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アマラ「ここがアタシの部屋だ。」
ジーク「…結構しっかりしてる場所だが…」
アリィ「これいくらするの…?」
アマラ「言ったら、床を靴で踏めなくなるぞー。」
アリィ「もう今の発言で踏みづらくなったよ…。」
アマラ「はは!冗談だ。さて…」
アマラはドアの鍵を閉める。そして二人にあるものを見せる。
アマラ「じゃーん。」
ジーク「…なんだ?これ。」
アリィ「なんか小さくて黒い…長方形の箱?」
アマラ「ふっふっふっ。これには特別な機能があってだな。いち、横に長い長方形になるよう構えます。」
アリィ「なんかはじまった。」
アマラ「次にここ、ほんのちょっとだけ出っ張ってるだろ?」
ジーク「ちっっっさ!!」
アマラ「これを気合いで押す。」
ジーク「しかも気合いなんだな…。」
アマラ「んで、これを次は見れるようにしなきゃならんくてな。えーっとどこにやったかな…アレが使えないからな…。」
アマラは黒い箱を机の上に置き、自分の荷物をガサゴソと探る。
アリィ「ホントにちっちゃいねこれ。触ったら簡単に折れちゃいそう。」
ポルポルもアリィに抱えられながら、じーっと小さな黒い箱を見つめる。
ジーク「一旦それ下ろしたら?」
アリィ「置いといたら、蹴っちゃいそうで…」
二人の会話など気にせず、ポルポルはマイペースに小さな箱を見つめ続ける。そして、おもむろに丸っこい手を生やし、つつく。
アリィ「あっ!!!!!!」
ジーク(いや手を生やすって何!?)
アマラ「えなに!?どうした!?」
アリィ「どどどどどどうしよう、こ、こここわしてたら…!」
アマラ「と、とりあえず一旦落ち着け。見てみるから。」
そう言ってアマラは箱を手に取りくまなく、見る。
アマラ「大丈夫だ。傷はない。…ん?画面は見てなかったが…起動が出来てる…。…これ一体どうやったんだ?」
アリィ「ほ、ほんとにちょっと触れただけ…」
アマラ「コイツかなり起動方法が複雑なんだが…よく出来たな…。結構器用だったり?」
アリィ「いや…そこまででも…」
ジーク「アリィは確かに器用だな。」
アリィ「!?」
ジーク「初めて料理させた時も呑み込みが早かったし…」
アリィ「恥ずかしいからやめて!!」
ジークの自慢に近い昔話を止めようと、アリィは顔を赤らめながら叫んだ。
アマラ「それでここを見ると、ほらさっきボタンを押した時の景色だ。」
ジーク「なるほど…つまりあれか?これって超小型の撮影機か?」
アマラ「そういうことだ。」
ジーク「撮影機ってだけ高いのに…このサイズって一体…」
アマラ「まぁツテがあってな。」
アリィ「撮影機なんて初めてみたなぁ。これ、他にも色々あるけどなに?」
そう言って、アリィは先程の写真とは別の写真を指さす。
アマラ「さっきコフリーと握手しただろ?実はこれはキールに貸してて、握手した時にコフリーから返されたんだ。恐らく有意義な情報を手に入れたから返したんだろう。しかし、仕事の早いやつだ。」
アリィ「味方につけたってキールさん言ってたけど…嵌められたりとかの心配はないのかな…」
アマラ「それはない。キールは、ああ見えてもアタシでも嫌気がさすくらい頭のキレる奴だ。もしそうだったとしてもアイツのことだ。散々利用するだけして捨て駒にするまで考えてるだろう。」
ジーク「そうは見えないが…」
アマラ「ヒトは見かけによらないものさ。早速見てみよう。」
アリィ「画面がちっちゃい…。」
アマラ「我慢してくれ。現物に残したりなんかしたら足跡がついちまう。」
ジーク「…なんだこれ?設計図?」
アマラ「ははっ…!こりゃ大物だな…!」
ジークとアリィを置いてけぼりにし、アマラは1人興奮する。
アマラ「なぁここがずっと夜みたいに暗い理由はなんだと思う?」
アリィ「え?えぇっと…暑いから…?」
アマラ「それもあるだろうな。ただずっと夜なんて普通は不可能な話だ。」
ジーク「でも、この国は成功してるな。」
アマラ「ああ。どうして出来たか?それは全部これのおかげだ。」
アマラはそう言って設計図の写真を見せる。
アマラ「…分かりやすく言うなら、投影機みたいなものだ。それも気温すら反映できるオマケがついた、な。」
アリィ「…ねぇ気になったんだけど…なんでこんな凄い装置を作ってまで、”夜を選んだ”の?」
アマラ「…言いたいことは分かるさ。砂漠地域では、夜は悪魔が活発に動く。砂が消えても気温の高さは消えるわけじゃない。」
ジーク「悪魔にとっては過ごしやすくて、餌が大量にある、最高の場所だな。」
アマラ「そもそも違うんだ。ここの奴らは”選べなかった”んだ。」
ジーク「恒陽の国に問題がありそうだな。」
アマラ「ご名答。恒陽の国はここと似ててな。永遠に日が沈まない国なんだ。」
アリィ「なにそれあっつ!!」
アマラ「おっもう正解を言われちまったな。」
アリィ「え?」
アマラ「ずっと太陽が登ってるってことは気温が下がらない。もちろん適応できない人達が出始める。そもそも、そうして永夜の国は出来たんだ。」
アリィ「…なんだか可哀想な話だね。悪魔が来ないわけでもないし…体の弱い人だけで悪魔に抵抗するなんて無茶ぶりもすぎる…」
アマラ「安心しな。なにも皆体が弱いわけじゃない。恒陽の国の気温に適応できても、国のあり方に疑問を抱いてこっちに来た奴もいる。それがコフリー達だ。」
(キールは…わからんな。)
ジーク「なんで恒陽の国は過酷な道を辿ろうと思ったんだ?」
アマラ「悪魔対策だ。時の国では、毎年悪魔による凄惨な事故が多数あった。毎年ばかばか食われて…乱暴ではあるがここの王はそれに嫌気がさしたんだろう。まぁもう王というかは微妙なところだが。」
アリィ「暗くて寒くて動きにくい夜に襲ってきて、明るい時間帯は暑くて、討伐しようにも外的要因で死ぬ可能性がある…倒すに倒せないんだね。」
アマラ「そういう事だ。実際、同じ個体が襲ったケースの方が少ない。砂漠のどこかで繁殖を繰り返してるのかもしれないな。」
ジーク「そういうことだったら、恒陽の国に潜入した方が良かったような…?なんでわざわざこっちに…?」
アマラ「それは…キールに聞いた方が早いだろうな。お前達には恒陽の国に潜入してもらう予定だから、色々キールから聞くといいだろう。」