず100万回以上再生されている動画もあり、勇斗の言った通り「さのじん」の需要を思い知らされる。
「ほら、見てこのじんちゃんの上目遣い。”勇斗くんにしか見せないきゅるきゅるのお顔が可愛すぎる”だって」
見せられた動画には、仁人の不意のリアクションや咄嗟に浮かべた表情ばかりが切り抜かれ、集められていた。自分では意識していない仕草を、こうして客観的に見せつけられるのは、仁人にとって耐え難いものだった。
「大体それ無断転載だろ!!そんなの見るなって」
「え~、でも案外公式よりもこういうのがバズるってこともあるじゃん!!」
仁人が怒鳴っても、勇人は何処吹く風でショート動画をスクロールしていく。
「あ、これとか際どいよね」
そう言って見せられたのは、去年の年末の長時間生配信の一場面。マッサージの激痛に逃げ出そうとした仁人を勇人が押さえつけ、仁人がその手に縋りながら痛みに耐える、というシーンだった。
「江戸い?ってあー、エロいって意味ね。わかる。俺もこの時ヤバかったもん。長時間生放送で疲れてんのもあって、正直勃ちそうだった」
ケラケラ笑いながらコメント欄を読んで、あっけらかんとデリカシーの欠片もないことを言う隣の男の神経が信じられず、開いた口が塞がらない。
「勃ちっ……!?ハァ!?お前生放送中に何考えて……!!」
「ごめーんって。でも、実際の感じてるじんちゃんの顔ってもっと江戸いからさあ、」
「ちょっ…!」
どこでスイッチが入ったのか。大きな手に掴まれて、あっという間にソファーに押し倒される。仁人を見下ろす男は、もう、夜の獣の顔を隠しもしなかった。
「ほんとーにきもちいって顔、俺にだけ見せて?」
「もぉ、無理だってぇ……!!んっ、あぁっ…♡」
どれくらい時間が経ったのだろうか。ソファーの上で四つん這いの犬の格好にさせられて、後ろから容赦なく責め立てられている。既に手からの刺激によって達していて、SNSの配信でメンバーが使ったこともあるソファーに白濁を散らしているのを、もうこれは撮影には使えないな、と虚ろな目で見つめていた。
「まーだ。俺、まだイッてないよ?リーダー頑張って」
「きゃうっ!!」
疲労と快感によってぼんやりとした思考が、ぱんっ、と乾いた音が響いて、臀部への衝撃で引き戻される。
「っ……今締まった。痛いの好きなの?やっぱり、あのマッサージの時も感じてた?」
「だからっ、今仕事の話はするなって……、あッ♡」
腰を強く掴まれて、奥に押し付けるようにねじ込まれると堪らない。この先の快楽の味を覚え込まされている肉体は、もっと、もっとと浅ましく求めてしまう。
「あはっ♡腰揺れてるよ、じんちゃん。もう俺とはしたくないんじゃなかったの?恥ずかしーから」
「あッ、あッ、」
「じーんちゃん?あんあん言ってないで喋って?」
ぱんっ。さっきよりも強い再びの衝撃に、勇人自身を咥え込んだ後肛をきゅうっと締め付けてしまう。
「ひゃうッ!!あんっ、いやぁ……」
「ちょっとっ…お尻締めんなって、ホントドMリーダーなんだから」
「…っ、リーダーって言うなあっ…」
「なんで?M!LKのリーダーがメンバーにチンコ突っ込まれてアンアン言ってるのが恥ずかしいから?でも、リーダーだから俺の性欲処理してくれてるんだよね?仕方なくさぁっ…!!」
そう責め立てられるように言われるのと同時に挿入の動きが早くなる。ガツガツと抉るように容赦なく責め立てられて、パンパンに膨らんだ睾丸が性器に当たる、その間抜けささえも彼の剥き出しの欲望を浴びている表れで、それにどうしようもなく興奮した。堪らなくなって上体をソファーに押し付けて、お尻だけあげる恥ずかしい姿勢になる。ソファーに触れた乳首が擦れることすら快感を拾ってしまう。
「あッ♡あッ♡もっと、もっとぉ、いっぱい突いてぇっ…♡!!」
「…っえろすぎ…、ね、イキたいなら答えてよ。なんで俺とセックスしてくれるの?ねえ、」
「ふえ…?ッあ!!やん!!アッ♡」
一瞬の問いに、思わず動きが止まった。強い快楽に焼き切れそうな思考で考える。顔が見たい。顔を見なくちゃいけない気がする。そう思うのに、その問いを掻き消すように、後悔しているように腰の動きが荒々しく、激しくなって、上書きされるように快楽に責め立てられる。
「仁人…!!仁人…!!」
「はやっ…ふぁっ……」
頭を掴まれて無理やり後ろを向かされて、大きな口に喰われる。名前も、想いも告げられないまま、激しいキスに掻き回され、挿入が深くなる。
「イクッイクッ…!!」
「じんとっ……… っっ!!」
スキン越しに射精されて、雄の本能で奥に奥に種付けするように深く腰を押し付けられ、それに仄暗い悦びを感じている自分には、気付かないふりをした。
ソファーの上で気を失ってしまった彼の髪をそっと撫でる。腰が悪いのに、また無理をさせてしまった。テレビでは、パフォーマンスの要だから、なんて言って庇えるのに、自分の欲望を前にすると、気遣いなんて欠片もできない。こんな姿を知れば、ファンは去っていくんだろう。
「ごめんな仁人。本当はお前以外に性欲なんか沸かないよ。仁人だけ。仁人だけだから、いなくならないで……。お前だけ、ずっとそばにいてほしい」
そのためなら、お前を傷つける嘘をつき続けるよ。
コメント
3件

11時間配信も思ってたなら絶対やってみの壊れちゃうも意識してたじゃん……! どうか結ばれてくれぇぇ🙏

続きあるのかな、素敵な作品です。微妙に噛み合わない二人がちょっと切なくて素敵です
八八子さん、第2話読ませていただきました……。仁人の視点で描かれる、息苦しさと快楽のギャップが生々しくて、胸が締め付けられました。特に、ファンが切り抜いた動画を客観的に見せられるシーン、あの恥ずかしさとやり場のない怒りが痛いほど伝わってきました。そして勇斗の、あのあっけらかんとした残酷な優しさ――「お前以外に性欲なんか沸かない」という最後の言葉が、あまりに重たくて切なくて。関係性の歪さが、丁寧な心理描写でじわじわと沁みてくるお話でした。続きがすごく気になります。